カザフスタン、外国投資を呼び込み産業用ヘンプに本腰
カザフスタンが「ヘンプ投資の新たな場」として注目を集めています。外資による大型プロジェクトが相次ぎ発表され、今回は中国からの投資構想が明らかになりました。これでわずか3か月間に、イタリアと中国の2件の案件が同国の外交省と投資促進機関「Kazakh Invest」を通じて示されたことになります。
同省投資委員会のガビドゥッラ・オスパンクロフ委員長は、中国の医薬品企業「Cheng Tian Run Kang Medical Limited」の李主席と会談。李氏は、医薬品・栄養補助食品・繊維向けに産業用ヘンプを栽培・加工する意向を示しました。
オスパンクロフ氏は「この構想は製薬と農業高度加工という投資優先分野に合致する」と述べ、政府が全面的に支援する姿勢を示しました。
外国投資の流れと国内法改正
今回の発表は、7月にイタリアの農業団体UCI(イタリア農業連合)が繊維・グリーン建築・医薬品分野での投資を協議した動きに続くものです。各地で100ヘクタール規模の試験栽培が始まる見込みとされています。
こうした外国からの関心の背景には、カザフスタンが6月に制定した新法があります。THC含有量0.1〜0.3%の範囲で産業用ヘンプを合法化し、4件の栽培ライセンスを付与。繊維や食品、建材、バイオエネルギーなど幅広い応用を視野に入れています。
すでにコスタナイ地方で試験栽培が始まり、北カザフスタンではフルサイクルのアグロ工業施設計画も進行中です。
経済多角化への切り札
当局は「紙などの輸入代替だけでも年間1億ドル以上の節約効果がある」と試算。さらに500種類以上の用途を見込んでおり、経済多角化・雇用創出・持続可能性の柱として位置づけています。
背景には、同国が長年違法嗜好用大麻と格闘してきた歴史があります。新法はそのインフラを合法的かつ管理下に置き換える狙いもあり、違法から合法への転換点として象徴的な意味を持っています。
イタリアと中国という二大外国勢が動き出したことで、カザフスタンのヘンプ産業は過去の試行錯誤を超えて、実際の産業基盤づくりに踏み出す段階に入ったと見られます。
編集部あとがき
今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。
1.中国とイタリアの大型投資が続々
わずか3か月間に両国から投資案件が浮上。外交省とKazakh Investが主導する形で、国際的関心が一気に高まっている。
2.新法が明確な枠組みを提供
2025年6月に成立した法律により、0.1〜0.3% THCの産業用ヘンプが合法化。4件の栽培ライセンスが付与され、産業発展の土台が整った。
3.経済多角化と輸入代替の狙い
紙など年間1億ドル規模の輸入品を国産化可能。500以上の応用が視野にあり、農業・製薬・建材など幅広い分野で新たな市場が期待される。
4.違法大麻から合法産業への転換
過去の嗜好用大麻問題を産業用ヘンプで合法的に再構築。政府主導の枠組みのもと、経済発展と規制強化を両立させる方針が示された。