MENU
カテゴリー

ウクライナ、ヘンプ大国復活へ、ジュトミールに年2万トン規模の繊維工場始動

目次

繊維加工工場が稼働開始

ウクライナ中北部ジュトミール州に建設された大規模な産業用ヘンプ加工施設が、今年の収穫を受け入れる準備を整え、同国における歴史的な大麻経済復活への重要な一歩を示しています。

この施設は Ma’Rijani Hemp Company により開発され、ジュトミール州の Ma’Rizhany工業団地 内に位置しています。稼働初期はテキスタイル産業向けの長繊維生産に特化。周辺20km圏内で1,600ヘクタール以上が栽培可能で、今年は700ha分を確保し、今後1,200ha以上に拡大を目指します。

同社のドミトロ・キシレフスキー氏は「忘れ去られていたウクライナの大麻の伝統が蘇る。地元農家にとっても安定的な収益源になる」と強調しました。

拡大のゴール

工場の現行処理能力は年間1万トンのバイオマスで、将来的には栽培面積を4,000haへ拡大し、処理量を2万トンまで引き上げる計画。欧州連合との穀物輸出を巡る緊張が続く中、地元農家にとってヘンプはより信頼できる選択肢になるとしています。

ただし、近年の腐敗事件では、20トンのヘンプ種子がロシアに不正輸出されたケースも明らかとなり、規制執行や透明性向上の必要性も浮き彫りになっています。

産業基盤としての可能性

同工場からは高品質の長繊維(テキスタイル向け)のほか、断熱材や紙用の短繊維、副産物として建材用の麻芯(ハード)も捕捉する計画です。

ジュトミールの工業団地は「ヘンプ産業のハブ」として構想され、将来的には紡績、包装、サステナブル紙や断熱材などの二次加工産業を誘致する予定。旧フラックス工場跡地に建設され、これまでに約2,500万ドルが投じられ、最終的には1億ドル規模・従業員700人規模へと拡張を計画しています。

国家戦略の一環

このプロジェクトは、ウクライナが世界的なヘンプ生産国として再び存在感を示すための国家的な取り組みの一部です。医療用大麻法の制定や電子ヘンプ登録制度により、ヘンプは他の農作物と同じく扱われるようになりました。

現在は約3,000haの栽培が見込まれていますが、将来的には8,000ha規模への拡大も予測されています。紛争や環境リスクが残る中でも、ジュトミールでの産業規模の加工開始は「ヘンプ復興の大きな節目」として注目されています。

キシレフスキー氏は「世界市場でのヘンプ繊維需要は拡大している。それが我々の前進に弾みをつけている」と語りました。

編集部あとがき

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1.歴史的伝統の復活

ウクライナは長い大麻文化を持ちながら、禁止と衰退を経てきた。ジュトミール工場の稼働は、その伝統を現代的に蘇らせる重要な節目となる。

2.農家への新たな収益源

不安定な穀物輸出に依存する代わりに、ヘンプ栽培が地元農家に安定的かつ持続可能な収益機会を提供し始めている。

3.産業拠点としての発展性

繊維生産だけでなく、紙、包装、断熱材、建材などへの展開が可能で、最終的に700人を雇用する大規模クラスターへ成長する可能性がある。

4.国家戦略との連動

医療大麻法や電子登録制度の導入により、ヘンプは通常作物と同等に扱われ、今後8,000ha規模の拡大も見込まれる。これはウクライナを再び世界的ヘンプ大国へ押し上げる基盤となる。

 

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URL Copied!
  • URL Copied!

AUTHORこの記事をかいた人

HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

目次
閉じる