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アメリカ・ヘンプ農業法案とCBD食品化が決まらない。その核たる原因は?

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FDAはCBDと合成嗜好用大麻に対する取締りを続ける方針

アメリカのファームビル(農業法案)の更新が無い状況でCBDの規制が進む見込みが薄い中、米国食品医薬品局(FDA)は、議会が規則を定めるのを待ちながら、事業者には警告を発することで執行を維持しようとしています。

議会は昨年、包括的な農法改案正を制定できなかったため、ヘンプおよびその他の問題は今年の9月まで解決されない見通しです。

CBDやデルタ-8など、CBDから作られた合成嗜好用大麻製品に関する規制は、未解決の主要な問題の1つであり、ヘンプの(それぞれの)利害関係者は政策や規則について意見が異なるため、議論が論争しています。

合成嗜好用大麻製品側ではないヘンプ関係者は、5年ごとに成立する約153兆円の予算である2023年農業法案(正式には、2023年農業改善法)を、ヘンプの規則を明確にし、企業を保護するためのものとして期待していました。

特に、ヘンプを連邦政府で合法化した2018年農業法案改正の規則を補強するために変更が必要ですが、この法律はCBDなどのカンナビノイドや、ヘンプの花穂から作られた精神活性の合成嗜好用大麻製品の規則を定めていませんでした。

警告を受けるのは未成年を狙っている企業か

FDAは標準的な手法に立ち返り、今後も取り締まりを強化する意向を示し、CBDを含む製品が連邦食品医薬品化粧品法(FDC法)に違反していることを、ノースカロライナ州の企業に警告しました。

FDAは、CBDの使用を認可する食品添加物規制がないことを企業に念を押しました。

FDAは一貫してCBDを食品に添加することは、それらの製品が不純物であることを意味するという警告を発してきました。

GCHNC LLCという企業は、CBDを元にしたデルタ-8 THCを含む合成嗜好用大麻製品についても警告を受けました。

これらの合成嗜好用大麻製品は安全性が評価されておらず、有害事象の報告が寄せられています。

FDAは何度も合成嗜好用大麻製品には、有害な化学物質が含まれている可能性があり、子供やペットから遠ざけるべきであると警告しています。

規制されていない安全性低い合成嗜好用大麻製品群は、恐ろしい速さで市場拡大し、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、喫煙店、オンラインなどで公然と販売されています。

合成嗜好用大麻製品=不純物。としている

FDAは、デルタ-8 THCなどの合成嗜好用大麻製品がGRAS(一般的に安全と認められる)ガイドラインに分類されておらず、その化合物を含む食品も不純物であると述べています。

FDAによると、GCHNC LLC社は、いくつかの名前を使い事業を行っており、CBDおよび/デルタ-8 THCを含むクッキー、グミ、キャンディ、ハチミツ製品を製造しています。

警告書は、ノースカロライナ州グリーンズボロの会社であり、Hemp XR社、Gate City Hemp社、Allaziya EnterprisesLLC 社のという社名でも営業しており、それらの登録代理人であるアラ・オデ・マフムード・ハメド氏とアブドゥルラウフ・B・アラマンダニ氏宛てに送られました。

未成年者を危険に晒している

ワシントンD.C.に拠点を置くアミン・タラティ・ワッサーマンの弁護士であるレンド・アル=モンディリー氏は、この警告書は、FDAが合成嗜好用大麻製品への未成年者のアクセスに対する懸念を反映していると述べました。

FDAは、特に子供たちに訴求するお菓子などの一般的な食品に似たパッケージで販売している合成嗜好用大麻製品に焦点を当てています」と、レンド氏はNatural Products Insider(過去記事へのリンク)に語りました。

「懸念されるのは、子供達の誤飲、または成人による過剰摂取です。FDAがこのような最大のリスクをもたらす合成嗜好用大麻製品に焦点を当て続けるでしょう」とワッサーマンは付け加えました。

あからさまな悪質業社は標的になる

FDAと連邦取引委員会(FTC)は、2023年初頭から、デルタ-8 THCを含む合成嗜好用大麻製品のオンライン販売を行っているいくつかの州の企業を標的にしていました。

現行法が不明確であることを利用して、不正な製造業者はヘンプ由来のCBDを設備が整っていないラボ等で加工・製造することで、合成嗜好用大麻製品を製造、生産しています。

報告によれば、大麻に自然に含まれる一般的なTHCであるデルタ-9とは異なり、デルタ-8はより穏やかな精神作用をもたらすとされています。

編集部あとがき

今回の記事の補足です。FDAがどのような警告文を出すのか、そして、FTC、FD&C法をもう少し詳しく詳しく知りたい方は、こちらの過去記事を参考ください。

2023年8月23日 FDAとFTC(日本の厚労省と消費者庁に相当する組織)がデルタ8製品販売会社を警告。どのように警告したのか?アメリカ連邦法目線の今を解説。

さて、当メディアでも何度も取り上げております、1.アメリカCBDバブル崩壊の原因、2.合成嗜好用大麻製品の爆発的な流行、3.それによる農業法案制定の遅延、そして、4.FDACBDを食品にできない理由、5.産業拡大が足踏みしている。

と、いった経緯なのですが、とても繊細な状況で、どの立場や側に立って状況を見るか、その視点によって、様々な状況を鑑みることができます。

結論から言ってしまいますと、全米大麻解禁、あるいは全米大麻非犯罪化という全体の規制緩和から、細かいことをそのフレーム内にハメていく方向が個人的にはベスト案だと度々書いていますが、それぞれの事業者側の立場の意見がぶつかりあり、そう簡単にはいきません。

嗜好用大麻側、医療用大麻側、ヘンプ側、合成嗜好用大麻側、それらに巻き付く議員、各州のそれぞれの規則、思惑。などが絡み合っています。

全米を連邦法1つでまとめていく難しさが2020年のCBDバブル崩壊を受けて、ずっと決まらない。という答えとともに、ここに如実に現れています。

多くの遅延を巻き起こしている発端が、合成嗜好用大麻製品の爆発的な流行であることに違いはありません。

ただ、合成嗜好用大麻製品の流行が絶対悪。という風に私個人的には捉えてはおらず、流行したことによって、莫大な数の消費者のニーズがあった。という事が露骨にわかりました。このニーズを柔軟に汲み取って、嗜好用大麻事業側のフレームにはめこむことが重要かと思ってます。

更に、合成嗜好用大麻製品製造販売事業者の中には、CBDバブルが崩壊してしまい、やむなく参加している企業が多々含まれます。

先日DEAが大麻の規則分類を「解熱剤程度にする」との見直しを正式に発表しました。これは、2022年のバイデン大統領の声明が具現化されていき、正式に公に発表された。という背景があります。

以下の過去参考記事をご参考ください。

2023年1月24日 米国:マリファナのスケジュールを(Ⅰ)から(Ⅲ)への再分類を勧告した文書が公開

2024年5月2日 歴史的転換を迎えたアメリカ、DEAが嗜好用大麻のスケジュールを再分類

2023年5月16日 【法改正前に関係者は必見】ヘンプ産業のバブル→バブル崩壊→「ヘンプ戦争」とまで呼ばれるようになってしまったアメリカ大失態の軌跡から学ぶ

大麻利用者が成人国民の70%以上でもある大麻理解者が溢れたアメリカでさえ、4年近くも進まない規則制定と産業拡大化。

今年の9月に決まる予定とありますが、おそらく、まだこの膠着状態は続くかと思われます。

一体何が産業拡大を遅延させるのか!?、アメリカの失敗の軌跡を見ることで、私たち日本側としても多くの学びがあるということは言うまでもありません。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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