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「(カンザス州の)ダメ・絶対」から学ぶ。CBDバブル落下崩壊を経て、ヘンプ繊維・食品へ事業スライド中に起きてる戦い

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カンザス州農業省と捜査局は、ヘンプを家畜飼料にする法律に反対

カンザス州の当局者(反対者)たちは、ヘンプの繊維、粒、および種子をペット用の食品や家禽や家畜の飼料として使用できるようにする提案されている法律(HB2168)に反対しています。

この法案(HB2168)の提唱者は、ヘンプ農家の収益を向上させる方法として推進していますが、カンザス州農業省とカンザス州捜査局(KBI)は、安全性とセキュリティの懸念から、この法案(HB2168)は良い考えではないと主張しています。

補足:カンザス州農業省は、日本でいう農林水産省に相当する機関です。カンザス州捜査局(KBI)は、日本でいう警察庁に近い機関と言えます。

提案されている法案であるHB2168は、飼料の道を切り開くだけでなく、ヘンプ生産者のライセンス取得と登録の費用を引き下げることを目指しています

カンザス州農業省のウェブサイトによれば、ヘンプ生産者は毎年1,200ドル以上の諸費用を支払うことが求められています。また、HB2168は、ライセンス取得と登録の期限を延長し、プロセッサーに対して指紋採取と背景調査を免除することも目指しています。

保守派と推進派、それぞれの意見

カンザス州民が産業を拡大する機会を持ち、新しい種類の作物や革新的な試みに挑戦することを望むならば、我々は現在の規制環境を真剣に見直す必要があります」と、提案されたヘンプ法案の共同提案者である共和党員のクリスティ・ウィリアムズ議員は、先週の農業・自然資源委員会で述べました。

カンザス州農業副長官のケルシー・オルソン氏は、動物に与えられたヘンプ飼料の健康への影響や、動物から作られた製品を消費する人々への影響に関する研究が乏しいため、この法案に反対しています。カンザス州立大学の研究者による、米国農務省が資金提供した研究では、1年前に報告された結果によれば、牛に産業用ヘンプを与えることが有益な効果があるかもしれないが、さらなる研究が必要であるとされています。

先週、テキサス州の農業当局は、鶏と馬用のヘンプ種子由来の飼料を承認し、州の飼料機関にそのような製品の規制を設定する権限を与えました。他の州も、飼料としてのヘンプのさまざまな部品について支持しています。

 

関連記事はこちら:3/30 ヘンプ飼料の状況が進展、馬と鶏のためのヘンプシード由来の飼料がテキサス州で承認

反対派は指紋認証や厳格な規則を推奨しているが・・・

オルソン氏(反対派)は、「HB 2168は、KDA(カンザス州農業局)が現行の産業用ヘンププログラムを管理する能力を低下させ、州間の取引で製品を販売する能力を減らすことで、肉や乳製品業界の大きな経済的な推進力を危機にさらす可能性がある」と述べました。

補足:オルソン氏は、HB2168に反対しており、その理由として、ヘンプ飼料の使用に関連する安全性や健康への影響がまだ十分に研究されていないことを挙げています。一方で、ヘンプ関係者側からは、オルソン氏が古いステレオタイプにとらわれているという批判があります。彼女がマリファナで起きる逮捕や問題をヘンプ産業にも関連づけて考えてしまっている可能性があると指摘されています。ヘンプとマリファナは同じカンナビス属に属していますが、ヘンプは麻薬成分のTHCが非常に低いため、マリファナとは異なる産業として捉えるべきだとヘンプ関係者は主張しています。

KBI(カンザス州捜査局)の執行役員であるロバート・ジェイコブズ氏(反対派)は、ヘンプのライセンス申請者に対する指紋認証と背景調査の義務付けを擁護しました。

ジェイコブズ氏は、「ヘンプ事業プログラムの透明性のために、このヘンプ事業プログラムには絶対に参加すべきではない人物(大麻で逮捕された人などを重罪としている)を特定する必要がある」と述べました。

ヘンプ関係者やヘンプ法案共同立法者たちは、一部の現行の制限が、ヘンプとマリファナを混同するステレオタイプに根ざしていることを示唆しました。

補足:指紋認証をつける意図。KBIが指紋認証と背景調査の義務付けを擁護する理由は、ヘンプ産業に悪質な人物が関与することを防ぎ、産業の整合性を維持するためです。ヘンプは、マリファナと似ているため、違法な活動や悪質な取引を防止する目的があります。

