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リアル外圧。カナダの大麻上場企業の子会社がメキシコ保健省を訴訟して最高裁で勝利、他の裁判所達も味方につく

目次

カナダ企業の子会社、メキシコで初の栽培・加工ライセンス取得

メキシコの連邦保健リスク防止委員会(以下、COFEPRIS)は、長い法的闘争の末、バンクーバーのXebra Brands Ltd.の子会社であるXebra MexicoDesart MX, S.A. de C.V.)に、ヘンプの栽培、加工、商業化に関する初の認可を与えました。

Xebra Brandsの製品:
https://xebrabrands.com/

補足:COFEPRISは、メキシコの医薬品、医療機器、食品などに関する規制・監督を行う保健当局です。保健省(日本で言う厚生省)の一部の機関です。日本での例えるなら、厚生省管轄の医薬品医療機器総合機構にあたります。

Xebra Mexico社は、2017年にヘンプが合法化されたことを受けて、2018年にCOFEPRISから、ヘンプ事業を展開するための最初のライセンスを申請しましたが、当時の保健省は、立法がヘンプの「商業化」、「輸入」、「輸出」のみを許可し、「栽培」と「加工」は認めていなかったため、それらの申請は却下されてました

メキシコ最高裁の重要判決のインパクト

その前に補足:把握しておきたい最高裁の判決の威力とは?

メキシコ最高裁の判決のインパクトを理解していただくために、日本の事例で例えると、日本の最高裁判所が憲法違反と判断した場合に似ています。日本では、最高裁判所が憲法違反を認定した場合、その判断は非常に強い影響力を持ち、関連する法律や規制を変更する必要があります。

メキシコでも、最高裁の判決は、国の司法システムにおいて最終的なものであり、その結果に対しては、保健省や他の機関も逆らえません

最高裁が判決を下したことで、ヘンプ栽培や加工が合法とされ、業界の発展に大きな影響を与えることになります。メキシコの最高裁がこのような重要な判決を下したことは、メキシコのヘンプ産業にとって画期的な出来事であり、今後の規制整備にも大きな影響を与えていきます。

ただし、法律や規制を変更するためには、立法府や行政府と連携して手続きを進める必要があります。メキシコの最高裁がヘンプ栽培と加工を認める判決を下したことで、ヘンプ産業に対する規制が大きく変わる可能性があります。

そのため、今後メキシコ政府は、この判決を受けて、ヘンプ産業の発展を支援するための適切な法律や規制を整備することが求められます

以下より、記事本文に戻ります。

THC1.0%未満のヘンプ栽培と加工は労働の自由だ

同社は、ライセンスに関してCOFEPRIS(日本で言う厚生省の管轄機関)をメキシコ最高裁に訴え、昨夏、1%未満のTHCを含むカンナビスの栽培と加工を産業用途に制限することは、労働の自由という憲法上の権利に違反すると、最高裁はこの決定を下して、良い結果を得ました

最高裁は、Xebra社の証言がヘンプが人間に安全であることを示しており、他の農産物と同様に扱われるべきであるとし、メキシコの法律でヘンプの商業化、輸入、輸出が明示的に許可されているため、ヘンプ生産チェーンの他の活動も許可されるべきであるとの決定を下してます

COFEPRISは、全体の生産チェーンに対する規制枠組みがまだ整っていないとして、最高裁の判決に異議を唱えましたが、別の連邦裁判所は後に最高裁の判決を承認し、COFEPRISにXebra Mexicoへのライセンス発行を命じました

補足:別の連邦裁判所とは?:メキシコ最高裁以外の連邦裁判所(下級裁判所)のことを指します。この場合、COFEPRISが最高裁の判断に異議を唱えた後、別の連邦裁判所が最高裁の判断を支持し、COFEPRISに対してXebra Mexicoにライセンスを発行するよう命じました。

カナダ証券取引所(OTC)に上場しているXebra Brandsは、メキシコの実業家であるRodrigo Gallardo氏が社長兼CEOを務めています。

法的に認められているが規制はこれから整備

裁判の結果、メキシコ国内でのヘンプ生産業務がすべて合法化される強い判例結果が生まれましたが、業界関係者によれば、マリファナとヘンプを規制する法律が施行されるまでに1年以上かかるとされています。

メキシコ最高裁が約5年前に個人用カンナビスの所持と栽培の禁止を終わらせるよう命じた後、このような法律はメキシコ議会で数年間議論されてきました。

議員たちは、保健省の下で分散された組織としてカンナビス管理研究所を創設することを提案していますが、まだ実現していません。同研究所は、ライセンスの発行、国のヘンプとマリファナプログラムの監督、カンナビスをテーマにした公共教育キャンペーンの促進を担当する予定です。

まだ施行されていない提案された規定には、業界のすべてのプレイヤー(ヘンプ産業に関わるすべての企業や個人(栽培者、加工業者、販売業者など))にライセンスを付与することや、小規模な栽培者やカンナビスの禁止によって影響を受けた地域社会向けの社会正義プログラムの創設が含まれています。

草稿の規定の1つでは、最初の5年間に付与されるライセンスの40%が、先住民のコミュニティや麻薬犯罪法に苦しむ他の人々に行くことになっています。

補足:「先住民のコミュニティや麻薬犯罪法に苦しむ他の人々」とは、メキシコの先住民族のコミュニティや、過去に麻薬取締法によって不利益を被った人々(例えば、麻薬取引で逮捕された人々や、過去に麻薬組織と関わったコミュニティなど)を指します。新しい法律の下では、彼らに対して特別な配慮がなされることが提案されています。

 

これまでのメキシコについての関連記事です。
参考までにご覧ください。
https://hemptoday-japan.net/mexico

HTJ
見事なパワープレイです。センスのある最高裁の判決、そして、最高裁判所の意見に呼応し、他の裁判所も「英断」が良い波紋となり、強固な勝利へと導きました。個人的には「労働の自由」も大きく絡んでいると感じてます。最高裁の判決は他の機関に有無を言わせない「強さ」がありますが、その判決をもとに、次は、法律や規則を作っていく「立法」が動き、そして、それらを規制や監督をする機関を作るという流れになり、それらを監督する「行政」も関わってきます。最高裁1つの判決の影響は大きく強いですが、これからさらに大きな動きが必要になってきます。この貴重な判決結果を元に、立法、そして行政がどんどん前へと動き、一般化の道へと繋がっていきます。おそらく、Xebra社がケツを叩くことでしょう。さて、日本でも外国企業が行政を訴えて勝った。という事例もありますが、大麻企業での事象ともなると考えられない話です。ここには本社でもあるXebra Brands社のメキシコへの市場開拓の本気度(同社ウェブサイトには本気のメッセージが公開されてます。)と、メキシコを第二の北米やアメリカ市場と見越して動いている形が現れたものかと思われます。これがもし日本だったらどうなったのでしょうか。まだヘンプ業界において外圧という外圧はありませんが、世界はどんどん動き出しており、国ごとの市場規模の上限なんかも見えてきています。「隣の芝生はいつだって青く見える」ものです。日本にもいつかそのような外圧が・・・!?いやいや、それまでに自国でなんとか構築しておきたいですね。全国の都道府県知事さん、今こそ、センスを発揮すべき時です。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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