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挽回開始か!?5年経過し、ようやく「全米最大級のヘンプ加工工場」と言われていた工場が稼働

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延期に延期を重ねて至った現在

度々延期されてきたテキサス州のヘンプ繊維加工施設、「パンダ・ハイプレーンズ・ヘンプジン」の稼働が延期されていましたが。

ウィチタフォールズに拠点を置くパンダ・バイオテック社CEOのブレイク・カーターは、この施設が2023年末までにヘンプの加工を開始すると述べていましたが、それも延期されていました。

最新の報告では、施設の開設を2024年第1四半期に、という予定でしたが、ようやく稼働が開始されたようです。

同社プレス(外部サイトへのリンク):https://www.pandabiotech.com/

行政からの資金や多大な支援も報われていくのか

2019年に「アメリカで最大の産業用ヘンプ繊維・セルロース処理施設」を作る計画を発表した後、パンダ社のプロジェクトは何度もスケジュールから外れてきました。

関連記事;https://hemptoday-japan.net/15698

同社は2020年末に初めての後退を発表し、「20211月のスタートアップ目標に間に合わない」と述べました。

20228月、パンダはその後の目標期日である同年10月も達成できないだろう。と発表していました。

パンダ社は、約150億円以上を超える工場建設にあたり、経済開発や市町村の機関から融資、債券発行、税金免除の支援を受けてきました。

同社のスコット・エヴァンス副社長は「すべての設備が個別に稼働し、正式にサービスを開始しました」と、パンダ社の最新のプレスリリースで述べています。

同社は、約8.8億円で購入した元デルファイ自動車工場の敷地での建設が完了し、施設内の技術的試運転プロセスが進行中であると述べています。

複数パターンのヘンプ原料生産できる超優秀な施設

現在設置されている機器の処理能力の見積もりによれば、1時間に10トンのヘンプを処理できる見込みです。

この工場は、衣料用グレード繊維、靭皮繊維、セルロース、短繊維・茎ミックス、栄養豊富な微粉化ヘンプパウダーをペレット化したものなど、ヘンプから複数の主要製品ラインを提供することに重点を置いています。

それぞれの製品の用途は、消費者用および産業用繊維製品、不織布、紙製品、バイオプラスチック、バイオ燃料、動物用敷料、ガラス繊維の代用、ヘンプコンクリート、マルチ、断熱材などの建築資材など、多岐にわたる生産ができるよう設計されています。

パンダ社は、「今年の栽培シーズンのためのヘンプ原料の生産者との契約を積極的に結んでおり、すでに収穫・処理されたヘンプ繊維を購入しています」とし、「ヘンプ農家に対して栽培用種子を無料提供するなどの『栽培報酬』を提供しています」、とプレスリリースで述べています。

テキサス州のヘンプ農家は、2021年で約100ヘクタールのヘンプを収穫しましたが、これらはすべて、カンナビノイドの生産のための非繊維製品に向けた栽培によるものでした。

農務省農業統計局(NASS)によると、テキサス州は2022年にはヘンプの作付面積を報告していませんでした。

そうなると、この大規模な施設は原材料をどこから調達しているのかという根本的な疑問が残っています。

長い道のりを乗り越えて

ハイプレーンズヘンプジンのタイムライン:

201912パンダバイオテックは、テキサス州で「アメリカ合衆国で最大の産業用ヘンプ加工施設」を創設することを発表。

20207テキサス州シャロウォーターに工場を設立する計画が断念され、ウィチタフォールズに変更。パンダによると、シャロウォーターの建物は検査に通らなかったと述べています。

20207ウィチタフォールズ市議会は、ウィチタフォールズ経済開発公社がヘンプ処理施設の開発に約4.2億円を出資するというパンダとの合意を承認。

20209パンダ社は、ウィチタフォールズにある元デルフィ自動車工場を総投資額約160億円で購入し、設備を整えることを発表。2021年初頭に稼働を開始する計画。

20209ウィチタフォールズ郡委員会は、会社に70%の税控除を認めることを承認。

202012パンダは、ウィチタフォールズ施設に設備を移動することを発表。

20211工場のスタートアップが遅れることが発表される。発表では、工場は2021年初頭に稼働予定。

20213会社は、元デルフィ自動車工場の買収が完了したと発表。

20216パンダは、ウィチタフォールズ工場の購入と設備のために計画されていた約150億円の州債の申請を取り下げ。

20228パンダは、工場開設が202210月に遅れることを発表し、これが2度目の遅延。

202212ウィチタフォールズ経済開発公社が、パンダが20207月に市から受けた約4.2億円の支援の更なる延長を承認。

20233サザンユートインディアン部族成長基金との株式パートナーシップ契約が発表される。

20238パンダは、50人の労働者を雇用するとの約束の3年延長をウィチタフォールズ経済開発公社に申請。

202310パンダは、工場が年末までに稼働する見込みであると発表。

202311ウィチタフォールズ市議会は、パンダ工場への鉄道支線に約3,000万円を資金提供し、そのプロジェクトのコストを約7,600万円圧縮。

202312工場の予定された稼働を2024年第1四半期に延期。

2024年4月 工場稼働開始のプレスリリース。

編集部あとがき

「全米最大のヘンプ加工工場にする」と、大風呂敷を広げ、そこに行政も補助金、融資、施設斡旋などのお膳立てを測り、プロジェクトがスタートしたのが2019年。

延期に延期を重ね、今、5年を経て稼働開始です。

ヘンプという植物から成る産業は多岐に渡り、その未来に創造される産業規模は、夢のような金額ばかりです。

簡単に言ってしまうと、石油製品の代替製品となる可能性が非常に高く、その上で、土壌や脱炭素などの能力も加えると、素晴らしい原料、というのがヘンプの特徴です。

アメリカはCBDバブル崩壊という惨劇を体験中です。テキサス州も当然その煽りが直撃しており、2021年に栽培した100ヘクタールのヘンプはほぼカンナビノイド向けで、繊維生産は無かったと報告されています。

今回のパンダ社の経緯を見て、ヘンプ産業が変な形(CBDだけが流行り、廃れるなど)で拡大しない限り、産業拡大の行程には、莫大な資金が必要なのは勿論のこと、国の風土にローカライズされた種の研究・開発、優れた加工施設の数々とそれぞれの産業に巻き付いた開発工場等、そして、数年間待てる忍耐力(時間と経済的余力)が必須。と、思われたと思います。

それくらい実働させる難しさがアメリカにもある。ということが容易に想像できるということは、日本は、さらに時間がかかるということもご理解頂けたと思います。

日本には日本のスタイルがあると思います。なので、決して、急がず、焦らず、他国と比較せずに、ゆっくりでも進み続ければ、答えは出てきますし、今、それぞれができることを、じっくりコツコツと進めていくことが一番ベストかと思います。

そんな「日本の国産ヘンプ産業拡大の一助になりたい!」という方は、以下よりお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。日本も明るく着実に進んでいます。

2023年9月3日 【公開】三重県明和町、天津菅麻プロジェクト、伊勢麻によくある質問12選まとめ、すぐ活用リンク集としご活用ください。

 

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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