最高のパフォーマンスを発揮するヘンプ品種研究
オーストラリアで行われる160万ドル(約2.5億円)の研究プロジェクトが、同国の気候に適したヘンプ品種を特定し、ヘンプバリューチェーンの他の側面を探求することを目指します。
「重点分野には、地域特性が良好だった品種の安定供給の確保、付加価値のある加工方法の開発、家畜や動物の飼料におけるヘンプ製品の安全かつ有益な使用の調査、産業用ヘンプの持続可能性の証明を理解するための情報とツールの生成が含まれます」と、サザンクロス大学に拠点を置くプロジェクトの主任研究員であるトビアス・クレッチマー氏は述べました。
新興産業や地方コミュニティに焦点を当てた研究開発を支援する機関であるアグリフューチャーズは、オーストラリア産業用ヘンプ研究プログラム(AIHPR)に資金を提供しています。
この取り組みには、産業の成長の障壁を取り除くために、他の研究機関やヘンプ関係者も参加する予定です。
ヘンプが持つ「農業生産性」の向上に期待
オーストラリア産業用ヘンプ研究プログラム(AIHPR)の開発は、オーストラリア産業用ヘンプ戦略的研究開発計画によって導かれ、産業用ヘンプの栽培者、加工業者、農学者、研究者との密接な協議のもとで行われました。
様々なヘンプ品種が、アグリフューチャーズの全国ヘンプ試験のもと、9つの場所にすでに植えられています。
アグリフューチャーズオーストラリアの新興産業プログラムのシニアマネージャー、オリビア・レイノルズは、「ヘンプがオーストラリアの農業生産性を大幅に向上させる可能性を秘めている」と、述べました。
「オーストラリアの産業用ヘンプ産業はまだ始まったばかりですが、急速に成長しており、成長の道筋を計画し実施するのに最適なタイミングです」とレイノルズは続けました。
オーストラリア全土のヘンプ畑は2021-2022年で、2,000ヘクタール未満で、収入は約7億2,000万円とアグリフューチャーズによって見積もられています。
農業のための脱炭素も政府が資金援助
レイノルズの新興産業プログラムは、地方地域の開発を支援する研究開発イニシアチブです。
このプログラムは広範な農業ポートフォリオを持っていますが、オーストラリアの栽培条件に適した産業用ヘンプの新品種を開発し、新技術、市場開発、およびトレーニングを進めるという特定の使命も持っています。
オーストラリア政府は、農業がCO2排出量の約13%を占めるオーストラリアにおいて、産業用ヘンプが気候変動との戦いにおいて価値あるツールとなる可能性があると述べています。
オーストラリアは、気候変動に関するパリ協定の下で、2030年までに2005年レベルから全体の排出量を26-28%削減することを目標としています。
オーストラリアには、農業のためのカーボンクレジット制度である排出削減基金(ERF)があり、温室効果ガスの排出を減らすプロジェクトや炭素貯蔵を増やすプロジェクトに対する財政的インセンティブを提供する政府支援の制度です。
産官学で手厚い研究資金を元に産業拡大
オーストラリア産業用ヘンプ研究プログラム(AIHPR)研究に資金を提供しているのは、サザンクロス大学、ノーザンテリトリー産業・観光・貿易省、チャールズスタート大学、ニューサウスウェールズ州第一次産業省、西オーストラリア州第一次産業および地方開発省、マッコーリー大学、南オーストラリア研究開発研究所、マードック大学、セージコンサルティング、メルボルン大学、統合獣医リハビリテーション、ヴァッセバレーヘンプファーム、ダニエル・ワインストックコンサルティングサービスなどがあります。
AIHPRのホスト機関であるサザンクロス大学は、産業用ヘンプ研究に15年以上の経験があります。
以下、過去の記事ですが、アメリカコーネル大学でも緯度と開花時期に適合させていく研究です。
編集部あとがき
今回はオーストラリアですが、アメリカ、コーネル大学でも「緯度」と「開花時期」に適合させた品種研究などが政府支援で勧められておりますので、こちらも合わせてご参考ください。「2024年1月29日 コーネル大学との共同種研究が日本のヘンプ産業を強固なものに!?緯度と開花時期に適合させてく品種の研究」です。
このように世界のヘンプ先進地域で展開される未来の研究ですが、追い越せ追い抜けは彼らにやってもらい、出遅れている日本のスタンスとしては、彼らの結果をキャッチアップしつつ、良いとこどりで進めていくのがベターかと思います。
日本の内閣GX推進部も「脱炭素分野こそ世界に勝つ!」と力強く謳っておられますので、当記事もキャッチアップしてもらえてると幸いです。
かねてよりヘンプの脱炭素能力は、世界中のヘンプ先進地域で注目されており、その理由は、ヘンプは脱炭素に限らず、色々な意味であらゆる植物に勝ってしまうという点は、言うまでもありません。
ヘンプを脱炭素に政府主体で取り入れていこうとしているオーストラリアもその1国ではあるのですが、同国はカーボンクレジットのシステムも農業向け炭素クレジット制度、排出削減基金(ERF)と、先進的なので、ヘンプとカーボンクレジットの検証や実証は良い形でアップデートされていくと思われます。
と言いますのも、やっぱり運営者達が安心して研究拡大していく一番大事な要素の一つとして、「政府の後押し(資金サポート)」が必須だと、つくづく感じます。
法改正を受け、オーストラリアの真似事でも構わないと思ってますので、日本国内で先駆的にヘンプを栽培、品種研究しているプロジェクト対して、政府からどんと資金を投資てほしいところです。
市場の構築と拡大の軸でもある、「大麻のポジティブプロバガンダ」を多くの国民の皆様に宣伝する費用も含めて、せめて1,000億円くらいは予算を組んで欲しいですね。国民の認知、納得、体験、期待があっての市場拡大だからですね。
このように政府がヘンププロジェクトにお金を出すという行為自体が、強い啓蒙活動の1つになりますので(日本では特に)、そういう複合的な意味を込めてヘンプ助成金予算をいま、日本も力強く稼働すべきかと思います。
でわ、まとめます。今回の記事はオーストラリアで実施されているヘンプ研究プロジェクトが、国内の気候に適したヘンプ品種を特定し、ヘンプ産業の成長に対する障壁を取り除くことを目指しているということです。
この研究は、オーストラリアの農業の生産性を向上させ、気候変動に対抗する貴重な手段となる可能性があるヘンプの利用を拡大することを目的としています。
また、この取り組みは産業用ヘンプがオーストラリアの農村地域の発展に貢献することを期待しており、ヘンプ産業の成熟と拡大に向けた具体的な研究と開発を支援しています。