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世界各国のヘンプ産業団体が「ヘンプは麻薬ではない」事を表明

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麻薬単一条約及び国際薬物管理制度に関する産業用ヘンプ業界の統一見解文書

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欧州産業用ヘンプ協会 (EIHA) が主導する世界各国のヘンプ産業団体が連名で、ヘンプとその製品は法的に国際的な薬物規制の対象ではないことを改めて確認し、同時にヘンプとマリファナを区別するための基準である陶酔成分THCの最高濃度基準を1.0%に引き上げるよう求めました。

 

 

更新された18ページの「単一条約及び国際薬物管理制度に関する産業用ヘンプ業界の統一見解文書」の中で、このグループは「ヘンプに関連する国際法や規制に関する透明性のある議論」を求め、「現在の市場障壁とヘンプ産業セクターの繁栄に向けての問題は、食品と化粧品の規制に関する国際法の特定の解釈に起因している。」と指摘しました。

 

 

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EIHAのマネージング・ディレクターであるロレンザ・ロマニーゼ氏は、「私たちの理論を偏見なく読めば、ヘンプは貴重で多様な用途のある農作物であることが誰にでも分かるでしょう。」と述べ、「マリファナとヘンプとの植物学的な繋がりを理由に、ヘンプ産業全体に死刑を宣告することはできないし、そのようなことがあってはなりません。私は、ただ当局に私たちの統一見解文書を読んで行動するように促すことができるだけなのです。」と続けました。

 

THC勧告

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THCの許容可能な上限値を1.0%にするというグループの勧告は、国際的に優勢な0.3%という一般に認められた恣意的な障壁を超えて、国家レベルで上限値を設定する国が増えていることを受けたものです。ほとんどのヨーロッパ諸国は、さらに厳しい0.2% THC制限に従っています。

 

 

この0.3%というTHC規制値は、北米の植物学者アーネスト・スモール氏とアーサー・クロンキスト氏の分析に基づいて、0.3% THC (花の乾燥重量)をカンナビス・サティバ(非薬用大麻・ヘンプ)とカンナビス・インディカ(薬用大麻・マリファナ)を区別するラインとして国際植物分類学会 (IAPT) が1970年代に設定しました。この1%という新たなTHC制限は、この古い規制値に取って代わるものです。

 

THC濃度0.3%の問題

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THCの含有量が高い大麻草は一般にカンナビノイドのレベルが高いため、同様にCBDのレベルも増加する可能性があります。したがって、1.0%の基準を遵守している国は、THC制限が低い国よりも市場で優位に立っています。0.3%のTHC制限はまた、栽培者や生産者にとって頭痛の種となっており、彼らは自分たちの作物がこの閾値を超えてしまうリスクを負い、多くの場合、作物の破棄や金銭的損失につながっています。

 

 

ウルグアイ、エクアドル、南アフリカ、マラウイ、タイなど世界のヘンプ生産国は、ヘンプのTHC濃度を1.0%に設定しています。オーストラリアのいくつかの州もこの制限の下で栽培されており、欧州ではポーランド農業省がTHC濃度1.0%への引き上げを求め非EU加盟国のスイスも既に1.0%を採用するなど、近年の新たなトレンドとなっています。

 

重要なタイミング

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画像:引用元 THJ過去記事/国連麻薬委員会が大麻製品の国際投票を次回12月まで延期

 

 

この統一見解文書は、ヘンプをめぐる重要な決定が米国欧州で差し迫った状況にあるなか、世界的なヘンプ産業の発展にとって重要な問題に対処するもので、12月に予定されている、CBD(カンナビジオール)や、その他の特定のカンナビノイドと医療に関する問題を決定する国連麻薬委員会 (CND) の投票を前に発表されました。

 

 

米国では、食品医薬品局 (FDA) が今後の規制につながる「CBD取り締まりガイドライン素案」のプロセスを進めています。今年度中に最終決定される予定のこれらの規則は、CBDあるいはCBDをベースにした健康・美容製品だけでなく、食品、栄養補助食品、飲料などのマーケティングやサイズ、品質基準などに関する様々な問題に対処するものです。

 

欧州における課題

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画像:引用元 THJ過去記事/速報!EUが花穂を使用した大麻製品の登録申請を一時停止

 

 

現在の状況は、欧州に置いては更に危機的で、EC(欧州委員会 )は7月に、突然「暫定的結論」を発表し、非医療用天然ヘンプ抽出物は、EUでは麻薬と見なされるべきであるとしました。関係者は、このようにヘンプ抽出物を麻薬に格下げすることは、伝統的な方法で抽出されたCBDを含む食品や健康食品サプリメント、飲料、化粧品などの製品を製造する企業のダイナミックな成長を阻止するだろうと述べました。

 

 

欧州委員会はまた、ヘンプ抽出物についても、2020124日にオーストリア・ウィーンで開かれるCND(国連麻薬委員会)会議で大麻草と医療用CBD問題について投票する12EU加盟国に同様の立場を勧告するとみられます。欧州委員会が最終的にCNDで投票権を持つメンバーに何を勧告するかは正確には分かりませんが、以前の提案書では、CBDの制限を解除する世界保健機関 (WHO) の方針には反対を表明しています。

