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英国、ヘンプ品種の「国産化」へ、120万ドル助成で輸入種子依存から脱却狙う

目次

ヘンプ品種開発に120万ドルの助成

英国政府は、英国の農業環境に適したヘンプ品種の開発を目的としたプロジェクトに対し、120万ドルの資金を提供した。これは国内のヘンプ供給チェーンを強化する取り組みの一環とされている。

このプロジェクトでは、新しいヘンプ品種の開発を進めると同時に、英国の気候や規制条件に必ずしも適していない輸入種子への依存を減らすことを目指している。

英国の農家には、地域ごとの栽培条件や生産システムに応じて品種を評価する試験農場への参加が呼びかけられている。

研究と実証

このプロジェクトは、英国環境・食料・農村地域省(Defra)のFarming Innovation Programmeの支援を受け、Innovate UKとの連携のもとで進められている。

政府関係者によると、この取り組みは作物の安定性と収量の向上を図るとともに、建築材料、食品原料、バイオエネルギーなどヘンプ由来原材料の需要が拡大する中で、より明確な商業化の道筋を作ることを目的としている。

英国の気候条件

多くの欧州のヘンプ品種は英国でも栽培可能だが、涼しく海洋性の気候は病害の発生や収穫時期に影響を与えるため、品種によって生育結果に差が出る。また、ヘンプは日照時間の違いにも強く影響を受ける作物である。

英国の農業バイオテク企業Precision Plantsは、Defraのプログラムから91万2,000ポンド(約120万ドル)の資金を獲得した。この資金は、穀物用ヘンプ1品種、繊維用1品種、そして穀物と繊維の両方を収穫できるデュアル用途品種1つの開発に充てられる。

研究は、実験室レベルの開発から圃場試験までを含み、最終的には英国の公式品種登録制度への掲載を目指している。

同社は、ハートフォードシャー大学およびRothamsted Researchの研究者と連携し、植物ゲノミクス、栽培技術、圃場試験を通じて商業化に向けた研究を進めている。

農家のリスク

Precision Plantsの共同創業者で研究ディレクターのCharles Clowes氏は「この投資は英国国内で安定したヘンプ種子供給の基盤を作り、農家の規制リスクを減らし、圃場での生産の安定性を高めるものだ」と述べている。

ヘンプ栽培の最大のリスクの一つはTHC含有量の管理である。基準値を超えた作物は破棄される場合が多く、農家にとって大きな損失につながる可能性がある。

英国では現在、ヘンプのTHC上限は0.2%に設定されている。この基準は約10年前のEU規則に由来するものだ。

英国政府は最近、薬物乱用諮問委員会(Advisory Council on the Misuse of Drugs)の勧告を受け、THC上限を0.2%から0.3%へ引き上げる方針を受け入れた。ただし、この変更はまだ法改正および議会承認を待っている段階である。

一方EUではすでに0.3%の基準が採用されており、さらに1.0%への引き上げを求める動きも業界内で広がっている。

市場の背景

試験栽培に参加する農家には、種子の提供とHome Officeのヘンプ栽培ライセンス取得に関する支援が提供される。

試験農場で得られるデータは、品種が国家品種登録を取得した場合の将来的な商業展開に活用される予定だ。

このプロジェクトは、2025年に導入された英国の精密育種(Precision Breeding)規制枠組みのもとで進められている。この制度では、特定の遺伝子編集作物に対して新しい承認ルートが設けられている。

英国のヘンプ栽培面積は、農地ポテンシャルと比べると依然として小さい。その理由として業界関係者は、複雑な規制、加工インフラ不足、そして国内適応型種子の不足を挙げている。

Precision Plantsのプレスリリースでは、Defraがヘンプを食品、飼料、繊維、炭素吸収、燃料などに利用できる戦略資源として位置づけていることが示されている。

また最近の政策改革やライセンス制度の見直しでは、2030年までに最大8万ヘクタールのヘンプ栽培拡大が可能とされている。しかし2023年時点では、実際に利用されているヘンプ栽培ライセンスは136件にとどまっている。これは、ヘンプ栽培が可能とされる3万8,000~4万8,000農場の潜在数と比べると極めて小さい規模である。

編集部あとがき

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1. 英国政府がヘンプ品種開発に資金投入
英国政府は約120万ドルの助成を行い、英国の気候条件に適したヘンプ品種の開発を支援する。目的は輸入種子への依存を減らし、国内供給チェーンを強化することにある。

2. 英国の気候は欧州品種に必ずしも適さない

多くの欧州品種は英国でも育つが、海洋性気候や日照条件の違いにより収量や病害リスクに差が出る。そのため英国向けに最適化された品種開発が求められている。

3. THC規制が農家の最大リスク

英国のTHC上限は現在0.2%で、基準を超えた作物は破棄される可能性がある。政府は0.3%への引き上げを検討しているが、まだ法改正が必要な段階にある。

4. 栽培ポテンシャルは大きいが実際の面積は小さい

2030年までに8万ヘクタールの栽培拡大が可能とされる一方、2023年時点でのライセンス数は136件にとどまり、英国のヘンプ産業はまだ初期段階にある。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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