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緊急開催!今注目の【大藪裁判】徹底解説

国内における播種用アサ種子の確保・供給はどうするの? 解説Q&A

 

これまで北海道ヘンプ協会(HIHA)は、今後予定されている大麻取締法改正に向けた取り組みとして、参考になる資料を公開してきました。

その第一弾として「2018年米国ヘンプ農業法の最終規則」の翻訳(https://hemptoday-japan.net/12888)、第二弾として「2020年米国麻薬取締局(DEA)規則」の翻訳とその解説Q&Ahttps://hemptoday-japan.net/12919)を公開しています。

 

そして今回は、その第三弾として「国内における播種用アサ種子の確保・供給はどうするの? 解説Q&Aを公開します。

 

目次

大麻規制検討小委員会がスタート

 

昨年6月末に公表された、厚生労働省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の報告書(注1)では、現行法の「成熟した茎と種子が合法で、花と葉が違法」という部位規制から、「THC含有率による成分規制」への移行が示されました。

 

また、厚生労働省が管轄する厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会に「大麻規制検討小委員会」が設置され、今年525日に第1回目の小委員会が始まりました(注2) 

注1 厚生労働省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の報告書

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuhin_436610_00005.html   

 

2 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会「大麻規制検討小委員会」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25010.html  

1回目の小委員会では主に下記の4つの論点が示されました。


22525日「大麻規制検討小委員会」の資料一式

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25825.html  

国内における播種用アサ種子の確保・供給については、上記リンク資料の論点のうち「3.大麻の適切な利用の推進」「4.適切な栽培及び管理の徹底」に該当するものとなります。

 

北海道ヘンプ協会の菊地代表理事は、

菊地代表理事
「私たちHIHAは、夏の短い北海道の気候と大規模機械化栽培に適した、早生でTHCを全く含まないフランスのヘンプ品種を導入したいと考えています。
ところが我が国では、そもそもヘンプの播種用種子が貿易管理令の定める輸入品目の対象外であるため、試験研究目的であっても種子の輸入ができません。
大麻取締法の改正時に、輸入公表を改正した上で、我が国も諸外国と同様に播種用のアサ種子の
HSコード番号を設定すれば、海外の優れた品種の輸入が可能となります。
今回ここに公開する『国内における播種用アサ種子の確保・供給はどうするの? 解説
Q&A』を、多くの皆様、特に大麻取締法をはじめ法改正に関係する皆様に読んでいただき、我が国の制度設計の参考にしていただければ」

と話しています。

 

国内における播種用アサ種子の確保・供給はどうするの? 解説Q&A

 

Q1: 現行の大麻取締法では、アサ種子は合法ですか、違法ですか?

A: 現行の大麻取締法第1条では、花と葉が違法、種子と茎が合法という植物の部位による規制(部位規制)となっています。マリファナの主成分であるTHCは花と葉に多く、種子や茎にはほとんど含まれていません。そのため、アサ種子(麻の実、ヘンプシード)は、食用、鳥の餌、漢方生薬のマシニン(麻子仁)として流通しています。発芽能力のある種子を栽培に必要な器具などとともに無許可で所持していれば、栽培予備罪(大麻取締法第24条の4)に問われます。

 

Q2: 国内で流通しているアサ種子は、タネとして使えますか?

A: 食用として流通しているアサ種子のほとんどは輸入品です。海外からアサ種子を輸入する場合、外国為替及び外国貿易法の輸入貿易管理令に基づく輸入公表により、すべて加熱等による不発芽処理が必要です。したがって、これらのアサ種子は発芽しないのでタネとして使うことはできません。

 

Q3: 国内では、播種用のアサ種子をどうやって入手するのですか?

A: 既存のアサ栽培農家を除き、播種用のアサ種子を新規に入手することははほとんど不可能です。栃木県では、県が育成した低THC品種「とちぎしろ」の種子を栽培農家に提供していますが、県外への種子の提供や持ち出しを禁止しています。また、一部の県では、県外の大麻栽培者または栽培者免許申請者に対して、種子や種子の分譲確約書の提供を認めていますが、ほとんどの県では種子の分譲が制限されています。

 

Q4: アサ種子の国際的な流通はどうなっていますか?

 

A: 食用・飼料用の種子と播種用の種子は、別々のHSコード(注)を割り当てられており、それによって、輸出入が行われています。日本には、そもそも播種用のアサ種子のHSコードがありません。

 


表1 アサ種子のHSコード

 

注)HSコードとは、国際貿易商品の名称および分類を世界的に統一する目的のために作られたコード番号であり、貨物を輸出入する際の品目分類に用いる輸出入統計品目番号のことです。

 

大麻取締法の改正時に、輸入公表を改正した上で、我が国も諸外国と同様に播種用のアサ種子のHSコード番号を設定すれば、海外の優れた品種の輸入が可能となります。

 

 

Q5: 大麻の規制が、植物の部位による規制からTHCによる成分規制に移行すれば、品種はどうなりますか? 

