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米国では、2018年末に産業用大麻(ヘンプ)が合法化されて以降、これを家畜用飼料として使おうという動きが始まっています。
現在、ヘンプは繊維原料として茎が、食用油の原料や食品として種子が、そしてCBDを始めとする医薬品・健康食品原料として花が栽培収穫されており、総合的に見れば「捨てるところの無い」有用な作物なのですが、実際の現場でこうした全ての部位を活用している企業や農家は殆ど居ません。
やはり「餅は餅屋」というわけで、例えば、CBD生産者が繊維の販売網を開拓するのは難しく、また、こうしたCBD用として栽培された品種から取れた繊維は、繊維用として意図して栽培されたものと比較すると品質が劣るため、結局そうしたCBD業者の生産した茎は殆ど廃棄されているのが実情で、逆もまた同じです。
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これは、経済の仕組みとして仕方のない事かもしれませんが、なんとも勿体無い話ですし、これが数十万ヘクタールという規模で毎年繰り返されるのは、環境の面から考えても巨大な問題である事は明らかです。
こうした膨大な廃棄物を有効活用できる方法の一つが、家畜飼料というわけです。
ヘンプは飼料として安全か?
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しかし、ヘンプを家畜やペットに与えるには、米国飼料管理協会を通じて食品医薬品局(FDA)からの承認が必要です。
なぜなら、ヘンプを飼料として取り込んだときに、ヘンプ に含まれる有効成分であるカンナビノイドが家畜の肉や乳に、どれほど蓄積されるのかというデータが無いためです。
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この問題に関して、最近カンザス州立大学で行われた2つの研究が、産業用ヘンプを牛の飼料に取り入れようとしている農家や生産者に、新しい視点を提供しています。
同大学は、産業用ヘンプを食べた家畜のカンナビノイド濃度を確定する研究に、米国農務省の国立食品・農業研究所から200,000ドルの農業・食品研究イニシアティブ助成金を受け取ったことを発表しました。
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「産業用ヘンプは通常、食用油、種子、繊維、医薬品などを生産するために栽培されており、種子や繊維などの単一または複数の収穫物を目的に生産されていますが、葉など、植物繊維からなる副産物が収穫後に残ります。これらの副産物は、動物の飼料として役立つ可能性があるのです。こうしたセルロース含有植物である飼料を利用するための理想的な種は、反芻動物、特に牛です。」と、牛肉生産医学の助教授であるマイケル・クラインヘンツ氏は述べています。
「牛はルーメン(第一胃)でセルロース植物を消化できるので、牛は産業用ヘンプ副産物をすぐに利用することが可能です。」とクラインヘンツ氏は述べました。
牛の飼料にヘンプを利用することに関心がある一方で、テトラヒドロカンナビノール(THC)、および他の生理活性カンナビノイドの存在や中毒が懸念されており、飼料を安全に使用できるかどうかについては疑問もある、と研究者らは述べています。
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「CBDAやTHCAなどの酸性カンナビノイドは、CBDやCBGなどの他の非酸性カンナビノイドよりもルーメンから吸収されやすいことを観測しました。こうした一部のカンナビノイドはルーメンから容易に吸収されることがわかったので、次のステップは、動物の摂食実験後にこれらの化合物の組織およびミルクの残留物減少プロファイルを調査することです。カンナビノイドの牛への影響も不明です。」とクラインヘンツ氏は述べました。
同大学によると、追跡調査には、動物の行動と免疫機能に対するヘンプ給餌の影響を調べるためのパイロット研究が含まれます。
発表された2つの研究は、アプライド・アニマル・サイエンスに掲載されている「産業用大麻植物成分の栄養素濃度、消化率、およびカンナビノイド濃度」と、サイエンティフィック・レポートに掲載された「産業用大麻(カナビス・サティバ)経口投与後の牛における11種のカンナビノイドの血漿中濃度」です。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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