サウスカロライナ州の研究者は、過去の実験では吹き飛ばされてしまう程の天候にも耐えられる、丈夫な新品種のヘンプを開発したと発表しました。
クレムソン大学のCoastal Research and Education Center(REC)の研究チームによると、この新品種「ハリケーン・ヘンプ・フローレンス」は、巨大な茎と根を持ち、ハリケーンの多い沿岸部の多くの地域で見られる激しい暴雨にも耐えられると述べています。この新品種は、2年間の研究プロジェクトで開発されました。
2018年9月にアメリカ東部を襲った超大型ハリケーン「フローレンス」は、その年のサウスカロライナ州で栽培されていた多くのヘンプに被害をもたらし、農家は最大で20%の収穫量を失いました。
RECの有機野菜専門家であるBrian Ward助教授によると、この実験研究では、サウスカロライナ州の条件に合わせて育成されたものではないヘンプ品種が使用されており、研究者らは、より強い植物を開発する可能性を探っていたと述べています。
ヘンプ栽培の最適解を研究
RECの研究者らは、農場の生産性を最適化するために、最も効果的なヘンプの植込みの間隔、施肥の方法、栽培に最適な時期、などを決定する為の更なる研究を行っています。
これまでのサウスカロライナ州での様々なヘンプ品種を対象とした研究では、ほとんどの品種が、60インチの間隔で栽培するのが最も効果的であることが解っています。しかし一部には、植物間の密度が低い方が効果的な品種もあるとのことです。
また、ほとんどの品種は、1エーカーあたり60~120ポンドの窒素量でバイオマス産出とCBDレベルがピークに達し、1エーカーあたり約80ポンドの窒素量で最も成長することが研究で明らかになっています。
ある土壌調査では、1エーカーあたり75〜95ポンドの割合で肥料を与えたヘンプが最も多くのバイオマスを産出することが解りました。
今後はヘンプの植物ホルモンの分析も
クレムソン大学の研究者らは、植物ホルモンを分析して、成長中のヘンプのCBDが増加したときにTHCの産生を停止できるかどうかを調べることも計画していると言います。
これにより、1エーカーあたりの植物の数を減らし、植物のライフサイクルの中でCBDが産生されるタイミングをよりコントロールできるようになると考えられます。
この研究には今回開発された新品種「ハリケーン・ヘンプ・フローレンス」と、他のハイブリッド品種1種が含まれる予定です。
また、クレムソン大学の別の研究チームでは、ヘンプの持つ病気や害虫、雑草などへの耐性に関しての研究が行なわれています。
国と州とで栽培者を支援
サウスカロライナ州で産業用ヘンプが初めて栽培されたのは2018年で、サウスカロライナ州農務省のヘンプパイロットプログラムにより、20軒の農家が栽培を許可されました。その数は2020年には265件に膨れ上がりましたが、2021年には213件に減少しました。
現在では、サウスカロライナ州のヘンプ農家は、昨年、米国農務省(USDA)に承認された州計画に基づいて運営を行なっており、USDAは、クレムソン協同組合振興サービス、及びクレムソン農薬規制局と協力して、サウスカロライナ州のヘンプ農家を支援しています。
同州農務省には、ヘンプ部門を担当する6人の常勤職員がおり、日々ヘンプ産業の発展に務めています。
引用元;https://hemptoday.net/south-carolina-researchers-say-theyve-developed-a-stronger-plant/