ヘンプの重要性を理解した上で未来に投資
ニューヨーク州は、ヘンプや他のバイオマテリアルから作られる製品の商業化を推進するために、州知事によって発表された複数の農業イニシアチブの下で約7.8億円の資金提供を行うと発表しました。
補足:「バイオマテリアル」とは、植物や動物由来の生物資源から作られる素材のことで、環境に優しい製品や材料の開発に利用されます。
ニューヨーク州知事キャシー・ホクールのオフィスからのプレスリリースによると、「これらの投資は、ニューヨーク州産品の新しい市場機会を創出し、成長中のバイオ経済で製品や材料として使用されるバイオマスの持続可能な成長と管理を保護することを目指しています。」とのことです。
あらゆる未来の困難を乗り越えるための必要な投資
ホクール知事は、農業セクターを「より強靭で柔軟なセクターとし、健康、環境、労働、教育産業をまたがるこれからの未来の脅威に対して、積極的なものにする」という州の計画を反映していると述べました。
ホクール知事は「私は農業および食品生産の成長を支援することにコミットしており、農家を支援する政策や投資に焦点を当て続けています」と語りました。
さらに、州はコーネル大学の統合害虫管理プログラムを通じて害虫管理ソリューションを進めるために約3.5億円を投資する予定です。
補足:「統合害虫管理」とは、化学的手段に頼ることなく、環境に優しい方法で害虫を管理するアプローチです。この方法は、害虫による農作物へのダメージを最小限に抑えつつ、生態系への影響も考慮します。
ヘンプ飼料を実現させるべく研究も急かせる
ホクール知事は、ヘンプシードを用いた動物飼料に関する法案を拒否しました。
これは、動物の安全を保証するためにさらなる研究が必要であると示唆されたためです。
知事は、ペットフードや特定の動物飼料の処方にヘンプシードを含めることに関連する2つの法案を却下する際、米国食品医薬品局(FDA)の承認がないことを理由に挙げました。
ホクール知事は、ニューヨーク州のヘンプ産出を拡大する努力の一環として、コーネル大学の研究者たちに、動物飼料でのヘンプシードまたはヘンプシード製品の使用が及ぼす影響を「迅速に」調査するよう指示しました。
ニューヨーク州のヘンプ収穫は非常に少なく、ほとんど繊維もヘンプシードも生産されていません。
2022年にニューヨークの農家が収穫したヘンプは、すべてCBD花用で、わずか48 ヘクタールでした。これは米国農務省の国立農業統計サービスによって報告されています。
編集部あとがき
ニューヨーク州が、「ヘンプを含んだ上でのバイオマス素材」でのバイオ経済の展開に注目し投資を進めています。
前回のニューヨークの記事でも書いてますが、この背景には2018年からCBD生産に振り切って、失敗をしたことも起因していると思われます。
アメリカの場合は、ヘンプ(CBD)が自由栽培になった2018年に、「グリーンラッシュ」という言葉で大手メディアが投資家や企業を煽りに煽り、その煽りの影響で生産者が爆増し、供給過多で破綻(バブル崩壊)しました。
日本ではそのようなことは起こりにくいとは思いますが、日本の場合、大麻に対してのインテリジェンスな世論形成が出来てない状態なので、国産CBDビジネスの供給過多が起きたら尚のこと、破綻を招きます。
ただ、 CBD栽培・生産ビジネスはマネーメイクしやすいので、コングロマリットな大麻事業の選択やバランスは本当に難しいところでしょう。
先日のあとがきで書きましたが、もしかしたら、アメリカや他国へ輸出することに集中して栽培、研究、試験を進めた方が、先の日本国内の世論形成コストも圧縮できた上で安定収益が確立できる可能性が高いかもしれません。
でわ、今回の記事を以下に整理してみましたので参考までにご覧ください。
- 資金提供とイニシアチブ:ニューヨーク州がヘンプと他のバイオマテリアルを利用した製品の商業化を促進するために資金を提供していること。
2. 農業セクターの強化:州が農業セクターを強化し、未来の脅威に対してより回復力を持たせ、積極的に対処するための計画。
3. 害虫管理ソリューションへの投資:特定の大学プログラムを通じて害虫管理ソリューションの進展に投資していること。
4. ヘンプシードの飼料法案の拒否と研究指示**:動物の安全を確保するために更なる研究が必要であると判断し、ヘンプシードの飼料としての使用に関する法案を拒否し、迅速な研究を指示していること。
これらの点から、ニューヨーク州が持続可能な農業とバイオ経済の成長をどれだけ重視しているかが示されており、将来のビジョンと環境への配慮が伝わってきますね。