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新しい大麻法のパブリック・コメントの論点(1)栽培品種のTHC濃度

目次

今回のパブリック・コメントは第1段階

昨年の2312月に交付された新しい大麻法/麻向法では、2段階の改正がこれから施行されます。

厚労省方針

 第一段階  24101

 大麻由来医薬品の施用、施用罪の適用、CBD製品のTHC残留限度値の設定

 大麻草研究栽培者免許の施行、分析業務は麻薬研究者(都道府県知事免許)

 

 第二段階  2531

 第一種、第二種、研究者の栽培規制に関すること

今回のパブリック・コメントは、第一段階となっています。締切629日まで

【募集開始】医療従事者/CBD製品事業者などの現場の声を届ける機会です。

https://hemptoday-japan.net/16244 

パブコメの効果

「日本のパブリック・コメントは、出来レースだ!」

という見方をする人が多いと思います。それはある面では正しいことです。

たいていは、法律が成立した段階で、細則のアウトラインが決まっていることが多く、

業界団体や族議員とのすり合わせがだいたい終わっていることがほとんどです。

今回は、海外のように民主主義に基づいた住民投票で獲得した法改正ではありません。

大麻草/カンナビノイドの業界は、玉石混交、群雄割拠、魑魅魍魎なところがあり、

違法で社会的スティグマ(烙印汚名)が強いため、

これまで国会議員の賛同者がほとんどいなかったテーマです。

そのため、業界団体や族議員のすり合わせが全くできていないテーマです。

しかしながら、1項目のパブコメが100を超えると、担当省の政務官(厚生労働政務官)に報告されることが決まっており、担当省庁が非合理的な決定をしていないかのチェック機能を有しています。

つまり「無駄ではない」のです!

大麻草のTHCの上限値

厚労省方針:乾燥重量で0.3%以下

新しい大麻法では、第一種免許(都道府県知事許可)、第二種免許&研究免許(厚労大臣許可)の3種類あります。そのうち、THC上限値0.3%以下の品種を栽培できるものが第一種免許となります。

この基準は、日本の大麻草の品種のTHC濃度分析と照らし合わせると、①から④の在来種は、1%前後、1980年代に育種された栃木県の栽培種「とちぎしろ」は0.2%となっており、0.3%の基準を満たしています。

 図1:日本の品種のTHC濃度(注1

一般的なマリファナは、THC濃度525%であり、THC 1.0%ではマリファナとプラセボ(偽薬)と区別つけられず、THC 2.7%ではプラセボと明確に区別できた(Franjo and Gero, 2002)という報告があります。

我が国においては、在来種の酩酊作用を楽しんだ喫煙・吸食や文化的風習は一般的ではなかったと考えられています。これは、古くは九州大学西岡先生の研究、最近では、ゲノム解析により4000年前に大麻草が繊維型と薬用型に分かれたという研究、大麻博物館館長の歴史研究などで明らかになっています。(注2)

 

くわえて、THC1%の採用する国も増えていることを指摘しておきます。

図2 世界のヘンプ品種のTHC上限値(注1)

海外のヘンプ品種のTHC上限値には、いろいろとありますが、最近の傾向は1.0%となっています。

また、世界最大の遺伝資源を保存するロシアのバビロフ研究所のコレクションにおいても、8割から9割がTHC濃度1.0%の系統が多いことが判ります。

図3 カナダとロシアのバビロフ研究所コレクションのTHC濃度(注3)

そして、0.3%を基準としている科学的根拠は不明瞭であり、1970年代に便宜的な分類として報告されたものが、各国で基準値に採用されたものにすぎません。

 

参考記事:THC制限値は1.0%へ、国際基準はそこに向かいつつあるが、しかし

https://hemptoday-japan.net/16277

パブコメ意見例

よし、じゃあパブコメに自分も書いてみよう!と思っても、何を書いたらちゃんと意味のあるコメントになるのか、分からないという声も沢山いただいております。

以下に例文を挙げておきますので、参考にしてみてください。

大麻草のTHC上限値が0.3%以下とありましたが、この科学的根拠はなく、1970年代に便宜的な分類として報告されたものが、各国で基準値に採用されたものにすぎません。農業経営者2211月号「特集:日本の産業用ヘンプ(前編)」によると、THC上限値が1.0%を採用した国が多く、日本の在来種は1%前後であることが明らかになっています。

日本ではアルコール(お酒)の酩酊の文化的習慣はありましたが、マリファナ(大麻)の酩酊の文化的習慣がないことは、過去の文献調査でも明らかとなっています。よって、1%前後であっても特に問題なく生活していたと推察でき、1%の基準でも特に問題ないと思います。

日本人を使ったTHC1%濃度の摂取に関する臨床データはないため、今後の栽培種の安全性の確立のため、現在のTHC濃度0.3%以下の上限値は「暫定値」と位置付けて、科学的根拠を示すことが重要だと思います。

氏名、住所、メールアドレス

注1:農業経営者2211月号「特集:日本の産業用ヘンプ(前編)」

注2:西岡五夫:大麻に関する生薬学的研究,生薬学. 雑誌35(3),159-168(1981).
大規模な全ゲノム解析によって明らかになった大麻草の栽培化の歴史
https://hemptoday-japan.net/11439
大麻博物館 https://youtu.be/pZznPeBG9xE?si=jFVK1UCv7IgkGNgR

注3:赤星栄志.医療・嗜好・産業・伝統分野における大麻政策の動向.人間科学研究 (21) 43-702024

 

今回の対象パブコメ

大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案に関する御意見の募集について

案件番号495240036

案の公示日2024530

受付締切日時202462900

所管省庁 厚生労働省

こちらから(外部サイトへのリンク):https://public-comment.e-gov.go.jp/495240036

参考リンク

大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律

第一段 未施行 医薬品の解禁と施用罪の適用

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000124_20250601_504AC0000000068 

第二段 未施行 産業用と医療用の栽培の適正化

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000124_20251212_505AC0000000084 

解説資料 https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001206962.pdf

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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