A: 植物の新品種の保護に関する国際条約である「UPOV条約」のガイドラインでは、大麻品種はサティバ種(ヘンプ)とインディカ種(マリファナ)の二つに区別されています。

米国では、THC濃度0.3%以下の大麻品種をヘンプ、THC濃度0.3%を超える大麻品種をマリファナと法的に定義しています。

日本においてもTHC基準値以下の大麻品種の種子をアサ種子として播種用のHSコードを定めれば、他の農作物の種子と同様に海外の優れた品種を輸入して国内で栽培できるようになります。

 

Q6: これからのアサ種子の生産・流通管理はどうあるべきですか?

 

A:  国内外の事例を踏まえると、アサ種子の生産・流通管理方式は、登録品種方式と農場検査方式の2つが想定されます。詳しくは、下記の北海道ヘンプ協会案を参考にしてください。

 

表2 大麻取締法の改正後に想定されるアサ種子の生産・流通管理方式(北海道ヘンプ協会案)

 

登録品種方式(A)は、国内の種苗会社又は農業試験場等が、登録品種又はそれに準じた品種の種子を増殖し、アサ農家に配布します。そのアサ種子を使ったアサ農家の生産物は、サンプリング検査(THC検査)を必要としません。

 

登録品種方式(B)では、海外の登録品種を種苗会社から購入して、アサ農家が栽培した場合、その品種の生産物はサンプリング検査を必要としません。

 

農場検査方式(C)は、登録品種ではないアサ種子を栽培した場合、サンプリング検査を収穫前に実施し、THC制限値以下であることが確認された生産物のみが市場流通します。

 

なお、登録品種方式(A,B)の場合は、農家による自家採種と他の農家への分譲は禁止とし、毎年、指定業者等からの購入とします。農場検査方式(C)の場合は、自家採種とその種子の分譲は一定の条件のもとで可能とします。

 

Q7: 登録品種とは何ですか?

 

A: 各国の種苗関係の法律に基づいて登録された品種のことです。

  日本の栃木県で栽培されている「とちぎしろ」は、種苗法による登録品種でしたが、1983年に登録された後、25年の育成者権存続期間が切れましたので、今現在は登録されていない一般品種です。

欧州ではEU共通農業植物品種カタログによって、アサは、20224月末で79品種が登録されています。カナダでは、2022年に74品種が登録されています。

米国は一部の州で、推奨品種として指定されていますが、全米規模では登録品種について制度化されていません。品種の起源が不確かなことを想定して、生産物の収穫前にTHC検査が義務付けられています。

 

Q8: 海外の農場におけるTHC検査はどのようにしていますか?

 

A: 例えば、米国では、次のように検査方法を定めています。

  • アサ農家は、THC検査のサンプリング代行者によるサンプル採取後、30日以内に収穫しなければなりません。

 

  • サンプリングは、頂部から58インチ(720.32㎝)で切断しなければなりません。

 

  • サンプル採取数は、ガイドラインで定めています。同じ品種であれば、1エーカー(4ha)につき1サンプル、10エーカー(4.0ha)につき10サンプル、100エーカー(40ha)につき76サンプルと細かく指定されています。

 

Q9: 圃場検査の結果、THCが制限値以上になった場合はどうなりますか?

 

A: 米国では、「許容可能なヘンプのTHC濃度」を1.0%と定め、これを超えた過失を3回すると、5年間の免許はく奪となります。

1.0%を超えたものは、畑で「処分」となります。ただし、再検査でOKなものは、「修復」の措置となり、商業流通可能となります。例えば、花や葉は、販売できなくても、種子や茎は販売可能となります。

 

Q10: 米国THC検査について具体的に教えてください

 

A: 下記の米国農務省農業マーケティングサービス局の文書を参照してください。

北海道ヘンプ協会が全て翻訳し、一部はホームページで公開しています。和訳版の提供を希望される方は、下記の事務局までお問合せください。

hokkaido.hemp.net@gmail.com

 

・ヘンプ生産プログラム(最終規則)2021322日発効(96頁)

 米国ヘンプ農業法最終規則(翻訳版 全96頁)

http://www.hokkaido-hemp.net/USDAHemp_Final_rule_2021.pdf 
米国ヘンプ農業法最終規則 解説Q&A

http://www.hokkaido-hemp.net/USDAHemp_final_rule_Q_A.pdf

 

・ヘンプのサンプリングガイドライン 2019115

・ヘンプの栽培施設の修復および処分ガイドライン 2021115

・検査機関の検査ガイドライン 2021115

AOAC International標準メソッド性能要件(SMPR 2019.003

 ヘンプ(低THC大麻草品種)の植物材料中のカンナビノイド定量化のための標準試験法の性能要件

・米国農務省播種用ヘンプ種子の輸入 2019418日通知

 

参考:北海道ヘンプ協会の翻訳資料のページ

https://www.hokkaido-hemp.net/resource.html  

 

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AUTHORこの記事をかいた人

Yosuke Kogaのアバター Yosuke Koga HTJ 編集長

1996年カリフォルニアで初の医療大麻が解禁。その5年後に現地へ移住し、医療大麻の家庭栽培、薬局への販売などの現場や、それを巡る法律や行政、そして難病、疾患に対し医療大麻を治療に使う患者さん達を「現場」で数多く見てきた、医療大麻のスペシャリスト。

10年間サンフランシスコに在住後、帰国し、医療機関でCBDオイルの啓蒙、販売に従事し、HTJのアドバイザー兼ライターとして参画。グリーンラッシュを黎明期から見続けてきた生き証人。

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