産業用ヘンプ生産者に新たな市場を提供する可能性が
米国農務省(USDA)の研究によれば、ヘンプシードケーキは牛の飼料として非常に栄養価が高く、有望な代替品であることがわかりました。
この研究は、USDAの農業研究サービス(ARS)がノースダコタ州立大学(NDSU)の研究者と共同で実施したもので、ヘンプシードオイルの生産副産物であるヘンプシードケーキを食べた牛は、筋肉、肝臓、腎臓、脂肪組織にカンナビノイドであるTHCおよびCBDが「非常に低いレベル」でしか検出されなかったことが分かりました。
「食品安全の観点から、低カンナビノイド含有量のヘンプシードケーキは、牛の飼料において粗たんぱく質と繊維の適切な供給源となり、ヘンプシードオイル抽出の副産物であるこの材料について産業用ヘンプ生産者に新たな市場を提供する可能性がある」と、研究を率いたNDSUの研究生理学者であるDavid J. Smith氏は述べています。
多くの州が取り組む飼料向けヘンプ活用への道
多くの州で農家やヘンプ製品メーカーは、農場の動物にヘンプシードケーキや植物の他の部分を飼料として与える権利を求めて闘っています。これらの部分は規制対象外ですが、カンナビノイドが食物連鎖の末端である人間に転移する恐れがあるためです。
USDAは、研究チームが、肉の中の化合物の濃度が、世界の規制機関が消費者に対して安全と認めているCBDとTHCの総量のごく一部しか検出されないことがわかったと述べています。
最近、Food Additives and Contaminantsに掲載されたこの研究は、ヒファー(雌牛)の群れに通常の食事か、20%のヘンプシードケーキを含む食事を111日間与えた試験に基づいています。
試験に使用したヘンプシードケーキには、CBDとTHCを合わせた平均濃度が1.3±0.8mg/kg含まれており、これは法的基準値のTHC 0.3% (3000mg/kg) の1/3000でした。
飼料投与期間が終了した後、ヘンプシードケーキが食事から外されてから0、1、4、8日後に、対象動物の肝臓、腎臓、骨格筋、体脂肪組織中のカンナビノイド残留物が測定され、組織からカンナビノイドがどれくらい速く無くなるかを調べました。
ごく微量の10億分の1しか測定されない結果となった
研究者たちは、飼料投与期間中にウシの尿や血漿中でカンナビノイド残留物が散発的に検出されることがわかりました。しかし、肉の脂肪にはCBDとTHCが合わせてごく微量(約10億分の1)しか測定されず、肝臓、腎臓、骨格筋で検出可能なレベルは観察されませんでした。
「私たちの曝露評価によれば、ヘンプシードケーキで育てられたウシのお肉を食べて摂取されるTHCが規制ガイドラインを超えることはありえないでしょう」と、ファーゴにあるNDSUの動物代謝・農業化学研究部門で働くスミス氏は述べています。
最近、テキサス州の農業当局は、鶏と馬用のヘンプシード由来の飼料を承認し、テキサス飼料肥料管理局に、ヘンプシードミールやヘンプシードオイルといった形で、ヘンプとヘンプ製品を商業飼料に使用するための規則を策定するよう指示しました。
カンザス州の州当局は、ヘンプ繊維、穀物、種子をペットフードや家禽・家畜用飼料として使用することを可能にする法案に対して抵抗を示しています。