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CBD事業者達の訴訟を却下したニューヨークが排除していくCBD(と、カンナビノイド)市場

目次

ニューヨークのCBD市場に深刻な脅威

ニューヨーク州におけるCBDや他のヘンプ由来のカンナビノイド市場は、連邦裁判官が生産者や販売者のグループによる訴訟を却下したことで、深刻な脅威にさらされています。

ヘンプ由来のカンナビノイド製品を規制する新しい規則の執行により、数百万ドルの損失を被ったと主張する州認可のヘンプ事業者は、ニューヨーク州大麻管理委員会(CCB)および大麻管理局(OCM)に対して、昨年11月に発表された改訂されたヘンプ規制の下での取り締まりに関して訴訟を提起してました。

連邦裁判所ニューヨーク南部地区(SDNY)のメアリー・ケイ・ヴァイシュコル判事はこの訴訟を手続き上の理由で却下し、ニューヨーク州の違法な大麻取引に対する広範な取り締まりが、ヘンプから作られたデルタ-8 THCや合成嗜好用大麻製品市場に影響を与えることを事実上容認しました。

広範な取り締まりとは(外部サイトへのリンク):https://www.nydailynews.com/

合成嗜好用大麻製品の流行が潰した惨劇

関係者は、州による取り締まりがCBDや他のカンナビノイド市場を凍結させ、「即時かつ壊滅的な影響」を与えたと述べています。

訴訟では、州の二つの機関がヘンプ製品に対して過度に厳しい規則を発行および執行することで、企業の市民権を侵害したと主張しています。

過去関連記事:2024年6月24日 フロリダに続き壊滅か!?ニューヨークCBD市場の終わりが始まった

原告は、州の裁判所で以前の類似の訴訟で有利な判決を得た後、その優位性をSDNYで活用しようとしました。その判決により、2016年に採択されたすべての化合物の販売および所持を禁止する規則の執行を促進するために昨年8月に州が講じた緊急措置を克服することができました。

州最高裁判所が昨年11月に州の機関に対して判決を下した後、CCBとOCMはさらに規制を更新しました。今回却下された訴訟では、最近改訂されたこれらの規則とその執行が争われました。

原告は、CBDの生産者、流通業者、販売者であり、一部はデルタ-8 THCのような合成化合物を含む合成嗜好用大麻製品を販売しており、高濃度でユーザーに「ハイ」を与える製品を販売しています。

これらの化合物を含む製品は「ダイエットウィード」や「マリファナライト」と呼ばれ、大麻の代替品として販売されています。

カンナビノイド全排除の勢い

ヴァイシュコル判事が手続き上の理由だけで判決を下したため、原告はSDNYで訴訟を修正して再提出する可能性があります。弁護士によると、この問題が連邦裁判所でさらに検討されることは今後必然的に起こると考えられ、合法な大麻およびヘンプ市場に重大な影響を与えるでしょう。

原告側に有利な判決が出れば、州が合成嗜好用大麻製品を規制する能力が弱まる可能性があります。

一方、規制当局に有利な判決が出れば、2018年のファームビルがヘンプと合成嗜好用大麻製品を(文章上では)合法化したにもかかわらず、州がヘンプ由来製品を自由に規制または禁止する権限を強化することになります。

CBD市場、崩壊へのタイムライン

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ニューヨーク州の規制当局が最初に合成嗜好用大麻製品に対処したとき、自宅のような設備不備なラボでヘンプ由来のCBDを処理することによって作られるすべての化合物の販売および所持を禁止する規則を制定しました。

しかし、連邦法と州法の矛盾と取り締まりの欠如により、デルタ-8 THCや他の合成嗜好用大麻成分を高濃度で含む中毒性製品のグレーマーケットが急速に発展しました。

全米3位のCBD市場も没落していくのか

これらの合成嗜好用大麻製品は、2018年のファームビルが産業用ヘンプとその派生製品を米国全土で合法化した後に出現しました。しかし、連邦法にはヘンプの花から作られる合成の精神活性製品が含まれていないため、抜け穴が生じたままです。

ヘンプ製品の市場を潰す可能性があるだけでなく、CBDとTHCの比率を15:1に設定する規制も、産業用ヘンプから作られる他の非精神活性の抽出物(CBDやCBG等)をも消滅させる可能性があると原告は主張しています。

ニューヨークでの混乱は、今年の米国のCBD市場に対する多くの最近の打撃の一つです。

フロリダ州議会はも合成嗜好用大麻製品に対する厳しい法律を可決し、その州のCBD抽出物市場も脅かしています。

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ニューヨークは米国の州の中で3番目に大きなCBD市場であり、データ提供者のStatistaによれば、2024年の売上高は15億ドルと予測されています。カリフォルニアが最大で33億ドル、フロリダが2番目で18億ドルとランク付けされています。

編集部あとがき

合成嗜好用大麻製品事業者側、つまりヘンプ事業者ではあるのですが、彼らの訴訟が却下されたことで、ますますCBD市場も含めたカンナビノイド市場排除への動きが濃厚となっているニューヨーク。

全米第3位のCBD市場規模を誇るニューヨークでさえも、その合成嗜好用大麻製品の大流行には頭を悩ましている状況です。

フロリダも同様に厳しい規制を課し、フルスペCBDが市場から消えてしまう規則を設けていますが、それは事実上、カンナビノイド製品毎消滅してしまうことも同時に意味します。

全米で市場形成ができてきたアメリカがCBDバブル崩壊を受けて、今まさに産業の逆再生を実行しているように見える各州。

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しました。

1.裁判所の判断の影響:
ニューヨーク州のCBD市場は、連邦裁判所がヘンプ事業者側の訴訟を却下したことで、州による厳しい取り締まりの影響を受け続けています。

2.手続き上の問題:
訴訟が手続き上の理由で却下されたため、原告は修正して再提出する可能性があり、今後の連邦裁判所での審理が予想されます。

3.合成カンナビノイドの市場のリスク:
2018年のファームビルによる合法化後、合成嗜好用大麻製品の市場が急成長しましたが、規制の抜け穴が問題となっています。

4.広範な市場への影響:
ニューヨークの市場での混乱は他の州にも波及しており、フロリダなどでもCBD市場に対する厳しい規制が進行中です。

記事内に「CBD市場崩壊へのタイムライン」を記載しておりますので、各州各国どのような対策を講じてきたのか、参考までにご一読ください。

この産業、そしてヘンプという植物のポテンシャルは計り知れないほど大きく明るい可能性を秘めていることは間違いありません。

ただ、時の為政者の思惑やあらゆる利権、そして、法の抜け道をフル活用し、あからさまな人的健康被害を勃発させるなど、新興産業がスタートしてから、同時多発に爆発的に問題が生じているのが、他の産業ではなかなか見れない状況です。

たった1つの植物から始まった「グリーンラッシュ」という幻想。その幻想に踊らされるのか、しっかりと俯瞰して産業規模とその実体を見据えていられるのか。

どうか、関係者の皆様、疲弊せずに、常にリラックスしてこの産業を(共に歩める方は)歩んでいきましょう。道のりは長いので。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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