合成嗜好用大麻のリスクヘッジは各々で!?
メリーランド州の消費者は、規制されていない、潜在的に危険な精神作用のある合成嗜好用大麻製品の危険にさらされることになりそうです。
メリーランド州の高裁が下した判決では、ヘンプから作られる合成嗜好用大麻であるデルタ-8とデルタ-10といった製品の販売差し止め命令はそのまま残されました。
これらの製品は、ヘンプ由来のCBDをラボ(自宅キッチンや倉庫的な)での工程を経て製造されますが、その結果、不純物が混入し、使用者にとって有害となる可能性が生じています。
メリーランド州当局によると、合成嗜好用大麻製品の販売再開を認める判決は、ヘンプ産業における消費者の安全を保証しようとする州当局や反対派の努力に打撃を与えるものだと言われてます。
FDAとDEAが認めていないにも関わらず、、、
昨年の夏に成立した州の大麻取締法は、ヘンプとCBDの販売店に対し、合成嗜好用大麻製品を販売しないよう強制し、合成ビジネスは嗜好用大麻の販売者に限定されていました。
メリーランド州のヘンプ関係者達は、この法律の制限がメリーランド州憲法の平等保護条項と独占禁止条項に違反していると主張していました。
そして、連邦地方裁判所は昨年10月、ヘンプ関係者の提訴を受け、同州の嗜好用大麻取締法の条項の施行を一時停止しました。
デルタ8製品は、有名ブランドのキャンディーやスナックを模倣したパッケージで販売されることが多く、子供をターゲットにしていることが多いため、この規則では、ヘンプとCBDを扱う業者がデルタ8製品を販売することを特に禁じています。
米国食品医薬品局(FDA)は、CBDとデルタ8の両方が人の食用として未承認であるとして、大麻成分の食品への販売をいまだ認めていません。
また、米国麻薬取締局(DEA)は、デルタ8を規制物質法(CSA)のスケジュールI薬物に分類しています。
DEA(麻薬取締局)は連邦麻薬取締法を改正し、合成嗜好用大麻製品を禁止する意向を示し続けています。
フルスペクトラム製品にも悪影響が
メリーランド州当局は、このような合成嗜好用大麻製品の継続的な販売を許可することは、ヘンプ由来を含むTHC含有製品(フルスペクトラム製品)を安全なものにするための同州の取り組みに支障をきたすとし、「デルタ-8 THC、デルタ-10 THCなどの合成嗜好用大麻製品は検査を受けておらず、表示や製造の基準もない」と指摘しました。
先延ばしにされている2023年農業法案では、そのような合成嗜好用大麻製品を除外する、より狭いヘンプの定義がすぐに描かれる可能性はなさそうです。
しかし、米食品医薬品局(FDA)は、立法府が2024年後半にヘンプに関する規定を更新する前に、これら合成嗜好用大麻製品の規制に踏み切る可能性があると言われています。
編集部あとがき
メリーランド州当局としてはなんとしても合成嗜好用大麻拡大は止めたいところ、州のヘンプ関係者たちはそれに反発。合成嗜好用大麻を嗜好用大麻ライセンス保持企業のみが取り扱えるような縛りに対しても「独禁法だ」と猛反発。
つまり、この反発の背景に何があるのかを読み解くのが非常に重要なポイントでして、1つ言えることは「元CBDのみ事業者だった人達の猛反発」というのがあげられます。
どういうことかと言いますと、グリーンラッシュ黎明期にメディアに煽られてヘンプ業界に参入したはいいですが、直後のCBDバブル崩壊を受けて、生き抜くために合成嗜好用大麻製品の取り扱いに事業をピボットしていった企業が多分に含まれています。
そうです、メディアの誇大メッセージ(CBDは万能薬です。的な。)に乗せられてしまった人々や企業です。
過去記事も2本リンクをおつけしてますので補足としてご参考頂けますとより理解が深まると思います。アメリカの国としての大麻問題ですが、ミクロではあらゆる変化や進行が見られますが、マクロ的には依然として大きな進展はありません。
(もはやそんな特別なことには感じなくなってますが)嗜好用大麻で逮捕された人々を大統領が恩赦する。というお話も記憶に新しいですが、まだ細かい規則制定には時間がかかるでしょう。
「効果が出てしまう製品」だからこそ、あらゆる利権が絡み合い、決断が滞っていく。という状態は、アメリカでもまだまだ続きそうです。
そもそものお話で、日本ではご存知無い方もおられるかもしれませんが、アメリカのCBD製品はFDAでは「食品」として認可していません。
連邦法レベルでは、飲む食べるはNGです。にも関わらず、合成嗜好用大麻原料を用いて、子供が好む人気お菓子のパッケージをほぼパクして販売している業者が、野放しとくれば、FDAとDEAがブチ切れても無理はありません。(そりゃ、そうです、健全では無いんです。)