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ヘンプ素材原料で築く未来、循環型経済の可能性を秘めたHeRSプロジェクト

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150万ドルの研究プヘンプ断熱材ロジェクト

ニューヨーク州の工科大学の研究者たちは、工業用ヘンプを使った断熱外壁材を開発し、建物の改修においてエネルギー効率を向上させ、建築環境のカーボンフットプリントを削減する取り組みを進めています。

ニューヨーク州トロイ市にあるレンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute、RPI)の研究チームは、米国エネルギー省(DOE)の「建築エネルギー効率フロンティア・イノベーション技術(BENEFIT)」プログラムからの150万ドルの助成金を受け、3年間のプロジェクトで商業的に実用化可能な耐久性に優れ、低炭素の断熱外壁材を開発することを目指しています。

RPIの研究者たちは、業界パートナーと協力し、住宅所有者の暖房・冷房コストを削減し、簡単に設置できる「ヘンプ改修構造断熱パネル(HeRS)」を開発する予定です。

RPIのプレスリリースによると、HeRSは、リサイクル結合剤を使用して結合されたヘンプウール繊維の高密度マットを用い、従来の外壁材と同様の形状および取り付け方法を採用します。完成品はR-5以上の断熱性能を持ち、暖房・換気・空調(HVAC)エネルギーの使用を15%~25%削減できるよう設計されています。

経済的な可能性

「この多用途で再生可能な作物を建築資材に活用することで、住宅所有者や環境にとって有益な建物改修用製品を生み出せるだけでなく、再生可能素材を基盤とした地域循環型経済を全米で活性化する可能性があります」と語るのは、プロジェクトを主導するレンセラー工科大学の建築・科学・生態学センター副所長、アレクサンドロス・ツァミス氏です。

米国エネルギー省(DOE)によると、住宅は全建築面積の60%を占めており、そのうち3分の2以上は一戸建て住宅です。

このヘンプ外壁材プロジェクトは、レンセラー工科大学が進める「Seed to City」ヘンプイニシアチブの一環で、ツァミス氏と機械工学教授のダニエル・ウォルチック氏がこれまで行ってきた、鉄筋補強材におけるヘンプなどの天然繊維を活用した持続可能な建築資材に関する研究を基にしています。

また、研究チームは外壁材の設計・製造計画を策定するだけでなく、米国内で生産されるヘンプファイバーの量を生産ラインに効果的に統合できるかを示すため、サプライチェーンの実現可能性調査も行う予定です。

業界パートナー

このプロジェクトの業界パートナーには、テキサス州の複合材製造会社Durasip、アイダホ州のヘンプ建材メーカーHempitecture、カリフォルニア州オークランドを拠点とする住宅システム設計会社Introbaが参加しています。

米国エネルギー省(DOE)のBENEFITプログラムによる資金提供は、建物のエネルギー効率向上や柔軟な需要対応を、費用対効果が高く公平な形で支援することで、気候危機に対処する政府全体のアプローチを後押しするものです。

選定プロセスでは、技術的な優秀性に基づいて厳格な審査が行われ、優れたプロジェクトが選ばれました。この助成金は、エネルギー効率および再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable Energy)を通じて発行されています。同局の使命は、遅くとも2050年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにするための技術とソリューションの研究・開発・実証・導入を加速させることです。

編集部あとがき 

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1. ヘンプを活用した建材開発の革新性と経済的効果
RPIの研究チームは、ヘンプを使用した断熱サイディング「HeRS」を開発することで、建物のエネルギー効率向上と炭素排出削減を目指しています。この革新的な取り組みは、住宅所有者だけでなく、地域経済にも循環型経済を生み出す潜在力を持っています。

2. 再生可能な天然資源の研究と供給網の確立
プロジェクトの一環として、米国内で生産されるヘンプ繊維を効率的に生産ラインに統合するためのサプライチェーン調査が進められています。これにより、持続可能な建材供給システムの確立を図っています。

3. BENEFITプログラムの意義と政府支援の重要性
DOEのBENEFITプログラムによる資金提供は、気候変動に対処し、費用対効果の高いエネルギー効率改善策を推進する政府の方針を象徴しています。プロジェクト選定は厳格な審査基準に基づき、実用的かつ持続可能な技術革新を支援しています。

4. 多様な業界パートナーシップによるイノベーション推進
Durasip、Hempitecture、Introbaなど、業界リーダーとの連携により、研究開発から実用化への移行が加速しています。これにより、次世代型の建築素材の導入が進み、2050年までの温室効果ガス排出ゼロ目標の達成に貢献しています。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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