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農水省事業でヘンプ栽培の手引き(子実編)を発行

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農水省のWEBサイトに初めて「大麻草」情報が登場

国が、1980年代に「ダメ。ゼッタイ。」の薬物政策を強固に推進してきたことから、大麻草の栽培は原則禁止として大麻取締法を運用してきました。しかし、国内外の情勢の変化を踏まえて、202312月に75年振りに改正大麻法(大麻草の栽培の規制に関する法律)が制定され、202531日に施行されました。

 米国農業法では、いわゆるヘンプ品種と呼ばれているTHC0.3%以下のものは農務省(USDA)管轄、THC0.3%を超えるものは麻薬取締局(DEA)の管轄と区別されていますが、今回の法改正では、日本では全ての大麻草を厚生労働省が管轄しています。

第二次世界大戦前までは当時の農林省管轄でした。今回の改正で大麻草が再び農業分野であることを思い出したかのように20254月から日本の農水省農産局果樹・茶グループのWEBサイトに大麻草が登場しました。

大麻草は、農水省の果樹・茶グループの中の地域作物第3班(その他工芸作物)の管轄となっています。WEBサイトでは、その他の地域特産物(ごま、ホップ、藍、こうぞ、みつまた、大麻草等)と明記されるようになりました。

 

引用 https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/tokusan.html

農水省は大麻草をどのように支援しているのか?

農水省では、A4サイズ1枚のパンフレットを作成して、情報提供をすると共に、栽培支援策として、「持続的生産強化対策事業のうち茶・薬用作物等地域特産作物体制強化促進事業」を紹介しています。

この農水省の補助金は、市町村のメンバーを入れて、地域の農業者5人を組織した協議会をつくり、栽培技術確立のための栽培実証農場の設置、栽培マニュアルの作成、機械導入による省力化や用途に応じた加工・調製作業の検証等の取組に対して、支援されます。

 

日本の主要作物である稲作、麦・大豆のような手厚い支援ではありませんが、事業費の2分の1(50%)補助もしくは定額(100%)補助となります。

農水省事業を利用して大麻草栽培マニュアルを作成

三重県の天津菅麻(あまつすがそ)プロジェクトでは、前述の「地域特産作物体制強化促進事業」の補助を受けて、「大麻草栽培法対応 アサ栽培の手引き(子実編)」を作成しました。以下に、その冒頭に収録されている「はじめに」と「目次」を紹介します。これらを読むことで、その手引きがどのような内容かを知っていただければ幸いです。

はじめに

アサ(Cannabis sativa L.)は、アサ科1年草であり、中央アジア原産といわれ、熱帯から冷帯までの世界各地で繊維、食用、薬用のために栽培されてきた農作物です。我が国では、1万年以上前の縄文時代からアサを利用してきた歴史があります。1950年代には37000名の栽培者と約5000haの栽培がありました。ところが、第二次世界大戦直後の1948年に大麻取締法の免許制による規制と、化学繊維の普及による需要減によって、2021年現在、1027名の栽培者と7haまでに激減してしまっています。

一方、海外では、1990年代からマリファナの主成分であるTHC基準値以下の品種を、Industrial hemp(産業用ヘンプ)と定義し、小麦やトウモロコシ等と同じ農作物として扱われています。主に繊維、子実、CBDの生産のために栽培され、環境への影響も少ないため、持続可能性に優れた作物として注目されています。

我が国では、202312月に75年ぶりに大麻取締法が大幅に改正され、「大麻草の栽培の規制に関する法律」に衣替えをしました。法改正以前は、原則栽培禁止であったアサが、伝統文化の保存/継承のための栽培から一般産業用途や医薬品原料を目的とした栽培までが可能となりました。

 三重県では、一社)伊勢麻振興協会の長年の取組みの結果、全国に先駆けてアサ栽培の規制緩和が行われ、明和町が233月に「大麻でGX(グリーントラスフォーメイション)宣言」を行いました。そして、ヘンプイノベーション()が工業用素材の供給のために大麻栽培者免許を234月に取得し、日本大麻産業(株)が有機栽培による食用種子及び低THCの種苗事業のために同免許を245月に取得しました。本書は、これらの経験と実績を踏まえて、第一種大麻草採取栽培者における機械化農業の子実採取を想定した栽培の手引きを作成しました。

 本書の内容が皆様の今後のアサ栽培に少しでもお役に立つことが出来れば幸いです。

大麻草栽培法対応 アサ栽培の手引き(子実編)

はじめに

1.栽培者チェックリスト

2.法律と免許

3.アサの一般情報

4.用途

5.品種

6.労働時間と機械化農業

7.気候と土壌条件

8.施肥

9.播種

10.除草管理

11.病害虫管理

12.子実の収穫・調整・保管・

13.子実の収益性

14.食品加工

15THC検査

16.輪作体系

17.脱穀後の茎-バイオ炭製造

付録1 アサ栽培の注意点

付録2 栃木県の作業暦

付録3 アサ特性調査

付録4 有機JASでアサに使用可能な登録農薬 / 関連団体紹介

入手先

本手引の入手先及び連絡先は「第一種大麻草採取栽培者」免許者の

ヘンプイノベーション ()まで

https://hemp-innovation.co.jp/  

天津菅麻プロジェクト(プロジェクト全体のWEBサイト)

https://amatsusugaso.jp/

 

企業間プラットフォーム HEMP HUB

https://note.com/hemphub 

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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