大麻草には精神作用のある品種と無い品種が存在し、前者を「マリファナ」、後者を「ヘンプ」と呼んで区別している。
しかし、現在アメリカでは、政府は両者を同等に扱っており、連邦法の下で栽培を禁じている。
ところが、アメリカでは州法が連邦法よりも上位である為、ヘンプの経済的価値に気がついた州が、それぞれ独自にヘンプの栽培を開始。
しかし、州では合法であっても連邦法では違法である為、麻薬取締局からの恣意的な逮捕及び作物の押収や、銀行との取引や保険の加入などが出来ないなど、ヘンプ生産者達にとって不平等な状況が続いている。
その為、乱用の恐れのない「ヘンプ」に関しては連邦法での規制を撤廃し、他の商品作物と同じ扱いとする為の法案が提出された。
アメリカで先週6月28日に、新農業法案が86:11の圧倒的多数で上院を通過し、米議会議員とヘンプ支持者たちは歓声をあげました。この後、上下両院参加の審議会を経て、ドナルド・トランプ大統領が署名すれば、米国はヘンプの栽培、加工、販売を合法化し、そして農家に保険への加入を可能とし、この新産業のためのより具体的なプログラムを、各州の管轄として構築することが出来るようになります。
この法案の下では、ヘンプは商品作物として扱われますが、依然として各州の農業省によって管理監督される事になります。また、農業者がヘンプの研究を拡大するための米農務省(USDA)の助成金の獲得を可能にするのです。
何十年もの悪しき政策の終わり
既に医療用・嗜好用大麻を合法化しているオレゴン州選出の民主党、ロン・ワイデン上院議員は、「全国的なヘンプの合法化は、何十年にもわたった悪しき政策立案を終わらせ、オレゴン及び全国の農業経営者にとって未開拓の経済的なチャンスを提供する。今日は、アメリカ産ヘンプにとって、長期間にわたる大きな前進を祝う記念日となった。」と述べました。
また、かつて1937年の大麻課税法(実質的な禁止令)施行以前には、国内最大のヘンプ生産地であったケンタッキー州選出の共和党、ミッチ・マコーネル上院議員は、以前からヘンプを合法化するための独立した法案である「ヘンプ栽培法案」を提出していました。この法案は、民主党議員17名と共和党議員9名、及び無所属2名を共同スポンサーとして集めており、成立すればヘンプを規制物質リストから除外し、州がそれぞれの栽培計画をUSDAに承認申請できるガイドラインを設定するものでした。
民主・共和両党が支持
米国議会でのヘンプへの圧倒的支持は、分断されてしまっている昨今のアメリカの政治情勢において、この法案が、非常に稀な超党派問題の1つであることを示しています。
McConnell議員は、投票前に上院で「アメリカの消費者は毎年、何億個ものヘンプ製品を購入している。しかし、この産業作物とその不法な従兄弟(マリファナの事)を明確に区別していない連邦政府の時代遅れな規制のために、アメリカの農家は、ほとんどその需要を満たすことができなかった。消費者には、外国産ヘンプから製造された輸入ヘンプ製品を購入するという選択肢以外ほとんどない。」と述べました。
反CBD勢力はストップ
重要なことに、議会の支持者は、アイオワ州のチャールズグラスリー共和党上院議員による、CBDを違法とする試みを却下しました。
上下両院の議員で構成される審議会は、現在平行して進められている上院版と下院版のそれぞれの新農業法案をトランプ氏の承認に送るため、単一の法案に合併します。
しかし不吉な事に、今週公表されたホワイトハウスの声明は、ヘンプ政策に関する問題を何ら示していないにもかかわらず、結果的に法律の制定をさらに遅らせることになるかもしれません。
2014年まで、アメリカでのヘンプの栽培は、1970年以来、規制物質としての扱いのために違法でした。しかし、2014年の農業法は、州によるヘンプの試験栽培プログラムの作成を可能にしました。それ以来、40州がヘンプ条例を設定しています。
(HEMP TODAY 2018年7月29日)
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