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コロナ重症化の原因・ARDSの緩和に大麻成分が有効か

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新型コロナウィルスCOVID-19に感染し、重症化する患者の多くが、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という症状を示していたことが分かっています。武漢市では、集中治療室に入院した患者の67~85%もの患者がARDSと診断され、その死亡率は61.5%にも上っており、高齢者の方が高いようです。

 

 

 

ARDSは、肺の中に水がたまり、肺胞から酸素を取り込む機能が低下する事によって全身の酸素不足が起こり、多臓器不全などの状態となる恐ろしい病気です。

 

 

また、コロナウィルスの感染の有無に関わらず、ARDS自体の死亡率も40%と非常に高く、有効な治療法は未だ確立されていません

 

 

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画像:引用元 Prakash Nagarkatti博士

 

 

こうした恐ろしい病気であるARDSですが、先月アメリカのサウス・カロライナ大学のチームが、マウスを使った研究で、大麻草の陶酔成分Δ9-THCがARDSの治療に有効であるという研究結果を発表しました。

 

 

 

サウスカロライナ大学医学部の、Mitzi Nagarkatti博士とPrakash Nagarkatti博士のチームが英国薬理学ジャーナル(British Journal of Pharmacology)で発表したこの研究では、ブドウ球菌エンテロトキシンとして知られている細菌毒素によってARDSが引き起こされる場合、大麻草に含まれるカンナビノイドであるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)での治療が効果があるとしています。

 

 

目次

ARDS発症の仕組み

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ブドウ球菌が生成するエンテロトキシンと呼ばれる毒素を吸入すると、ヒトの身体は免疫細胞を活性化し、炎症を引き起こす物質であるサイトカインを大量に生成するため、「サイトカインストーム」と呼ばれる状態を引き起こし、肺や他の臓器の機能不全に陥り、最悪の場合死に至る可能性があります。

 

 

 

「サイトカインストームは、多臓器不全や、ときには死に至る大きな問題です。これはCOVID-19の患者にも見られ、この症候群に対する効果的な治療法はありません。私たちは20年以上にわたってカンナビノイドに取り組んでおり、 THCなどのカンナビノイドは非常に抗炎症作用があるため、我々の研究はCOVID-19患者に見られるARDSに対してのTHCのテストを提起しています」とNagarkatti博士は述べました。

 

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また、「エンテロトキシン誘発性急性呼吸窮迫症候群に対するΔ9-テトラヒドロカンナビノールの保護効果は微生物叢の変調によって媒介される」と題したこの論文では、ブドウ球菌のエンテロトキシンが肺の微生物叢を変化させ、病原性微生物叢の出現につながることを示し、同時にTHCが炎症を抑えて肺への損傷を防ぐ有益なバクテリアを促進することで、この症状の緩和に寄与する事を明らかにしました。

 

 

 

長年のカンナビノイド研究

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ナガルカティ研究所は、カンナビノイドに関する先駆的な研究を数十年にわたって行っており、カンナビノイドが多発性硬化症、大腸炎、肝炎などのさまざまな炎症性および自己免疫疾患の治療に安全に使用できる強力な抗炎症剤であることを実証するべく、多くの研究を発表しています。

 

 

自己免疫性肝炎の治療へのカンナビジオール(CBD)の導入に関する彼らの研究は、この障害を治療に向けた食品医薬品局(FDA)によるオーファン・ドラッグ承認につながっています。

 

 

 

この論文の執筆者である Nagarkatti博士は、「急性呼吸窮迫症候群は、さまざまな病因物質によって引き起こされます。 現在、FDAが承認したARDSの治療薬はありません。死亡率が40%に近いためです。 私たちの研究はTHCがARDSの治療に非常に効果的であることを示唆しているため、これが機能するかどうかを調査するには、ヒトにおける臨床試験が重要です。」と述べ、更なる研究の必要性を訴えました。

 

 

 

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Yosuke Kogaのアバター Yosuke Koga HTJ 編集長

1996年カリフォルニアで初の医療大麻が解禁。その5年後に現地へ移住し、医療大麻の家庭栽培、薬局への販売などの現場や、それを巡る法律や行政、そして難病、疾患に対し医療大麻を治療に使う患者さん達を「現場」で数多く見てきた、医療大麻のスペシャリスト。

10年間サンフランシスコに在住後、帰国し、医療機関でCBDオイルの啓蒙、販売に従事し、HTJのアドバイザー兼ライターとして参画。グリーンラッシュを黎明期から見続けてきた生き証人。

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