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規制の空白が招くリスク、ヘンプ業界の精神作用物質を巡る論争

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イリノイ州とテネシー州で酩酊生合成カン規制強化

イリノイ州とテネシー州の両州で、ヘンプ由来の酩酊生合成カンナビノイド物質を含む製品をめぐる問題が注目されています。この動きは、安全性への懸念が高まる中での規制と、急成長する合成製品市場との間で続く緊張を浮き彫りにしています。

イリノイ州のJB・プリツカー知事は厳しい規制を求める一方、テネシー州では規制が年末に発効されるのを阻止しようとする利害関係者が法廷で争っています。

過日シカゴで行われた記者会見で、プリツカー知事は、マイナー層へのアクセスの容易さや、これら製品の規制されていない実態について懸念を表明しました。デルタ-8 THCのような物質を含む酩酊生合成カンナビノイド物質製品が偽りのマーケティングで広く流通している状況は、公共の安全に重大なリスクをもたらしているとしています。

「これらの製品は明定性を引き起こし、時には危険なレベルに達します。テストされず、規制もなく、若者にも容易に手に入るのが現状です」とプリツカー知事は述べました。

また、ヘンプ産業が産業利用やウェルネス用途からレクリエーション用酩酊生合成カンナビノイド物質へと進化していくスピードが、既存の規制枠組みをはるかに上回っている点についても懸念を示しました。

イリノイ州法案

プリツカー知事の発言は、イリノイ州議会が検討中の「ハウス・ビル4293号(House Bill 4293)」に関連しています。この法案では、ヘンプ由来製品のTHC含有量の制限、広告の規制、そして製造および販売をライセンスを持つ事業者に限定する措置が盛り込まれています。この法案はすでに州上院を通過しており、現在州下院での採択を待っています。

イリノイ州の大麻事業協会(Cannabis Business Association of Illinois)の事務局長であるティファニー・チャペル・イングラム氏は、この法案を支持し、消費者保護の重要性を強調しました。「消費者を守り、グレー市場を抑制するためのJB・プリツカー知事の呼びかけを称賛します」とイングラム氏は述べています。

多くの州でライセンスを取得した嗜好用大麻販売業者は、規制されていないヘンプ由来の酩酊生合成カンナビノイド物質製品が不公平な競争を生んでいると主張しています。これらの製品は、合法的な販売店が支払うべき規制や手数料の対象外であるためです。

テネシー州での緊迫した状況

テネシー州では、酩酊生合成カンナビノイド製品をめぐる戦いが法廷に持ち込まれています。現在、ヘンプ生産者や小売業者を代表する弁護士が、12月26日に施行予定の新規則の差し止めを求める仮処分申請を行っています。

新規則では、THCAを含むヘンプ製品を禁止し、デルタ-9 THCとTHCAの合計濃度をテストすることが義務付けられます。THCAは加熱や喫煙されることでデルタ-9 THCに変換されるため、これらの製品はテネシー州の現行の嗜好用大麻法の下では事実上違法となります。

州当局は、市場に溢れる未規制の酩酊生合成カンナビノイド物質製品を排除するためにこの規則が必要だと主張しています。一方で、テネシー州生産者協会(Tennessee Growers Association)とテネシー健康代替品協会(Tennessee Healthy Alternatives Association)は、この規則に対し、州農業局がその権限を超えていると主張し、異議を申し立てています。

微妙な均衡

イリノイ州とテネシー州の事例は、成長するヘンプ産業の育成と公衆の安全確保の間で、微妙なバランスを取る必要性を強調しています。テネシー州のヘンプ派生製品市場は、年間2億8,000万ドルから5億6,000万ドルの規模と推定されており、事業者、農家、消費者にとって非常に重要な局面となっています。

イリノイ州では、プリツカー知事が規制強化を「産業の持続可能性を確保する方法」と位置づけました。「私たちはヘンプ産業を支援しています。これは産業を批判するためのものではありません。成長し、進化し続けることを願っています」と述べています。

