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2018年のヘンプ合法化案は「大失敗だった」と、多くが認めだしたアメリカの今

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議会は合成嗜好用大麻製品の全排除へ

5年前に産業用ヘンプが合法化されたことで、潜在的に広大な新市場が予想されていましたが、現実には混乱、搾取、公衆衛生への脅威がもたらされていると、州の検事総長たちはアメリカ下院農業委員会への書簡で警告しています。

20州とワシントンD.C.の最高法執行官が署名したこの超党派の書簡は、全米に広がる精神作用のあるヘンプ由来の合成嗜好用大麻製品の拡散に対処するため、次期ファームビル(農業法案)を利用するよう議会に要請しています。

「2018年のファームビルがこの農産物市場を創出するという約束は…失敗しました」と2ページにわたる書簡は述べています。「代わりに、ヘンプ由来の麻薬性物質が我々の州全体に広がり、公衆衛生と安全に重大な脅威をもたらし、規制されず、課税されず、説明責任のない市場関係者に利益をもたらしています」と書簡は述べています。

書簡(外部サイトへのリンク):https://hemptoday.net/Ltr-Concerning-Five-Year-Farm-Bill-Reauthorization.pdf

グリーンラッシュは単なる幻想だった

議会は2018年のファームビルでヘンプを合法化し、ヘンプは食品としての種子、繊維、断熱材やハイテク用途の繊維、建設用のヘンプハード、主に花から作られるCBD健康補助食品など、さまざまな分野での可能性が評価されました。

しかし、連邦法には、CBDから製造される合成嗜好用大麻製品に対する考慮が不足しており、抜け穴が生じてました。

2019年初めに市販のCBD抽出物健康補助食品の市場が急成長し、その後急速にCBDバブルが崩壊した後、在庫を抱えた企業は、それを「ダイエットウィード」や「マリファナライト」として知られるような高効率化合物の生産者に販売し始めました。

CBD製品の生産者、合成嗜好用大麻成分を含む製品の販売者が中心となった新しいセクターが急速に発展しました。

これらの製品は、若者に魅力的に見えるように人気ブランドのお菓子に似せて包装され、無規制のままガソリンスタンドやコンビニエンスストア、ボデガ(小さな食料品店)、ヘンプやCBDショップなどの小売店に急速に広まりました。

全米CBD市場崩壊のタイムライン

2024年7月2日 CBD事業者達の訴訟を却下したニューヨークが排除していくCBD(と、カンナビノイド)市場

2024年7月1日 合成嗜好用大麻製品で救急搬送された痛みを知った高校生達が州知事を動かした結果。。。

2024年6月29日 イギリスのCBD政策の末路。食品化、合法化を敬遠させていた真相とは

2024年6月26日 フロリダに続き壊滅か!?ニューヨークCBD市場の終わりが始まった

2024年6月24日 全米2位のCBD市場(約2,800億円規模)が没落か、フロリダ州もCBDを市場からBANへ!?

2024年6月20日 CBD製品毎排除に振り切るのか!?サウスダコタ州の厳しい一手の裏に見える本質

2024年6月13日 CBD製品は嗜好用大麻の枠組みの中に!オクラホマ州の合成への対抗案

2024年6月12日 アメリカ2023年ヘンプ生産量増減からの考察事項、バブル崩壊を超えて

2024年6月7日 合成嗜好用大麻排除に向けた各州の動向〜どんどん排除(あるいは包括)の方向へ〜

2024年6月4日 嗜好用大麻解禁済の州、コネチカットが告発した合成事業者達の行末

4,500億円超の合成グレーマーケットが真実

「2018年のファームビルが生み出した曖昧さのために、推定4,500億円規模の巨大なグレーマーケットが爆発的に拡大し、州がカンナビス使用を合法化する意図に関わらず、嗜好用大麻同等の製品が経済に流入し、成人用合法嗜好用大麻プログラムが既に存在する州における規制と消費者保護を無意味にし、危険にさらしています」と書簡は述べています。

「議会が新しい5年間のファームビル再認可に着手する準備を進める中、全国に合成嗜好用大麻製品が広まり、州や地方がそれに対応する能力に挑戦を与える健康と安全の危機を招いた2018年のファームビルが生み出した明白な曖昧さに対処するよう、委員会に強く求めます。この無謀な政策に対処するために、議会に最も強い言葉で訴えます」と書簡は訴えています。

0.3%のTHCも恣意的なあいまい数値だった

驚くべきことに、この書簡はヘンプ食品に含まれるデルタ-9 THCの全国制限が問題になる可能性があることを示唆しています。「現在のヘンプを定義する法律は悪用されています。食品に適用される場合、産業用ヘンプと嗜好用大麻を区別する0.3%のTHC制限は、酩酊の可能性を区別するには不十分です」と指摘しています。

「その結果、嗜好用大麻を合法化している州よりも少ない規制下で製造された過度にTHCが強力な粗悪な製品が見られるようになっています。」

米国全土の州当局者は、麻薬性の合成嗜好用大麻製品の無規制市場と戦うためにさまざまな方法を試みていますが、執行リソースが不足しており、州ごとの裁判所の判決がしばしば対立し、混乱を招くことが多いです。

