大麻取締法が廃止され、栽培に特化した大麻草栽培法に全面改正
昨年の臨時国会にて衆参議院の各厚生労働委員会での審議を経て、11月14日に衆議院で可決、その後12月6日に参議院で可決され、12月13日付の官報にて新しい大麻草栽培法が交付されました。
大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律
第一段 未施行 医薬品の解禁と施用罪の適用
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000124_20250601_504AC0000000068
第二段 未施行 産業用と医療用の栽培の適正化
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000124_20251212_505AC0000000084
新しい大麻草栽培法は、2025年春シーズンからの法施行となり、運用が始まります。
栽培免許は、都道府県知事が許可を出す第一種免許(産業用途)と、厚生労働大臣が許可を出す第二種免許(医療用途)になります。また、研究免許(大麻草の栽培を伴う研究)は、厚生労働大臣が許可を出す免許となり、全部で3つとなります。
いわゆる「ヘンプ」の定義、THC濃度0.3%未満の基準値
農林水産省が公開した情報によると、下記の区分となりました。
THC0.3%未満、タイプA(種子繁殖)、タイプB(栄養繁殖)、タイプE(雌性化種子)
THC0.3%以上、タイプC(栄養繁殖)、タイプD(雌性化種子)
現在の日本で伝統的に栽培されている大麻草はすべて種子繁殖のみ。医療用栽培が合法化することに対応するために植物の新品種保護条約(UPOV条約)の特性表(産業用大麻しか考慮されていない)を採用せず、EU品種庁の特性表を採用しています。栄養繁殖は主にクローン栽培のこと、雌性化種子は、フェミナイズド種子からの栽培のことであり、主にハーブ大麻の栽培で用いられています。
出典:農林水産省
5月20日、来年度の第一種/第二種大麻栽培者の希望者の集い
一般社団法人 麻産業創造開発機構(HIDO)では、23年に第1回から第6回まで、様々な分野のヘンプの可能性を国会議員、関連する中央省庁、関心の高い事業者に向けて勉強会を積み重ねてきました。
第1回 産業用大麻活用に関する勉強会、各分野の現状報告
GX(グリーントランスフォーメーション)への対応
第2回 検査基準と適切な検査機関設立についての課題
第3回 自動車産業における環境への貢献とヘンプの活用
産業用大麻企業間プラットフォーム「HEMP HUB」の始動
第4回 100%天然無農薬な建材 “ヘンプクリート” とは
第5回 麻(ヘンプ)の食品としての魅力とその市場性・経済性について
持続可能な航空燃料、“SAF”の可能性について
第6回 大麻取締法等の改正について
麻(ヘンプ等)における紡績、リネン、ラミーとの比較
今回は、新しい大麻草栽培法を受けて、栽培免許をお持ちの事業者様および栽培免許の取得を目指す事業者(個人)様を対象とする下記イベントを開催します。
第7回 麻(ヘンプ)の活用に関する勉強会」開催のお知らせ
日 時:令和 6 年 5 月 20 日(月) 15:00~(所要:1 時間程度)
場所:衆議院第二議員会館 1 階多目的会議室(千代田区永田町 2 丁目 1-2)
主催:一般社団法人麻産業創造開発機構
協 力:一般社団法人北海道ヘンプ協会
後 援:自由民主党 産業や伝統文化等への麻の活用に関する勉強会
神道政治連盟・神道政治連盟国会議員懇談会
1. 「改正法施行に向けた産業用および医療用大麻の栽培について」(仮)
2. 質疑・応答
参加方法:お申し込み期限:5月16日(木)24時まで
(定員を超えるお申込みがあった場合、オンラインでのご参加をお願いする可能性がございます。あらかじめご了承ください)
また、国に先駆けて、大麻栽培の規制緩和を実現した三重県では、明和町の天津菅麻(あまつすがそ)プロジェクトの各種取組や産業化に向けた試行錯誤を一緒に学べる場があります。
第9回:HEMP HUB オリエンテーション【オンライン開催】
2024/05/21 (火)15:00 – 15:30 JST
HEMP HUBは、産業用大麻(ヘンプ)関連の情報や知識を集約し、ビジネスや栽培に興味を持つ企業を支援するプラットフォームです。
産業用大麻の可能性が日本でも認知され、環境負荷の低いサスティナブルなビジネスとしての期待が高まる今、HEMP HUB では「ヘンプ産業のフロンティアを切り開く企業」の参画を募集しています。
HEMP HUB オリエンテーションは、毎月1回開催されており、先行事例として注目されている三重県の動きに参画したい事業者/個人の窓口となっています。
今年の栽培の様子
三重県モデルの全体像が不明という方は、昨年のCBDジャーニー/カナコンでのシンポジウムの様子が公開されているので、こちらをご視聴いただければと思います。
産業用ヘンプ栽培の夜明け【CannaCon2023】1時間32分
千田 良仁 一般社団法人明和観光商社代表理事、皇學館大学現代日本社会学部教授
岡沼 隆志 ヘンプイノベーションは、産業部門の大麻栽培免許者
参考リンク:
一般社団法人麻産業創造開発機構 https://hidojapan.org/
農林水産省品種登録データベース https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hinshu/
編集部あとがき
0.3%のTHC制限値や栽培タイプなどが開示されていくと一層、国産大麻栽培プロジェクトへの具体的な期待が高まっていきます。早速ですが、20日(月)には、「第7回 麻(ヘンプ)の活用に関する勉強会」がありまして、そのの締切が16日(木)の24時となっていますので、大麻栽培免許の取得を検討されている方は、お早めにお申し込みください。
また、栽培も含めたビジネス視点で、ヘンプからどのような事業を構築していくか。などの具体的なビジネスを検討されている企業様におきましても、翌日の21日(火)の15時から、HEMP HUBオリエンテーションとして開催されます。
両日共にご参加いただくことで、これから確実に拡大していく新作業でもある、国産大麻栽培、国産大麻ビジネスの骨子が掴めてくると思います。
記事内にリンクがありますので、ふるってご参加ください。
第一種は、ヘンプ(0.3%未満)、都道府県知事承認で、第二種は、医療用大麻(THC制限無し)、厚生労働省承認となります。
THC制限値は0.3%という数値が、農水省からの公開されましたね、アメリカ同様に、この制限値がベースとなって、国内栽培の基準は、稼働していきそうです。
あくまで国内収穫ヘンプの制限値ではありますが、輸入製品においても同等の値になると思われますので、これまで輸入されていた方々も、ご参考ください。
但し、今後、アメリカ連邦法の動きやヘンプ先進地域では、制限値を1.0%にする動きが活発化しております。
そんなTHC制限値の変化を受けて、日本としましても、法改正施工後の5年の経過観察を得て、THC制限値の状況には変化があると思いますが、一旦は、この0.3%という数値を頭に入れておくと良いかと思います。
冒頭で書きましたとおり、第一種免許は都道府県知事の承認管轄です。現時点では、三重県がもっとも柔軟ではありますが、先の未来、全国的に地元の農家さんや、企業さんなどが、地元行政を巻き込んで、どんどん免許申請をしすすめていって、お米のように国内にたくさんの大麻畑が広がることを期待しています。
その先には、脱炭素社会の実現があります。