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欧州ヘンプ大手HempFlaxがルーマニア撤退、大量生産モデルから高付加価値戦略へ転換

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14年の歴史に幕

欧州を代表するヘンプ企業の一つであるHempFlax Groupが、14年間続けてきたルーマニアでの事業から撤退する方針を明らかにした。

不動産売却公告によると、オランダに本拠を置くHempFlax Group B.V.は、南トランシルヴァニアのムレシュ川流域に位置するSebeș–Alba Iulia地域にある農地および農業施設の売却を進めている。この資産には約800ヘクタールの農地と農業用建物が含まれている。

HempFlaxのCEOであるMark Reinders氏はHempTodayに対し、「ルーマニアから完全に撤退し、今後はオランダのデコーティケーション(繊維分離)施設とドイツのヘンプ断熱材工場に集中する」と語った。

「ヘンプ作物の収益性を高めるため、より付加価値の高い事業分野への投資を進めていく」と同氏は述べている。

売却を担当する不動産会社Cushman & Wakefield Echinoxは、今回の撤退について「大量生産よりも、サプライチェーンを垂直統合する戦略を優先する方向へと見直した結果」と説明している。

資産価値

売却価格は公表されていないが、ルーマニアの農地価格は1ヘクタールあたり約9,000ユーロ弱とされており、土地だけでも最大で約700万ユーロの価値になる可能性がある。

Cushman & Wakefield Echinoxは、この農場について、近代的な加工施設に近接したまとまりのある大規模農業資産であり、産業活動が盛んな地域に位置すると説明している。

この不動産には連続した農地のほか、建物、機械設備、灌漑設備などが含まれている。一方、ヘンプ加工設備についてはHempFlaxが保持しており、別の場所へ移設する予定だとReinders氏は述べている。

ルーマニア進出の経緯

HempFlaxは2012年にルーマニアで初めてヘンプを栽培し、2014年に約800ヘクタールの農地を取得した。

2015年には、アルバ県に繊維加工工場を建設するため約500万ユーロを投資した。この施設の開所式には、ルーマニア農業省とオランダ大使館の関係者が出席しており、かつて世界第4位のヘンプ輸出国だったルーマニアにとって象徴的な出来事となった。

この工場は1時間あたり約4トンのヘンプ茎を処理する能力を持ち、主に自社栽培の約500ヘクタールのヘンプから供給される原料を使って、バスト繊維とハード(茎の芯部分)を生産していた。

HempFlaxの現在の事業

HempFlaxの主要な加工拠点は、オランダ北部のOude Pekelaにある施設で、大規模なデコーティケーションと繊維加工ラインが稼働している。ここで生産された繊維は、自動車部品、建築材料、家畜用敷料などに利用されている。

ドイツの工場は、子会社HempFlax Building Solutionsの一部であり、この部門の80%は2023年にアイルランドの断熱材大手Kingspanに買収された。

この事業は、HempFlaxが2020年にドイツのThermo Natur GmbH & Co. KGを買収したことに始まり、現在はTHERMO HANFブランドとしてヘンプ断熱マットや断熱ボードを製造している。

2015年のピーク時には、HempFlaxはオランダ、ドイツ、ルーマニアの3カ国で最大4,000ヘクタールのヘンプ農地を管理していたと報じられている。

しかし現在の戦略転換により、同社が管理する繊維作物(ヘンプと亜麻を含む)の栽培面積は約600ヘクタールにまで縮小している。

企業規模

HempFlaxは1993年に設立された企業で、世界の産業用ヘンプ業界でもよく知られた存在である。

同社は非公開企業のため通常は財務情報を公開していないが、2020年のレポートでは売上高を1,450万ユーロと報告しており、2019年から43%の増加を記録していた。

このレポートは公開企業の決算発表に近い形式で、事業部門ごとの成長を示していた。

なお、創業者のBen Dronkers氏は2019年の欧州産業用ヘンプ協会(EIHA)会議でHempFlaxの株式上場を計画していると発表していたが、その後、実際の上場は実現していない。

編集部あとがき

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1. HempFlaxが14年続けたルーマニア事業から撤退

同社は約800ヘクタールの農地と施設を売却し、ルーマニアから完全撤退する方針を決定した。欧州ヘンプ業界における象徴的な生産拠点が閉じられることになる。

2. 大量生産から「付加価値モデル」へ戦略転換

同社は今後、オランダの繊維加工施設とドイツの断熱材事業に集中し、より高付加価値の製品事業へ投資する方針を示している。

3. ヘンプ栽培面積は4,000haから600haへ縮小

ピーク時には3カ国で4,000ヘクタールを管理していたが、現在は約600ヘクタールに縮小している。農業中心のモデルから加工中心のモデルへ移行している。

4. 欧州ヘンプ産業は加工ビジネスが主戦場へ

今回の動きは、原料生産よりも加工・建材・工業用途といった付加価値領域に資本が集中していく流れを象徴している。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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