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シャーロッツウェブの元会長はシロシビン最先端企業のCEO、そこにラッキーストライクで有名な大手たばこ会社が大口出資

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ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、ヘンプ医薬品を開発する米国ベンチャー企業に1,000万ドル(13億円)を投資しました

タバコ大手のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(以下、BAT)は、コロラド州のヘンプ企業2社が新たに設立する合弁会社に1,000万ドル(約13億円)を出資し、20%の株式を取得すると発表しました。

ロンドンに本社を置くBATは、関連企業であるAJNA BioSciences PBC社(以下、AJNA社)およびCharlotte’s Web(以下、CW社)社と協力し、未確認の神経疾患の治療薬として麻由来の新規植物性医薬品の米国食品医薬品局(FDA)の認可を目指すと述べた。

コロラド州のボルダーを拠点とするCW社は、米国で最も大きなCBD企業のうちの1つで、ヘンプエキスを用いたウェルネス製品を幅広く取り扱っています。

同じくコロラド州のリトルトンに拠点を置くAJNA社は、神経障害に焦点を当てた植物性医薬品開発のスタートアップで、Charlotte’s Webの元CEO兼取締役会長のJoel Stanleyが共同創設者となっています。

 

補足:Charlotte’s Web社の説明は有名なので割愛しますが、この同じコロラド州にあるAJNA社が大変面白く、CW社の元会長がトップなのですが、「シロシビン(マジックマッシュルームの成分の一つ)」にも注目しており、その研究開発も行なっている会社です。大手タバコ会社の投資先が見るウェルネスとは、つまり”そういうこと”なのです。

AJNA社の概要補足

AJNA社:https://www.ajnabiosciences.com/about-us

AJNAは、植物性医薬品を開発する会社で、世界初のFDA(アメリカ食品医薬品局)承認を受けたフルスペクトラムカンナビノイド製剤や他の植物性薬の開発を目指しています。2023年には、CBD(カンナビジオール)候補を臨床試験に進める予定で、さらにシロシビンを含むキノコなどの原料から新しい薬物候補の研究を行っています

AJNA社がIND(Investigational New Drug)審査を可能にする研究のため、シロシビンを含むキノコであるPsilocybe cubensis(カワリタケ属のキノコ)や、よりマイナーな種類(Panaeolus cyanescens、Psilocybe azurescensなど)を基にした薬物候補のプロトタイプ開発に取り組んでいます。

同社は、60以上の亜種が含まれる品種のライブラリを持ち、さまざまなトリプタミンアルカロイド濃度や比率における新たな研究をしております。

デンバー近郊にある約1,254㎡DEA(アメリカ麻薬取締局)スケジュール1施設を本社としており、先進的な栽培、抽出、分析、および211 cGMP生産設備が整っています。

補足:DEAスケジュール1施設とは、DEAが規制・監督する薬物の取り扱いや研究が許可された場所を指します。つまり、AJNAの本社はDEAによって監督される場所にあるという意味で、DEAの建物の中にあるわけではありません。

AJNAは、アクセシビリティ、持続可能な栽培、互恵関係、統合サービスに関連するイニシアチブを開発し、支援することにも力を入れています。また、業界のリーダーと協力し、カンナビスおよび向精神薬エコシステムと臨床環境との間の橋渡し役となるような基準を策定しているほか、CW社など、市場で最も標準化されたCBD製品を開発した創業者らと共同で植物(ボタニカル)の力を信じて活動しています。

IND審査とは何か?通過したらどうなる?(ざっくり解説)

IND審査とは?:「Investigational New Drug(IND)application」のことで、新薬の開発過程において、アメリカの食品医薬品局(FDA)が新薬候補の安全性や有効性を評価するための審査です。IND審査を通過することで、新薬候補は臨床試験に進むことができます。日本で言う「臨床届出」に相当します。

