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健康博覧会レポ:「健康と健全と~CBDは良いけど大麻はイメージが悪い?!」

 

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「健康博覧会」に行って来た。

202228日から10日までの3日間、東京ビックサイトで開催された健康博覧会は「健康」の分野で国内最大のビジネストレードショーとして「健康」を大きなテーマにさまざまなジャンルの製品・サービスなどの展示やイノベーターや学識経験者によるセミナーなどもある40年続くイベントだ。「健康」は多くの人が求める大きなテーマ。その中にCBDが認められたことは大きい。

 

健康という大きなテーマだけでなく入場に際してのWEB上での事前登録では「睡眠」「オーガニック」「腸内環境」などなどさまざまな関心キーワードのアンケートがあったがその中にもCBDは入っていることからも関心の高さが伺われる。

 

コロナの影響とともに最終日は、雪に弱い都市部でのイベントでもあり、(大雪が)降る降る詐欺で人出が遠のき、予想以上に静かなイベントとなってしまった印象。そもそも出展を取りやめたブース、早々に撤去したブースなども多くみられた。

 

それでも、現在の日本におけるヘンプ業界、そしてCBD業界を牽引する「HEMPS 」ブランドのヘンプフーズジャパンやCBD業界のリーディングカンパニーの一角を担うファーマヘンプCBDを通して「環境・食料・健康」を真摯に訴求するドロップストーン、もうすぐ創業100年を迎える吉兆堂CBDをより身近なアイテムへとしているCBDFXをはじめ、CBD関連企業が確認できただけで23あり、各ブースでは人だかりや熱心に話し込む姿も見ることができ、CBD業界の盛り上がりを再確認することができた。

HEMPSのブース

Pharma Hemp

Drop Stone

インカインチオイルとCBDを組み合わせた新商品を展示していたアルコイリス、大麻由来ではないがオレンジCBDとケイ素(シリカ)の組み合わせによる商品を展開するリンクス。また、「塗る」に特化した商品展開をおこなう「totonou CBD 」の共栄、「着る」をコンセプトにしたソピック。馬油とCBDを組み合わせた(株)ディアラの横濱馬油商店。また、地方老舗製油メーカー持留製油の新規参入といった動きも確実に裾野を広げることになるだろう。

OEMをメインに展開する企業も最近はOEMよりも自社ブランド立ち上げのための原料供給の依頼が増加中だという。異業種からの参入は刺激的で認知と広がりに大きな期待が持てる動きだ。

アルコイリス

「大麻」ではなく、CBD」というジャンル?

 

スポーツやヘルスケアの視点、あるいは美容の視点や、マーケティングの観点からCBDを捉えて売場展開を提案する企業、研究検査認証などに力点を置く企業などなど、様々な切り口からCBDという新しい分野に取り組む熱意が伝わってきた。ただ、以前のCBD市場は「大麻由来の」という前提を感じたが、あまり大麻を強調せず、なんなら大麻から切り離して「CBD」というジャンルであるかのようだ。「大麻由来」であることはヤバいことでも後ろめたいことでもないんだけどね。まぁ、イメージ戦略なのだろうし、良い意味で捉えれば声高に大麻大麻と叫ばなくても、大麻を意識しなくても日常に組み込まれることは悪くない。空気を常に意識する人はいないように当たり前のことになっていけば良い。

 

とはいえ、「大麻は種でも油でも、とにかくイメージが悪い。CBDという新しいイメージで事業展開を目指す」という「麻は良いけど大麻はダメ」的な発言、あるいは「THCなどのケミカルはNG。自然由来のCBDに期待している」といった破綻した発言。あるいは薬機法を完全に無視した効果効能の全面押し、あるいはCBDを良くいうために、まぁ、THCを悪くいうのは現行法遵守という点からそうなんだろうなぁ、とも思うが、大麻を構成するCBD以外のCBGCBN他、さまざまなカンナビノイドやテルペンを意味なし、といったような耳を疑うような説明もCBDを取り扱う企業からレクチャーされたことは、麻の理解という意味合いからすれば残念ではあったけれども、まだまだCBD市場が未成熟な過渡期であることを気付かせてくれた。自信満々で説明してくれたからなぁ。たかが大麻、されど大麻。どちらにしろ提供する側はCBDも大麻の一部であることはどこかで少し考えなきゃならないことだろう。

 

逆に、現在は扱いを躊躇している、あるいはその予定はない企業ながら、「薬草」「ハーブ」「薬用植物」という観点から大麻やCBDに興味は持っている数社の企業担当者とも話すことができた。法は法として、探究の意味合いが強いんだろうな、大麻について偏見なく話せた各企業の担当者の名刺には役職や氏名の他に◯◯博士(理学)といった肩書きのある、研究者なのは興味深かった。また、柑橘系果物の研究や商品開発をおこなっている企業の担当者から言われた「せっかくさまざまな良い効能もあるのに日本でなかなか栽培できないという状況は良くないよね、もったいない」という偏見のない言葉には救われた。大麻否定の研究で有名な大学関係者と、きわどい冗談を言い合えたのは意外だった。

会場を後にして

頑なに「ダメ、絶対」を押し通す企業もあれば、対照的に新しい商材として積極的にCBDを取り入れる企業もある。「健康」というキーワードで集まった企業の中でさえ、あるいは「CBD」というまだまだこれからの小さな枠組みに中でさえ、大麻に対する方向性や捉え方の大きな壁というか温度差があるのは否めないところだ。

 

法の観点からどう捉えるか、医薬との違いをどう捉えていくのか、嗜好との区別は、、、あるいは部位規制と成分規制の問題などなど、なんとなくで進んでいくのか、明確にしていくのか、、、そしてその先は、、、。どちらにしろ嫌いじゃないがノリと勢いだけで成立することではないのだけれども、さてさて、裾野を広げれば、その分新たな問題も出てくるに違いない。そして、すでにでもあるが大麻取締法だけの問題でもなくなってくる。

 

裾野の広がりは理解とともに誤解の広がりも拡大させる。大麻は世界的にも、まだまだ誤解と偏見と矛盾と妥協だらけだ。日本においてどのような広がりをみせるのか、あるいは小さくまとまるのかは、これからのCBD関連事業者の方向性によっても大きく左右されるだろう。大麻=CBDではないが、大麻の理解がなければCBDの理解と広がりはない。それぞれの企業の考えるそれぞれの〈健全化〉と業界全体の〈健全化〉には、もう少し擦り合わせが必要だろう。何をもって健全なのかもこれからの話なのだから。

 

一部HHCの現状と未来についての話もあったんだけど、それはまたの機会に。

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AUTHORこの記事をかいた人

環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとしてさまざまな媒体に執筆。NPO法人日本麻協会理事などを務め、2016年7月、理事長岡沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1回世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれるIHEFの初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司などが広く参加した。また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳の開発やヘンプストロー、ヘンプフィルターなどの開発に携わり普及活動を続けている。2019年ネパールで開催されたASIA HEMP SUMMITにおいて「大麻と蚊帳の博物館」創設に向けた企画で起業家賞を受賞。麻の専門店「麻草屋」代表。

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