産業の責任の極み:合成嗜好用大麻製品の対応の失敗
ヘンプ関係者は、現在論争中でもある新農業法案(ファームビル)を巡るヘンプ業界の優先事項を再び提案しましたが、ヘンプ由来のCBDから作られたデルタ-8 THCなどの酩酊作用のある合成嗜好用大麻製品については含まれていませんでした。。
アメリカヘンプ・ラウンドテーブル(USHR)の名のもとに発表された推奨事項は、2023年の農法の遅延が、ヘンプエキスや合成嗜好用大麻製品に関するさらなるロビー活動や議論の窓口を開き、その中で発表されました。
アメリカヘンプ・ラウンドテーブル(USHR)の年初の声明では、ヘンプ業界33の団体の間での「統一・団結」について、強調されていますが、まだ業界で最も利益の上がるサブセクターであるCBDビジネスに混乱をもたらしている合成嗜好用大麻製品食品に関しては、ほとんどまとまりが見られません。
業界の優先事項の元の声明が昨年発表されたとき、合成嗜好用大麻製品については一切触れられませんでした。
アメリカヘンプ・ラウンドテーブル(USHR)は、すべての元の推奨事項を繰り返しますが、「ヘンプの現在の定義を維持しつつ、適切な消費者保護と引き続き市場へのアクセスをバランス良く保つための政策」を求めることを追加しました。これらの製品が酩酊作用のあるヘンプの食品であると推測されています。
ヘンプと嗜好用大麻を混在されることによる危惧
これらの合成嗜好用大麻製品は、嗜好用大麻のような「高揚感」をもたらし、ヘンプ由来のCBDをラボ(キッチンラボ・ガレージラボなどの簡易ラボ含む)で、さまざまなプロセスにかけて製造されます。
これらの製品は、全国各地での訴訟や規制上の課題の源であり、多くの製造業者や流通業者が危険なゲームをしている荒れ放題の市場を抑制しようとする中、異なる州が異なるアプローチを取っています。
第一に、公衆衛生への危険です。危険な製造業者は引き続き、デルタ-8などの酩酊作用のあるカンナビノイドを子供たちに販売し続けており、人気のあるキャンディーやお菓子のブランドを模倣した鮮やかな色彩のパッケージに食品を詰めています。
これらの製品は嗜好用または医療用大麻の規則の対象外であるため、汚染、適切な包装、健康警告などの保護策の対象外です。
第二に、ヘンプ産業全体への危険性です。ヘンプの「新時代」の先駆者たちは、数十年にわたって、ヘンプを嗜好用大麻と同一視する誤解を解消しようと努力してきました。
しかし、「酩酊作用」のあるヘンプ製品が一般に(および規制当局によって)さらされることで、これらの努力の成果はすぐに浸食され、ヘンプの全セクターにわたる投資や開発に悪影響を与えています。
闇落ちCBD事業者としては止めたくない合成市場
しかし、アメリカヘンプ・ラウンドテーブル(USHR)の元で活動している33のグループは、この列車事故について明確な意見を持っておらず、このような合成嗜好用大麻製品に対する現実的な戦略を提示する機会を逃し、消費者の安全性に関して責任ある業界団体としての姿勢を示す機会を逸しています。
昨年8月、いくつかの州の大麻規制当局からなるグループが、CBDから製造される合成嗜好用大麻製品など、すべてのヘンプベースのカンナビノイドについて国家的な枠組みを設立することを議会に提案する手紙を送りました。
この論拠のある書簡は、業界の政策声明の基盤となる可能性がありました。
しかし、ヘンプ協会の会員のほとんどは、CBD関連企業で構成され、資金提供されており、合成嗜好用大麻製品に対するアプローチで合意に達せず、共通の原則に達することができないため、問題を先送りしています。
CBD食品化からはどんどん離れていく
2018年の農業法案は、産業用ヘンプに関して画期的なものとなり、「その植物の任意の部分、種子、およびすべての誘導体、エキス、カンナビノイド、異性体、酸、塩、およびその塩のすべて」を法的に認可し、そのデルタ-9テトラヒドロカンナビノール(THC)濃度が乾燥重量基準で0.3%を超えないものとしました。
しかし、立法者はヘンプ誘導体から作られた酩酊作用のある製品を想定し、決して合法化しようとはしませんでした。
CBD自体がすでに市場に氾濫していた可能性について認識し、2018年の法律は、「米国食品医薬品局(FDA)がCBD製品を含むヘンプ製品を規制する権限を保持する」と述べていましたが、まだ規則を発行していません。
合成の酩酊作用のあるカンナビノイド–デルタ-8 THC、HHC、THC-P、およびTHC-Oなど–は、2018年の農業法の成立に続くCBDブームとバブル崩壊の後に登場しました。