嗜好用および医療用大麻セクターの業界代表者たちは、麻薬性の合成嗜好用大麻製品が不公平な競争を表していると激しい不満を述べています。

5年を経て、ヘンプを改めて定義しよう。となる

州の司法長官たちは、連邦議会に対して、州がヘンプやカンナビノイドを規制および制限する権限を明確にするよう求めています。

また、次の農業法案(もともとは2023年版の農業法案でしたが、繰り返し延期され、2025年まで準備が整わない可能性があります)では、連邦法の下でヘンプの定義を明確にすることも求めていますが、具体的な変更点は提案していません。

この書簡には、インディアナ州のトッド・ロキタおよびアーカンソー州のティム・グリフィンという共和党の司法長官、およびカリフォルニア州のロブ・ボンタとコロラド州のフィリップ・ワイザーという民主党の司法長官が主導して署名しました。

更に、以下の州の司法長官も署名しています。カリフォルニア州、コネチカット州、コロンビア特別区、ジョージア州、アイオワ州、カンザス州、メリーランド州、ミネソタ州、ミズーリ州、ノースカロライナ州、ノースダコタ州、オレゴン州、ペンシルベニア州、サウスダコタ州、テネシー州、バージニア州、そしてワシントン州。

編集部あとがき

あらゆる物事において、次のステージに向かうためには、一度その状況を俯瞰して眺め、それが失敗であればその失敗を失敗と受け入れ、うまくいっているのであればその上で俯瞰して状況を眺め、その上でより良い方向へと、新しいスタイルを築いていくと思います。

CBDバブル崩壊後、供給過多によって余りに余った「ゴミヘンプ達」から生まれた合成嗜好用大麻製品群を摂取した消費者達の健康被害続出という人的健康の崩壊が直撃しているアメリカグレーマーケット市場、合成嗜好用大麻製品群の流行を止めるべく連邦としても排除の方向へどんどん動いています。

その排除に協力的なのは、医療大麻産業と嗜好用大麻産業側の関係者で、その対抗が現CBD事業者(の多く)、ヘンプ事業者(の多く)となります。つまり、供給過多になり、バブル崩壊に直撃してしまった側の人達。と、規制の中で大麻ビジネスを成立させてきた事業者達との対立構図です。

とはいえ、一番の悪をあえて言うなら、2018年にグリーンラッシュを出鱈目に煽ったメディア達が犯人ではあるのですが、そこは割愛します。

全世界で合成嗜好用大麻製品は経済を大きく動かしていますが、比例して人々の健康が損なわれ、そして、連邦法全体の政策を数年遅延させる諸悪の根源となっています。つまり、ヘンプ産業を逆流させてしまった。という効果があります。

合成製品の流行のおかげで2年間放置されていたファームビルの決定やそこから紐づく予算組みや、CBDの食品合法化など、停止しいてる課題が山積みではありますが、一気に、潰す目標、そして、これまでの失敗を受け入れることによる新たな前進。が、昨今のアメリカにあります。

今回の記事を4つのポイントに整理しました、ご参考ください。

1.2018年農業法案の失敗とその影響:
著者は、2018年農業法案の目的であった工業用ヘンプ市場の創出が失敗に終わったと指摘しています。ヘンプ由来の陶酔性物質が全国的に広まり、公衆衛生と安全に重大な脅威を与え、規制されず、課税もされない市場が拡大していると述べています。

2.合成嗜好用大麻製品の流行とグレー市場の問題:
2018年農業法案がCBDを原料とした合成嗜好用大麻製品を考慮しなかったために、推定4,500億円規模のグレー市場が爆発的に拡大したことが強調されています。これにより、州が意図しない形で嗜好用大麻類似製品が経済に流入し、合法的な嗜好用大麻プログラムを持つ州の規制や消費者保護が危険にさらされていると警告しています。

3.THC含有量の問題と規制の曖昧さ:
現行の0.3% THC含有量制限が食品に適用された場合の不十分さについても言及されています。この制限は、陶酔の可能性を適切に区別するには不十分であり、その結果、過度に強力な製品が少ない管理の下で製造される事態を招いているとされています。

4.州の権限と農業法案の改善要求:
州の司法長官たちは、州がヘンプやカンナビノイドを規制・制限する権限を明確にするよう連邦議会に求めています。また、次の農業法案でヘンプの定義を明確にし、現行法の曖昧さを改善するよう強く要請しています。

ちなみに、「合成嗜好用大麻製品で救われる人がいる」というフレーズが販売側、関係者側のお決まりの言葉となっていますが、はたして本当にそうでしょうか。一時的、や、気休め程度の効果を誇張しているのではないでしょうか。合成製品摂取者達の「心の蝕み」を見たり聞いたりする方が多い気がします。

鬱はより鬱の深みへ。

もっともっと深く俯瞰的にこれらの事象を眺めていくと、そうではない言葉の真意に辿り着くと思います。

(度々書いておりますが)私個人的には、合成嗜好用大麻製品を悪とは思っておらず、ただ単純に多くの人々が「安価でハイになりたい」というニーズがあった。という事実が分かった。だけかと思ってます。

なので、分かった時点で、嗜好用大麻側の規制フレームに内包して規制してしまう形が、1番柔軟に産業を広げられる手段だったのではないかなぁと、個人的には感じていますが、みなさんはどう思われますでしょうか。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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