とうもろこしからは密造酒ができるぞ!と賛成議員は放つ

「そこではまさにリーファー・マッドネス(大麻狂乱)が起こっています」と、カンザス州ヘンプコンソーシアムの会長で、ウィチタを拠点とする繊維・穀物加工会社ミッドウェストヘンプテクノロジーのCEOであるサラ・ステファンズ氏は、公聴会について語りました。

補足:リーファーマッドネスとは?日本で言う「ダメ・絶対」キャンペーンのようなことです。1930年代から1940年代にかけてのアメリカで展開されたマリファナ使用に対する社会的・政治的な恐怖症とプロパガンダを指します。この言葉は、1936年に制作された同名の映画「Reefer Madness」から来ています。映画はマリファナ使用による極端な負の影響を誇張して描き、若者たちが精神的に不安定になり、暴力や犯罪に走ることを訴えていました。リーファー・マッドネスは、マリファナに関する根拠のない恐怖や誤解を広め、アメリカの薬物政策に大きな影響を与えたとされています。

トピーカ市の民主党員であるトビアス・シュリンゲンジーペン議員は、「トウモロコシを育てれば、ムーンシャイン(密造酒)を作ることができます。だから、なぜトウモロコシの栽培者に指紋を取らないのでしょうか?これは本当に被害妄想的に聞こえます」と述べました。

CBDバブルで右肩上がり、そして急降下、そして回復へ

カンザス州では、2018年の農業法(Farm Bill)によって連邦政府がヘンプを合法化して以来、産業用ヘンプの栽培と加工が合法化されています。

2019年に州のプログラムが設立された後、その年に2,772エーカー(1,121ヘクタール)のヘンプが植えられましたが、主にCBD生産用の花が栽培されました。

しかし、2019年にCBDバイオマス市場が急落したことで、2021年にはヘンプの栽培面積がわずか400エーカー(161ヘクタール)にまで落ち込んでしまいました。これは国立農業統計局のデータによるものです。

2022年には、ヘンプ関係者が穀物や繊維生産に注目を向けるようになり、栽培面積が1,094エーカー(442ヘクタール)と回復してきました。

ネブラスカ州でのCBDバブル崩壊以降の動向にも注目です。
関連記事:3/8 CBD大暴落「ネブラスカの悲劇」に学ぶ。州の条例を連邦規則よりも厳しくしてしまったがために…

HTJ
注目したい点は、CBDバブル崩壊から回復に向かうまでの畑面積の推移です。農業法案が稼働した2019年、2020年は、「1,600ヘクタール」まで右肩上がりで上り詰めたヘンプ畑が2021年のCBDバブルの崩壊により「160ヘクタール」まで急降下します。(もはや落下です。)数字だけみたら恐ろしいほどの急降下ですが、実際の現地の空気はどうなったのでしょうか、投資していたこと殆どが溶けてしてしまい、おそらく「おぞましい状況」だったかと察します。そこからCBD栽培を横に置いて、ヘンプ繊維やヘンプ食品へと事業スライドしていき、2022年の畑面積回復傾向にいたってます。さて、そんな回復の中で、保守派が先に進ませようとしてない状況。「日本の大麻農家には高いフェンス設置を!」という条例は有名ですが、カンザス州の大麻農家には「指紋認証を!(過去大麻で逮捕された人を対象にすべく)」。と、それぞれ近い将来「笑い話」になりそうなお話が「今の出来事」です。アメリカ大統領が「過去に大麻で逮捕された経歴があってもクリアにする」。と発言したとて、すぐには全てが変わるわけではありません。「保守派の思想」や彼らの「身近なフィールド」は急な変化を好まないのが定石です。なので「そのような流れ」があることを理解しておくだけでも、こちらとしましても「対策」は事前に打てるはずです。さて、カンザス州の農業省と警察当局の「保守的な方針」と、そこを他州や世界の方向性へと向かおうとリードするカンザス州ヘンプ関係者と議員達、彼らのやりとりは日本を眺めているようで参考になります。守りたい側はヘンプとマリファナを混同させて規則を進めたがらない。というジレンマをおこさせている部分なんかは似てますよね。このカンザス州のヘンプ関係者がどのように州を変革していくのか。テキサス州は、ひと足先に飼料を承認しましたが、どうなるのでしょうか。ここで生まれてくる新規則が未来の日本の規則と重なっていくかもしれません

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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