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日本における農作物としての大麻の記憶

日本の大麻繊維(精麻)

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「聞き書き」という手段で伝統を受け継ぐ

文:パトリック・コリンズ(麻布大学名誉教授)

100年前、生活水準の上昇と工業化によって生み出された余暇の増加により、先進国では大きな社会変化が起きました。ロンドンやヨーロッパの主要都市では、裕福になった人々の間で、歌やダンス公演を専門とする劇場が人気を集めるようになりました。これは「ミュージックホール」として人々に知られるようになりました。ミュージックホール専用に作曲された歌が普及するにつれて、若者はもはや何世紀にもわたって伝承されてきた民謡を学んだり歌ったりすることをやめていきました。

イギリスの音楽家はこの傾向を感じ取り、若い世代が都市に移動し続けるにつれて、伝統音楽の豊かさが忘れられ、失われる危険があることに気付いていました。これはイギリスで何世紀も蓄積された文化の損失で、もう二度と戻らないことでしょう。そこで最も有名な音楽家の一人、セシル・シャープと彼の仲間はイギリスの田舎を旅して、年配の男性と女性に「聞き書き(インタビュー)」し、彼らが知っていたすべての伝統歌を教えてもらい、歌詞、メロディー、リズムとハーモニーを丁寧に書き留めました。

セシル・シャープらは、途中から蓄音機の新しい技術を導入し、年配の歌手や音楽家の歌を直接録音することに成功しました。このようにして、彼らはイギリスの貴重な伝統を救い、後世のミュージシャン、そして文化と歴史の研究者たちを魅了し続けています。

まさに同じ状況が、大麻(麻、ヘンプ、産業用ヘンプ)を栽培してきた日本人に直面しています。 80代の多くの高齢者、特に田舎に住む人々は、大麻がありふれた農作物であったこと、そしてそれが栽培され、加工され、身近な様々なシーンで使われたことをまだ覚えています。もちろん現在でも大麻が栽培されている場所では、伝統のいくつかは残存していますが、大麻栽培に携わった経験がなくても、さまざまな方法で大麻が使われていたことを覚えている人々がまだたくさんいるのです。

現在80歳の人は1939年生まれ。1948年にGHQによって大麻栽培が違法とされた時代には9歳でしたが、栽培規制が浸透するまでに数年かかったようです。そのため、80代半ば以降の人々は、まだ大麻が日常に存在していた頃10代の若者になっていたはずであり、大麻について多くのことを覚えているでしょう。

これについて考え、私はこれまでに、大麻について覚えていて、興味深い話をしてくださった80代の方5人の聞き書き(インタビュー)内容を紹介します。

私が「聞き書き」した農作物としての大麻

1人目:現在89歳、山口県のとある農家の奥様は、麻の種がよく味噌汁に入っていたのを覚えていると語ります。種は殻に入ったままで食べられていました。当時は種と殻を分離する機械が無かったためです。また、殻の栄養価が高いため食用されていました。麻種の殻を噛んだとき、とても「ポップ」な音を立てるのが特徴で、「おのみ」と呼ばれていました。

2人目:栃木県出身の90歳前後の女性は、赤ちゃんがよく眠れなかったときには少量の麻の油を飲ませていたことを覚えていました。麻種油なのか葉や花からとれた油なのか定かではありませんが、これらはCBDや他のカンナビノイドを含んでいたでしょう。そしておそらく少量のTHCも。これらの成分は確かに赤ちゃんの睡眠を促進する働きがあります。そしてさらに「内因性カンナビノイド欠乏症候群」(ECDS)に対しても効果を発揮していたでしょう。

3人目: 岩手県出身の80代の男性はこう語ります。彼が幼少期の家族はとても貧乏で、医者にお金を払う余裕がありませんでした。家族が病気になったときの治療方法はいつも同じでした:麻の煤と麻の葉からの抽出物を混ぜたものを胸に貼る、あるいは水に混ぜて飲む。現在では薬用として広く使われていませんが、活性炭粉末には毒を強力吸収する働きがあり、入ってくる空気をきれいにするためにガスマスクに使用されています。麻から作られた麻炭粉は、木から作られた一般的な活性炭よりも小さい粒子を持っており、解毒作用が高いのです。もちろん、麻葉ジュース中に含まれるカンナビノイドは、多くの軽い病気を治すのに役立ちました。

4人目:山口県在住の80代の男性は、自分の家の近くの植物と組み合わせて麻を育て、麻繊維を生産する方法について、2ページ分の説明を書いてくれました

5人目:山口県の90歳近い仏教の僧侶の実家の近くでは、麻が栽培されていました。彼は、そのむかし麻畑があり、友人とよく遊んだという場所を私に見せてくれました。麻の長い茎を友達と一緒に「刀」として遊んだと言います。さらに彼は、魚の中に麻の実と他の材料と詰めた独特な料理を食べていたことを思い出してくれました。そして、麻に中毒性がある、あるいは危険かもしれないというのは誰からも聞いたことがないと付け加えました。

以上の「聞き書き」のうち、誰もが大麻によって引き起こされる危険や害について聞いたことがないということに注目すべきです。日本の大麻は間違いなく安全です。 1948年まで日本で育てられていた大麻には多くの種類があったことは間違いありません。世界中で1,000以上の品種が発見されています。株が異なれば、THCCBD、および他のカンナビノイドの比率も異なります。これらの違いが測定可能になったのは近年になってからで、急速に研究が進められています。

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パトリック コリンズのアバター パトリック コリンズ 麻布大学 名誉教授

麻布大学・名誉教授。

1952年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で理学と経済学を学んだ後、インペリアル・カレッジの経営学部にて修士号、博士号を取得。日本の麻に興味を持ち、麻が地方を創生し、しかも地球環境にとっても優れたビジネスであるという立場で研究を続けている。

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