CBD市場が崩壊するにつれて、生き残ったCBD事業者たちも最終的には、連邦法の抜け穴でもある合成嗜好用大麻製品のグレー市場を作り出していった事業者達と手を組み、滞留させていた「廃棄ヘンプ」の出口がそこになりました。
嗜好用大麻合法化の道が唯一の策か
2023年農業法案は、昨年末に策定予定されていましたが、現在今年の9月まで延期されており、CBDやCBDから作られる合成嗜好用大麻製品に関する疑問に対処する機会です。
この遅れは、曖昧な規制状況が続き、潜在的に安全でない合成嗜好用大麻製品が市場に残るということを意味します。
最良のシナリオでは、これらの製品は許可されるべきですが、嗜好用大麻の規則の下で管理され、厳格にライセンスを取得したディスペンサリーに制限され、適切な製造慣行、ラベル規則、警告が備えられているべきです。
少なくとも、子供たちは地元のガソリンスタンドやボデガで酩酊作用のあるお菓子にアクセスすべきではありません。
CBDセクターが自らの行動を管理できることを示すまで、消費者を保護し、一般市民の信頼を高めるために、連邦政府と州政府による明確な規則とより緊密な監視が必要です。
重要な問題は、罰としての規制ではなく、堅実で責任ある慣行と基準を定義することです。明らかに、CBD業界はそれができる能力を持っていません。
編集部あとがき
今回関連記事のリンクが多いですが、お時間に余裕のある方は是非ご覧ください。アメリカの失態の全貌が分かると思います。
さて、大麻も嗜好用大麻も医療大麻もヘンプも麻も同じ植物です。特性の1つである「高揚感(ハイ)」になれる「効き」の部分が安価で拡大していった先に、痛い目を見ているのがアメリカです。
毎度書いてますが、合成嗜好用大麻製品の流行(効き)によって、 CBDバブルが崩壊し、CBD業者の多くは合成事業者に転身し、汚染にまみれた合成製品が拡大、ヘンプ産業(繊維・建材・食品など)の産業側は研究拡大が遅延し、農業法案策定を遅延させ、業界に莫大な予算がおりず、FDAは CBDを食品化できない、さらには、事故者増加、と、ヘンプ産業に対して、少なからず良い影響を与えていないということは、マクロ視点で見るとよくわかると思います。だからと言って、合成製品自体が悪。と言っているわけでもありません。
大麻の「高揚感(ハイ)」になる「効き」ですが、その経験を知っている者からすると、大麻という植物自体の産業多様性や優位性は、幅広く見えて理解できると思うのですが、その視点を、一般の大麻を知らない人に、「高揚感(ハイ)」や「深い鎮静(チル)」を入り口として伝えようとすると、痛い目にあいがちなのが、この業界あるあるかもしれません。
「合成嗜好用大麻」という存在は、合法(グレー)という枠の中で、大麻の分かりやすい特性でもある「高揚感(ハイ)」や「深い鎮静(チル)」が得られます。
この情報を大麻の「効き」を知っている人が読んでも、「そうそう」、と、なるわけですが、知らない人からすると、「高揚感(ハイ)?」、「深い鎮静(チル)?」と、これまで見聞きしたことが無いワードが目耳に入り、そこから更に、「恐怖」というスティグマが現れてきますので、それらを全て乗り超えて、その感覚に向かう。という行程が必要になってきます。
その上で、知らない人達は、ヘンプと合成嗜好用大麻が混合されていきます。場合によっては、「最悪の体験」になる可能性が含まれてます。
どう考えても効率悪いですよね。
つまり、嗜好用大麻が解禁、あるいは非犯罪化されていないエリアである以上、嗜好用大麻の「効き」の部分が先に広がってしまうと、ヘンプ産業全体の拡大になり得ないわけです。
伝えたい側が意図している感覚のゴールまで、ストレートに、世論には響いてくれないのが明確な事実です。
日本で、産業の進行を遅延させずに拡大していくには、「大麻の効き(ハイ)」の部分は一旦置いておいて、それ以外のヘンプとCBDのメリットを「恐怖」が現れないように伝えていくことが、アメリカのようにならずに済む道。ということが分かりました。
嗜好用大麻の「効き」という特性を多くの方に体験して欲しい。という思いのある方も、たくさんおられると思いますが、それが叶うのは、「嗜好用大麻合法化」か、あるいは、「嗜好用大麻の非犯罪化」が実現された後から出来ることになります。
その手前でマジョリティの心を動かしていくには、どうしたら良いのか?それが、荒れ狂うアメリカ合成嗜好用大麻戦争を受けて、お分かりいただけたかと思います。
大麻取締法の改正、事業者や関係者は認知していたとしても、世論には何も響いていないのが事実です。今後、その事実をどう受け止めて、産業拡大に向けて、どう動いていくかがキーポイントになります。
アメリカのようにならぬように。。。