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合成嗜好用大麻製品群に対する規制強化が進むが、ヘンプそのものが悪者に!?

目次

最大THCレベルを再定義して規制していく

オハイオ州は、産業用ヘンプから作られる合成嗜好用大麻製品群に対する規制を強化しようとする最新の州です。同州の立法府では、上下両院で関連する法案が提出されています。他の3つの州でも、同様の規制強化に向けた動きが活発化しています。

共和党のサラ・キャラサーズ州下院議員は、オハイオ州下院法案642号(HB642)を提出しました。この法案は、規則制定を開始するものであり、農業省が州の安全局と協議し、合成的に生成された合成嗜好用大麻製品群に関する提案を出すことを求めています。

下院法案は、2つの州機関による報告書を作成する際の枠組みとなる多くの提案を含んでいます。これには、酩酊目的で使用される可能性のあるすべての形態のヘンプおよびヘンプ製品を網羅する「ヘンプ」の明確な定義や、これらの製品に含まれる最大THCレベルが含まれます。

その他の議題としては、製品が販売される可能性のある施設の所在地、年齢制限、未成年者への販売に対する罰則、検査基準、広告およびラベル表示のガイドライン、そして法の執行が挙げられています。

このHB642で推奨される規則が採用された場合、これらの規制はドラフト法に基づき、1年間有効であるとされています。

小売店やコンビニなどで気軽に購入できないようにする

HB642に続いて、オハイオ州では5月下旬に共和党のカーク・シュリング上院議員とスティーブ・ハフマン上院議員によって提出されたオハイオ州上院法案278号(SB278)が提出されました。

この法案では、21歳未満の消費者への成人用ヘンプ製品の販売を禁止し、購入者には身分証明書の提示を求め、小売店においては製品をカウンターの後ろに保管することを義務付けています。

過去関連記事:2024年5月12日 合成嗜好用大麻製品を巻き散らかし中のアメリカ、対する13州の傾向と対策がこちら

SB278は、医療用および嗜好用大麻、さらにヘンプの規制と課税を変更することを目的とした包括的な法案です。

オハイオ州のマイク・デワイン知事は、今年初めに、酩酊性の合成嗜好用大麻製品群の販売を迅速に禁止するよう議員たちに求め、一般の小売店でこれらの製品が広く流通していることを嘆きました。

デワイン知事によれば、過去3年間で州の毒物管理センターにデルタ-8 THCを含む製品に関する報告が少なくとも257件寄せられています。

この物質はヘンプ由来の化合物の中で最も人気がありますが、知事は、自身のオフィスも警察も、これらの違法製品を取り締まるための法律を持っていないと述べています。

現在、オハイオ州の両法案はそれぞれの立法機関の委員会で審議されており、法律制定プロセスの初期段階にあります。

CBDを販売するにも厳格なライセンスを必要とする

他の州でも、酩酊性の合成嗜好用大麻製品群を市場から排除するための取り組みが最近進展しています。

ニュージャージー州:

上院法案3235号(S3235)は、消費可能なヘンプ製品に含まれるすべてのTHCの合計を0.3%に制限する法案で、現在フィル・マーフィー知事の署名待ちとなっています。

この法律はまた、合成嗜好用大麻製品群の販売を21歳以上に制限します。ライセンスを持つ酒類販売業者が販売する合成嗜好用大麻飲料は、州の大麻規制委員会(CRC)が監督し、合成嗜好用大麻製品を販売するヘンプストアは嗜好用大麻ライセンスを取得する必要があります。

S3235(外部サイトへのリンク):https://www.njleg.state.nj.us/

一方、酒類販売店は嗜好用大麻ライセンスを取得する必要はありませんが、依然としてCRCを通じた手続きが求められます。これらの規則が策定されるまで、販売業者は製品を店頭から撤去しなければなりません。

ワイオミング州:

ヘンプ事業者の一団が発効した合成嗜好用大麻製品群の禁止に対して、ワイオミング州上院ファイル0032号(SF0032)に基づき州を訴えました。この訴訟は6月末に、ワイオミング州知事マーク・ゴードン、検事総長ブリジット・ヒル、農業局長ダグ・ミヤモト、そしてワイオミング州のすべての選出検察官を相手取って米国連邦地方裁判所に提出されました。

SF0032(外部サイトへのリンク):https://www.wyoleg.gov/

SF0032は、ヘンプ製品への合成物質や他の添加物の追加を禁止することで、ヘンプ業界を規制することを目的としています。

また、ヘンプ由来の酩酊性化合物をスケジュールIの規制薬物として分類していましたが、連邦裁判官は合成嗜好用大麻製品群を含む製品に対する州の新しい制限に対する異議を却下しました。検事総長は棄却を求める申し立てを行っており、裁判はまだ進行中です。

テキサス州:

