ヘンプを原料とした鉄筋とその技術とは
レンセラー工科大学(米国)の研究者らは、ヘンプを使ったセメント建築用の鉄筋技術を開発したと発表しました。
建築学助教授でセンターフォーアーキテクチャーサイエンスアンドエコロジーの副所長であるアレクサンドロス氏と機械工学教授でマニュファクチャリングイノベーションセンターの所長であるダン氏によると、ヘンプを原料とした天然繊維強化熱可塑性鉄筋は、コンクリート製の建物やインフラプロジェクトにおける鉄の代わりとなり、一般的な腐食の問題を解消し、構造物の寿命を延ばすことができるとのことです。
ヘンプ鉄筋は、従来のセメント建築物の骨組みに使用され、コンクリートにはない引っ張り強度を実現しています。
強度は鉄に匹敵する上、温室効果ガスは大幅削減
研究チームによると、この素材の予備的な研究では、鉄に匹敵する強度特性を持ち、温室効果ガスの排出を大幅に削減できる可能性があるといいます。
今回の研究は、レンセラー大学に新設された「エネルギー・建築環境・スマートシステム研究所(EBESS)」の最初のプロジェクトの一つで、デザイン、エンジニアリング、ビジネスの学際的な取り組みです。EBESSは、従来の建築環境における気候変動の問題に対応できる、持続可能で経済的に存続可能なヘンプ産業のための幅広い計画を策定しています。
さらなる技術検証により未来を明るく
レンセラー大学の研究者たちは、ヘンプ鉄筋を開発するきっかけとなった革新的でコスト効率の高いヘンプの加工技術を、いくつか研究していると言います。
これらのプロジェクトには、材料の機械的特性に悪影響を与えずにヘンプの繊維を茎の木質内核から分離するデコルティケーション技術の開発、持続可能な脱ガム方法、新しいヘンプバイオ複合材料の加工方法などが含まれます。
レンセラー・ポリテクニック・インスティテュートは、ニューヨーク州トロイにある私立の研究大学です。