 

ヘンプは一度もリストに載った事がない

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今回発表されたヘンプに関する世界的統一見解文書では、ヘンプおよびヘンプから作られた製品は、国連の薬物条約や議定書に基づく国際的な薬物規制の対象ではないことが明確に強調されています。この文書においてヘンプは、これまで国連の定めた麻薬の付表(スケジュール)にリスト化されたことがなく、1961年の麻薬に関する単一条約の条項に基づく国際的な薬物規制の対象から明らかに除外されていると指摘しています。この適用除外は、産業用、および非医療用途の使用にも適用され、言い換えれば、花穂もしくは実ついた花は薬物としてではなく非依存性の製品に使用される限り、それらは単一条約の規定の対象にはなりません。単一条約は、食品や化粧品分野ではなく、医療分野のみを規制しているのです。

 

 

「より厳格な解釈は、問題なく継続して成長を続けるヘンプ産業を支援する方向で法律を簡素化しようとしている世界的な潮流に反しており、すでに一連の重要な規制を受けている農業セクターを弱体化させることは間違いない。」と統一見解文書では指摘しています。

 

 

「今こそ私たちの業界が、絶え間なく持ち上がる新たな障害に直面することなく、国際的に有効な規制に従って成長し、栽培し、販売することができる時なのです。私たちの主張ははっきりしています。産業目的のためのヘンプのすべての部位の利用を目的とした栽培は合法です。単一条約は、商業目的で使用されるTHC濃度の低いヘンプではなく、THC濃度の高い大麻(マリファナ)及び大麻樹脂の不法な栽培及び取引のみを対象にしているのです。」とEIHAのダニエル・クルーゼ会長は述べました。

 

7つの重要な結論

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この統一見解文書は、ヘンプに関する政策やプログラムを策定中の世界中の国々の指針となる7つの主要な結論を導きました。

 

 

 

1. 大麻草カンナビス・サティバ・エルは、それ自体が「農作物」であり、EU、米国、カナダ、ニュージーランド、及び他の多くの国でそのように見なされる。同様に、カンナビス・サティバ・エルは、薬物を入手するために使用されない限り、「工芸作物」と見なされる。

 

 

2. ヘンプの全ての部位及びその由来製品は、薬物に関連する医学的及び科学的目的以外の目的で使用される場合には、条約によって示される規制の範囲から除外される。

 

 

3. 実際には、ヘンプの栽培及び加工の免除は、特定のTHC濃度基準を遵守して施行される。他の物質(カンナビジオール(CBD)又は他のカンナビノイド)は、ヘンプの作物及び製品の合法性の決定には考慮されない。

 

 

4. 大麻草の葉の誤用の可能性は、麻薬単一条約の第28条(3)の規定を遵守するために、(管轄当局により定義される)適切なTHC制限値を設定することにより、引き続き防止されるべきである。

 

 

5. 世界のヘンプ業界では、ヘンプの花と葉のTHCのしきい値を脱炭酸後1.0%に設定することを提案している(統一見解文書付録の事例参照)。

 

 

6. 大麻草や大麻製剤及びTHCが国際的に管理されている理由は、その酩酊性、依存性及び習慣性の可能性があるため、これらが付表(スケジュール)に位置づけられているためである。ヘンプやヘンプ製品が国際的な管理から除外されている理由は、これらの効果がないこと及び誤用の可能性がないためである。

 

 

7. 「ヘンプ」とは、「カンナビス・サティバ・エル植物、又はその植物の一部で、開花頂部及び葉におけるテトラヒドロカンナビノール(THC)の濃度が、管轄官庁によって設定された規制の最高濃度未満である」と定義されるべきであり、「ヘンプ抽出物」又は「ヘンプ製品」とは、「低濃度THCを有するヘンプ植物に由来する製品又は調製物」と定義されるべきである。

 

 

 

統一見解文書に署名した団体リスト

 

・ACU Asia-Pacific CBD Union (中国)  

・Australian Hemp Council(オーストラリア)

・BHA British Hemp Alliance(英国)

・CHTA/ACCC Canadian Hemp Trade Alliance/Alliance Commerciale Canadienne du Chanvre(カナダ)

・EIHA European Industrial Hemp Association(欧州)

・HIA Hemp Industries Associations(米国)

・HIHA 北海道ヘンプ協会(日本)

・LAIHA Latin America Industrial Hemp Association(ラテンアメリカ)

・Mongolian Hemp Association(モンゴル)

・NHA National Hemp Association(米国)

NZHIA New Zealand Hemp Industries Association(ニュージーランド)

 

 

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Yosuke Kogaのアバター Yosuke Koga HTJ 編集長

1996年カリフォルニアで初の医療大麻が解禁。その5年後に現地へ移住し、医療大麻の家庭栽培、薬局への販売などの現場や、それを巡る法律や行政、そして難病、疾患に対し医療大麻を治療に使う患者さん達を「現場」で数多く見てきた、医療大麻のスペシャリスト。

10年間サンフランシスコに在住後、帰国し、医療機関でCBDオイルの啓蒙、販売に従事し、HTJのアドバイザー兼ライターとして参画。グリーンラッシュを黎明期から見続けてきた生き証人。

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