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以前、独占インタビューをお届けした、フィル・ワーナー氏が設立したオーストラリアの大麻企業Ecofibre(ASX:EOF, 以下:エコファイバー)の株価が、この3月にオーストラリア証券取引所に上場して以来、200%上がりました。
ヒトやペット向けの栄養補助食品、局所クリーム、軟膏を製造し、ヘンプの複数の分野で活動している同社ですが、株価の上昇は、主に米国市場での栄養補助食品(CBDを含む)の堅調な売り上げによるものと述べました。
ヘンプという植物全体、「全草利用」の戦略活動
エコファイバーは、「全草利用」戦略に沿って活動している数少ない上場大麻企業の1つです。
全草利用とは、ヘンプの持つ可能性を最大限に活かすため、文字通り植物全体から、それぞれの部位に適した用途に利用する事です。
米国ケンタッキー州の畑から生産された栄養補助食品に加えて、タスマニアで栽培された作物から採れた食品グレードのヘンプシード・オイル、プロテイン、およびヘンプシードを生産しています。
同地でのヘンプシードの生産高は、2018年には前年の110トンから、一年間で360トンへと3倍増しており、同社はその生産物をオーストラリア市場で販売しています。
機能性アパレルの新時代を切り開く一手
エコファイバーは、ペンシルベニア州フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学の研究者と協力して、ヘンプをベースにしたハイテク繊維「ヘンプブラック」も開発しています。
同社はこの製品について「Hemp Blackのテクノロジーは、スマートで機能的なパフォーマンスアパレル、シューズ、ファッションの新時代を切り開いています。ヘンプバイオ製品をカーボン化することにより、インテリジェントで適応性があり、進化的である多くの高度な技術のロックを解除します。」と説明しています。
株価3倍の躍進、実益は今年から上がる見込み
同社は元々、3月のIPOを通じて1株当たり0.71ドル(AU $ 1、約75円)で1400万ドル(AU$2,000万、約14億円)を調達した後、2億1,800万ドル(3億900万豪ドル、約231億円))の時価総額がありましたが、最近は$ 2.12(AU $ 3、、約225円))の範囲で推移しています。
同社は過去2年間で614万ドル(870万豪ドル、約6.5億円)を失いましたが、2019年に損益分岐点に達し、来年には利益を上げると予想しています。
グローバルオペレーションの新形態
以上のように、Ecofibre社は、オーストラリア企業でありながら、ヘンプ栽培はタスマニアとケンタッキーで行い、株式をオーストラリア市場で公開して、米国の投資家から資金を調達しています。
こうした、本社機能は自国内に置きながら、ヘンプの栽培などの実際のオペレーションを法的に問題無い国や地域で行う企業が出てきている事は、この産業が本当の意味でグローバル化している事を示しています。
これからの日本の大麻ビジネスマンも、世界で最も遅れた大麻規制を敷いている日本を「ひとつの市場」として捉え、海外のグリーンラッシュに乗るのも一つの戦略と言えるでしょう。