IND審査後の流れ、承認後、以下の治験(臨床試験)が開始される

以下の試験を経て、製品化されます。流れは以下の通りです。

  1.  I相臨床試験:通常数十人規模で、主に安全性を評価します。
  2.  II相臨床試験:通常数百人規模で、効果と適切な投与量を評価します。
  3.  III相臨床試験:通常数百~数千人規模で、効果と副作用をさらに評価します。
  4.  試験結果が良好であれば、承認申請を行い、規制当局から承認を得ることができます。

この一連のプロセスには通常、数年から10年以上かかることが一般的です。ただし、具体的な期間は試験の成績や承認申請の状況によって変わります。また、製品の種類や試験対象となる疾患、規制当局の判断によっても期間が変動することがあります。

具体的な期間を予測するのは難しいですが、I相臨床試験から製品化されて市場に出るまでには通常数年がかかることが一般的です。そのため、治験開始から製品が市場に登場するまでの期間は慎重に見守る必要があります。

それでは、以下より本文に戻ります。

BAT社は90億円超の投資をCW社関連に実行している

この取引は、BAT社が昨年11月にCW社へ約6,000万ドル(約80億円)の直接投資を行い、CBDメーカーである同社の株式の20%を取得したことを受け、BAT社とCW社との関係を強化しています。

CW社AJNA社は、新たな合弁事業のそれぞれ40%の株式を保有し、FDAInvestigational New DrugIND)申請を行い、今年中に第I相臨床試験を開始すると述べています。

このヘンプ医薬品は、CW社のヘンプ遺伝子を含むもので、AJNA社は、この取り組みのために実験室、規制サービス、および臨床の専門知識を提供します。

Epidiolexの開発を主導した研究者の協力

AJNAのチーフ・メディカル・アドバイザーであるOrrin Devinsky氏は、「私は、カンナビスとヘンプの性質が、FDAの新しい植物性医薬品開発の道筋に適していると考えています」と述べています。

Devinsky氏は、ニューヨーク大学(NYU)ラングーン・ヘルスの包括的てんかんセンターのディレクターであり、NYUグロスマン医学部の神経学、神経外科、精神医学の教授を務めています。また、FDAによって承認された数少ないカンナビス医薬品の1つである、Epidiolexの開発を主導した主要な研究者でもあります。

HTJ
編集部あとがき。注目したい点は、日本で言うところのJT(日本たばこ産業)がマジックマッシュルーム等シロシビンを含むきのこ類を研究している会社とタッグを組んでCBD医薬品製造研究会社に90億円越えの投資する。それくらいインパクトのあるアメリカの「シン・ウェルネス」の方向性なのですが、その側面では、CBD製品が医薬品化(規制化)されていくことが潮流になりそうなCBD業界の雰囲気が強まりそうな気配を感じます。安全・安心と謳った先の裏腹には、大きな「利権」と「独占できる市場」が存在します。世界のCBD業界を引っ張ってきたリーディングカンパニーでもあるシャーロッツウェブ社が見ている未来には、「CBDを医薬品化していく」という力強い意志を感じます。「身近なハーブとしての大麻」を知っていながら、「安心安全な医薬品としての大麻」が共生していく未来は、どのようになっていくのか、そして、日本でも治験が始まりましたが、何年で承認され世の中に出てくるのかはまだ未知数ですが、世に出始めた頃に、アメリカがどうなっているのか、まだ、誰にも分かりません。個人的な希望としては、CBDの医薬品化と研究は「特定の疾患の治療」に特化した分野で広げて進めていきながら、大麻(カンナビノイドオイル、CBDたばこや乾燥大麻やエディブルなど)は、主に疾患が無い、または少ない方々へのQOL向上のため、日常誰もが使えるハーブとなっていることを望みます。「医療は医療で必要としている患者さんのためにどんどん最先端研究を進めてください。ただ、全草大麻から派生していく製品は、日常誰もが使えるようにしてください」。という希望です。

 

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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