一方、テネシー州の生産者たちは、新規則が自分たちのビジネスの中核をなす合法的な製品を不当に標的にしていると主張しています。法廷文書では、「これらの規則が施行されれば、テネシー州のヘンプ派生カンナビノイド市場の大部分が一夜にして違法とされるだろう」と警告しています。

イリノイ州上院多数派リーダーのキンバリー・ライトフォード上院議員(民主党)は、「この産業は今、重要な転換点にある。消費者を保護し、進化する産業の中で機会を確保するための公平な規制が必要だ」と冷静に指摘しました。

酩酊生合成カンナビノイド物質の台頭

デルタ-8をはじめとするヘンプ由来の合成精神活性化合物は、2018年の農業法(Farm Bill)成立後に注目を集め始めました。しかし、この法律は、その後発展した精神作用を持つ二次製品の市場を予測できていませんでした。

連邦政府の行動がない中、各州が介入し、これらの製品を厳しく規制または禁止しています。

生産者たちは、2018年農業法がヘンプとその派生製品を合法化したため、ヘンプ由来の精神作用製品も合法だと主張しています。しかし、ヘンプ業界の一部からも、この法律はヘンプを精神活性化合物の製造に使用することを意図していなかったという意見が出ています。

さらに、一部の悪質な事業者が、この画期的な法律の文言を悪用し、非常に強力な酩酊生合成カンナビノイド物質製品を販売していると指摘されています。これらの製品は、多くの場合、汚染物質が混入し、誤ったラベル表示がされているという問題を抱えています。

全米規模の問題

デルタ-8 THCに加え、ヘンプ由来のHHC、THC-P、THC-Oといった精神作用物質が国内各地に広がり、有名なスナック菓子やキャンディブランドを模倣したパッケージで販売されることが増えています。
多くの生産者や販売者は米食品医薬品局(FDA)から製品の安全性に関する警告を受けています。FDAによると、消費者から以下のような深刻な副作用の報告が寄せられています:
幻覚
嘔吐
震え
不安
めまい
混乱
意識喪失
さらに、バージニア州で子どもの死亡例がデルタ-8の摂取によるものとされています。米麻薬取締局(DEA)は、これらの精神作用を持つヘンプ製品を連邦法違反とみなしています。
一部の州では、連邦法の厳密な解釈に基づき、これらの製品が許可されています。この法律では産業用ヘンプとその派生製品が合法化されています。しかし、過去2年間のいくつかの裁判所判決では、2018年農業法が意図していたのは精神作用のある製品の合法化ではないと判断されています。これらの製品は、ヘンプ由来のCBDを実験室で加工して製造されています。

編集部あとがき

 今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1. 規制と市場の対立
ヘンプ由来の精神作用物質(例: デルタ-8 THC)に関する規制が不十分な状況が続いており、一部の州では厳しい規制が施行されていますが、依然として灰色市場が広がっています。州ごとに異なる規制体制が存在し、統一的なルールの欠如が問題となっています。

2. 公衆衛生と安全への懸念
精神作用物質が、子どもや未成年者を含む消費者に広く流通しており、健康被害の報告が増加しています。FDAが発表したように、嘔吐や幻覚、さらには死亡例など、重大な副作用が報告されており、公衆衛生に重大なリスクをもたらしています。

3. 合法性をめぐる混乱
2018年農業法がヘンプを合法化した一方で、これが精神作用物質の合法化を含むかどうかを巡り議論が続いています。一部の製品は連邦法の解釈を利用して合法とされていますが、DEAはこれらを違法と見なしています。

4. 産業の未来に影響する可能性
州や連邦レベルでの規制が未確立な状況は、消費者信頼の低下を招き、ヘンプ業界全体の成長を阻害しています。特に、灰色市場での製品販売が合法的なヘンプ市場に不公正な競争をもたらしています。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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