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「農家が大麻草を栽培するのは危険だ」という米国政府の主張は、 初めからナンセンスだった(前編)

「大麻草を農業者が栽培するには危険だ」という米国政府の発言は、 初めからナンセンスだった(前編)

文:パトリック・コリンズ博士(麻布大学名誉教授)

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米国政府が大麻栽培を禁止にした歴史

日本では、大麻という言葉は、ヘロインや覚醒剤という言葉と同じように、人々に恐怖をもたらし「思考停止」にさせます。これは、米国政府が大麻を毎年何万人もの米国人を殺す危険な中毒性薬物と同じカテゴリーに分類にしたためです。しかし、これはとても奇妙なことです。なぜなら大麻草の英名であるヘンプ(Hemp)であっても、陶酔作用のあるマリファナであっても、これまでその摂取が原因で死亡した人は、一人も居ないからです。日本には、毒キノコやトリカブトのように、多くの有毒植物があります。あなたがそれらを食べれば、あなたは実際に死ぬことでしょう。しかし、大麻には毒は含まれていません。あなたは食べすぎたり、過剰に喫煙しても死ぬことはできません!あなたが過剰摂取しても、せいぜい眠りにつくだけです。なぜ米国政府は、大麻を危険なものとしているのでしょうか?

米国は、他国とは非常に異なった歴史を持っていることを覚えておく必要があります。ヨーロッパ人が北米に移住したとき、ヨーロッパの大企業はすでに目標を達成するために資金の力を使って大きな役割を果たしていました。その結果、米国政府は他国の政府とは違った働きをしており、特に大企業の影響を強く受けています。一例として、米国には、日本のNHKやイギリスのBBCのような国営ラジオ局は全くないのです。大企業は「私たちに任せて」と言ったのです。この状況がどれほど悪くなったかは、カーター元大統領が公表したところによれば、「米国はもはや民主主義ではなく、プルトクラシー(国際金融寡頭勢力)である」と指摘しています。つまり、政府の大部分が少数の裕福な人々によって管理されているということなのです。

1930年代に米国政府が大麻栽培を禁止したのは、当時の米国農業における最大の作物の一つであった大麻と競合しようとしている大企業グループ(利益団体)によるものでした。このグループには、コットン産業、農薬および除草剤メーカー(コットンよりも丈夫な植物であるため大麻栽培には農薬不要)、林業および木材パルプ業界(当時ほとんどの紙が大麻から作られていた)、機械油(ディーゼルエンジン等に不可欠)、および石油ベースの医薬品(何世紀にもわたって数多くの国で大麻由来の薬を使用)がありました。

当時からメキシコ人は、マリファナ(大部分のアメリカ人が知らなかった特定の大麻品種)で酔っていて、喫煙が好きでした。そのため、人種隔離政策を推し進めたい米国政府は、すべての大麻草は危険という根拠のない理由で、米国政府を動かしているグループは「ヘンプ」に対するネガティブキャンペーンとして、メキシコの単語「マリファナ」を使用しました。しかし、米国政府が主張しているように、何千もの大麻の品種系統があり、その多くは陶酔作用を有しておらず、何千年もの間、世界中で栽培されています。しかし、米国で大麻草の栽培を終わらせた利益団体は、米国政府を使って他国にキャンペーンを展開しました。太平洋戦争に勝利した後、米国政府のGHQは1948年、同じ虚偽の理由で日本政府に大麻栽培を禁止するよう命じました。「大麻草は危険である」と。

当時、日本の政治家はGHQが間違っていると思っていました。大麻草は、縄文時代から1万年以上にわたり日本全土で栽培されていました。何の問題もありません。まったく逆で、大麻草は有用な植物として認められていました。その繊維は、ロープ、弓紐、網、布および紙を作るために使用されました。その種子は食物として使われ、その油は燃料と薬として使用されていました。葉と花はまた、広範な病気にとって重要な自然薬でした。このため、「麻」は、「麻子」のような女性の名前や「麻生」のような姓のように、また「麻生山」のような日本の地名で広く使われています。

英国では、帆船の時代に、海の近くに住んでいた農家は、海軍にロープと帆を供給するために大麻草を栽培することが法律によって要求されていました。同様に、米国市民は、大麻の形で税金を支払うことができました。なぜなら、それは多くの企業でとても有用で簡単に使用されたからです。禁止によって日本の大麻栽培を終了させることは、栽培農家が1万人を超えている中で、1940年代の農村経済にとって大きな打撃となりました。

(HEMP TODAY JAPAN 2018年10月09日)

(続く)

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パトリック コリンズのアバター パトリック コリンズ 麻布大学 名誉教授

麻布大学・名誉教授。

1952年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で理学と経済学を学んだ後、インペリアル・カレッジの経営学部にて修士号、博士号を取得。日本の麻に興味を持ち、麻が地方を創生し、しかも地球環境にとっても優れたビジネスであるという立場で研究を続けている。

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