州議会は現在休会中ですが、上院州務委員会が臨時公聴会を開催し、上院議員チャールズ・ペリーが来年の議会開催時に合成嗜好用大麻製品群の見直しを求めました。2019年に同州のヘンプ法案を執筆したペリー議員は、ヘンプ業者が抜け穴を利用して合成嗜好用大麻製品を生産・販売していることを批判しています。

テキサス州には、小売店でヘンプ製品を販売するためのライセンスを持つ事業者が7,700以上存在しますが、ヘンプ業界の関係者は製品に対する規制を押し返すことに成功してきました。2021年には、これらの製品を禁止する法案が議会で廃案となり、昨年は裁判で州保健サービス部(DSHS)が指定したTHC化合物をスケジュールIの規制薬物として扱うことに対する禁止措置を取り消す判決が下されました。

未成年がターゲットとされすぎた惨状

デルタ-8 THCに加えて、ヘンプから派生した酩酊性製品(合成嗜好用大麻製品群)には、デルタ-10 THC、THC-Oアセテート、HHC、THCPなどが含まれます。これらの製品はアメリカ全土に広がっており、スナックやキャンディーの有名ブランドを模倣したパッケージで若者向けに販売されることが多いです。

多くの製造業者や販売業者は、製品の安全性に関して米国食品医薬品局(FDA)から警告を受けています。FDAによると、「幻覚、嘔吐、震え、不安、めまい、混乱、意識喪失」などの深刻な副作用が報告されており、少なくとも1件の子供の死亡事故がバージニア州でデルタ-8 THCの摂取に起因するとされています。

米国麻薬取締局(DEA)は、合成嗜好用大麻製品群を連邦法では違法と見なしています。しかし、一部の州では、工業用ヘンプとその派生物を合法化した連邦法の厳格な解釈に基づいて、これらの製品を引き続き許可しています。

しかし、過去2年間の他の裁判所の判決では、2018年の農業法案でヘンプの合法化が酩酊性の合成嗜好用大麻製品群を許可することを意図していなかったとされています。これらの製品の多くは、自宅のキッチンのようなラボでヘンプ由来のCBDを合成して製造されています。

編集部あとがき

合成嗜好用大麻製品群に対して、各州あらゆる規制を敷き出している昨今のアメリカですが、一番厳しい点としては、THC上限に厳しい規制が入りフルスペクトラムCBDの流通が出来なくなってしまうということがあげられます。

また、ヘンプから派生していく製品全般に規制をかけたり、販売元にライセンス取得を義務化したり、義務化することで一般的な小売店やコンビニなどは販売元から離脱していきます。さらに、年齢制限を引き上げるなどなどと様々です。

以下、本日の記事を4つのポイントの整理ましたので、ご参考ください。

1. ヘンプ製品に対する規制強化の必要性
このレポートでは、オハイオ州やニュージャージー州など、複数の州でヘンプ由来の合成嗜好用大麻製品群に対する規制強化の動きが進んでいることが示されています。特に、これらの物質が若者や子供たちに悪影響を及ぼす可能性が高いことが強調されており、各州が迅速に行動を起こす必要性が伝えられています。

2. 連邦法と州法の解釈の違い
連邦法での解釈が州によって異なるため、一部の州ではヘンプ製品が依然として合法と見なされている一方で、他の州では厳しい規制が導入されていることが説明されています。特に2018年の農業法案が、意図せずに向精神薬の合法化を許可したかのように解釈されている点が問題視されています。

3. 市場への影響と業界の反応
各州で進行中の規制は、ヘンプ製品市場に大きな影響を与えており、製造業者や販売業者がこれにどう対応するかが課題となっています。例えば、ニュージャージー州では、新しい規制が導入されるまでに、販売業者が製品を撤去する必要があるとされており、業界全体での対応が求められています。

4. 消費者保護と公衆衛生の重要性
消費者保護と公衆衛生の観点が強調されています。特に、未成年や若者に対してパッケージングされているエディブル製品が問題視されており、FDAやDEAなどの機関がこれらの製品に対して厳しい態度を取っていることが報告されています。

最後に、ここで1つ言えることは、規制の先「大事なことを見失ってしまっている」という点があげられます。あらゆる事柄を後退、遅延、破壊はしましたが、合成市場が爆発的に流行してくれました。そこには潜在的に存在した「ハイ」を求める消費者、「向精薬」でQOLが向上する消費者が莫大にニーズとしてキャッチできました。

ただ、そこを見てない州が多い。という点です。問題が起きたから、起きそうだから規制していく。という短絡的な状況になりがちです。

州によっては、嗜好用大麻の法律のフレームに含めていく。という州も見られますが、その州においても、「でわ、合成製品よりも安価で流通ができるのか!?」という問いに対しての答えは持っておりません。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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