嗜好用大麻は解熱剤程度の薬物分類へ
以下の記事本文をお読みになる前に上記の過去記事をご参照されますと理解が深まると思います。
米国麻薬取締局(DEA)は、医療利用が認められ、他の危険な物質と比較して乱用の可能性が低いと認識されていることから、嗜好用大麻をスケジュールIからスケジュールIIIに再分類することに、保健福祉省(HHS)と合意しました。
この歴史的な動きは、数年にわたる圧力と長い科学的レビューの結果ですが、米国全体に大きな影響を与える可能性があります。
大麻は嗜好用には合法化されませんが、再分類には重要な意味があります。
これにより、現在IRS(米国国税庁)によって禁止されている連邦税の控除を取ることができるようになり、既に繁栄している約4.6兆円の産業がさらに促進される可能性があります。
ニューヨーク州の上院多数党指導者であるチャック・シューマー上院議員は声明で、「この再分類の発表は歴史的な前進ですが、私は引き続きSAFER銀行法やCannabis Administration and Opportunity Actなどの法案に取り組み、大麻を連邦法の対象から削除して連邦の禁止を終わらせ、麻薬戦争によって引き起こされた長年の害を解決するために、議会はできる限りの努力をしなければなりません」と述べました。
すでに大麻治療を施す3万人超の医療従事者に光が
さらに、スケジュールI物質を研究している科学者に課されていた研究の障壁が取り除かれ、嗜好用大麻の潜在的な医療上の利点をより詳細に探る道が開かれます。
HHS(保健福祉省)は声明の中で、43のアメリカの司法管轄区で、治療に嗜好用大麻を利用している3万人以上の医療従事者を強調し、「医療行為を規制する団体によって医療利用が認められている、実施された管轄区域の公認プログラムに従って運営されている(医療従事者による)大麻の医療利用について、広範かつ現在の経験が存在する」と述べました。
アメリカ成人の70%超が嗜好用大麻を支持している今
HHS(保健福祉省)はまた、「嗜好用大麻によって引き起こされる公衆衛生へのリスクは、他の乱用薬物と比較して低い」と結論付けました。
過剰摂取による死亡数は、ヘロインやコカインなどの物質と比較して著しく低い水準にあります。
この決定は、嗜好用大麻の合法化に対する世論の支持が増加している傾向と一致しています。
最近のギャラップ社の世論調査では、成人の70%が賛成しており、社会的な態度の大きな変化を反映しています。
2022年12月にバイデン大統領は、嗜好用大麻の使用と所持に対する刑事記録が、雇用、住居、教育の機会に不要な障壁を課してきたと認識し、連邦の嗜好用大麻法の見直しを求め、単純所持で有罪とされた数千人の恩赦を施しました。
国際条約などの複雑な課題もあり
DEAの対応は大きな前進ですが、いくつかの潜在的な課題が残っています。
専門家は、スケジュールIIIの分類でも嗜好用大麻がまだDEAの規制の対象となり、それにより大麻産業が厳格な報告要件に負担を強いられる可能性があると主張しています。
また、アメリカには国際条約の義務を負っており、その再分類プロセスを複雑化させる可能性があります。
これらの不確実性があるものの、DEAの決定は、アメリカの麻薬政策の転換点を示しています。これは、嗜好用大麻に関する科学的および一般的な理解の進展を認め、今後数年間でさらなる改革と、麻薬規制に対するより繊細なアプローチの道を開く可能性があります。
編集部あとがき
歴史的大転換が昨日アメリカでおきまして、記事にある通り、リスクや国際条約絡みの複雑な課題はあるものの、嗜好用大麻に対するこれまでの経緯やレビューを検証し、その結果、DEAが正式に嗜好用大麻を「解熱剤」程度の分類にまで、規制を引き下げることを発表しました。
2022年12月にはすでに、バイデン大統領も嗜好用大麻に巻き付く課題に対して、逮捕者には恩赦を、そして、法改正を求める声もあげており、それから1年半を経て、いよいよ大きな動きが如実に現れてきました。
昨日のあとがきにも書かせて頂きましたが、日本への影響は即座にはありませんが、このアメリカの規制変更に伴って、アメリカでの医療研究がどんどん進んでいくことによる、エビデンスの増加と、確固たる医療レビューが増えていくことによる、大麻を活用した医療価値の更なる向上が、世界中に波及していくと思われます。
ここで私たち業界人が、この歴史的なニュースを受けて、今の日本の状況と比較をして悲観しないで欲しいと個人的に思います。
なぜなら、アメリカでの嗜好用大麻の賛成を支持する層は、成人国民の70%以上(=経験者とも言える)もいて、大麻を医療として取り扱う医療従事者も3万人以上存在しているという背景があるからです。
まずは「日本もそのような状態になる「道順」を経てから規制分類も日本で変更されるかもしれない」。という心持ちになるだけでも、心に「猶予」と「余裕」を持てた状態で啓蒙活動(世論への教育活動)ができるかと感じています。
規制変更を受けて、どんどん医療の研究を進めてくれるアメリカ、その背景に辿り着くには、世界各国それぞれの「やり方」、「道順」があると思います。そこには当然ながら「国民の性質」も大きく関わってきます。
日本の行政や世論に対して、おかしなところを見れば見るほど、それらは溢れるほど出てくると思います。
そんな日本を「変えなきゃ、変えなきゃ、おかしい、おかしい」と思えば思うほど、変わらない日本、変わらない世論に押しつぶされ、苛立ち、焦り、怒り、嘆き、引きずり合い、と、そのような場面を見て、辛い体験をしている方も多いと思います。自分がそうでしたので。
ここで苛立ち、焦り、怒り、嘆きという感情を多くの方が発するよりも、今の日本でできるていること、進んでいることに意識を向け、少しずつでも前に進んでいる状態を捉えていく方が増えていった方が、大麻無関心層側の世論の変化も、少しずつでも進んでいくと、個人的には感じています。
「アメリカのどんどん進む大麻の医療研究結果の恩恵に、いつかの未来、私たち日本人も存分に授かれるなぁ」。という余裕の心持ちなスタンスがあってもいいよなぁ。とも感じる、この規制変更のニュースを受けて感じた、日本人としての私の感想です。(あくまで「心持ち」のお話しです)