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植物性・半合成・合成カンナビノイドの分類を知ろう

 

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注目を集める半合成カンナビノイド

米国では、2018年末の農業改善法によって、ヘンプの栽培、加工、販売が全米で合法化しています。ヘンプ由来CBDの製造販売によって、CBD誘導体となる「半合成カンナビノイド」が注目されています。

 

農業法で定められた「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(delta-9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。

 

この法律の定義からTHCが0.3%以下のヘンプ由来の「カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む」という点で、CBDをリード化合物として、CBDアナログ(類似体)やCBD誘導体をつくろうという動きがあるのです。長年、違法だった材料が安く、大量に入手できるようになり、有機合成化学を得意とする企業や研究機関が参入しやすくなったのです。

 

ここでは、聞きなれない新しい用語がたくさん出てきているので、用語整理をしてみました。

 

それぞれの違い

 

◆植物性カンナビノド Phyto₋cannabinoids

大麻草(Cannabis sativa L.)に特異的に含まれる生理活性物質の総称。Δ9-THC, CBD, THCA, CBDA, CBG, CBN, Δ8-THC, CBGA, CBC, THCV, CBDVなど100種類以上あります。

化学的には、メロテルペノイド(アルキル側鎖を持つ炭素数 21 および 22 のテルペノフェノール化合物)です。大麻草からの抽出・単離、半合成、全合成、微生物工学(大腸菌、藻類、酵母など)の様々な方法でつくられます。

 

間違えやすいのですが、化学合成(全合成)されたCBDアイソレートは、合成カンナビノイドではなく、植物性カンナビノイドです。大麻草栽培が全面的に禁止されているシンガポールでは、酵母菌からCBDなどのカンナビノイドをつくる研究をしていますが、これも植物性カンナビノイドです。

 

◆半合成カンナビノイド Semi-synthetic cannabinoids

THCやCBDの化学構造を維持し、薬理学的特性を改善するために小さな化学修飾によって生成されたものです。HHC、THC-Oアセテート、CBDD、2-HEC等の様々な誘導体が開発されています。カンナビメティック効果(注1)を目的としており、薬剤スクリーニングのカンナビノイド・テトラド試験(注2)などによる安全性及び有効性の評価が求められています。

 

半合成カンナビノイドの例

HHC, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Hexahydrocannabinol

THC-O, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Tetrahydrocannabinol-acetate

CBDD, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/3081957

2-HEC, https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31824305/

 

注1)カンナビメティック効果 Cannabimimetic effect

大麻模倣効果と呼ばれ、狭義にはΔ9₋THC模倣効果であり、広義にはカンナビノイド、テルペノイド、フラボノイド等の天然の大麻草に含まれる化合物の薬理学的及び毒性学的な効果を示す。

 

注2)カンナビノイド・テトラド試験 Cannabinoid tetrad test

薬剤スクリーニングに用いられる試験の一種で、齧歯動物にカンナビノイド受容体を介した運動低下、カタレプシー、低体温、痛覚抑制の四組(テトラド)の効果を評価する。

 

◆合成カンナビノイド Synthetic cannabinoids

カンナビノイド受容体(CB1またはCB2)を選択的に活性化できる化合物です。部分アゴニスト(作動薬)であるΔ9₋THCよりCB1受容体の結合親和性が高いものを求めて開発されてきました。医薬品のセサメット(合成THC誘導体)、HUシリーズ、CPシリーズ、JWH化合物、AM化合物など。試薬として開発されたものが、喫煙用のミックス品(K2,スパイス等)として市販され、健康被害報告があったため、その一部が指定薬物(危険ドラッグ)となりました。

 

知識のアップデートへ 

 

 

ちなみに、植物毒=アルカロイドと覚えている人が、よく間違えるのですが、「カンナビノイド」は「アルカロイド」ではありません。アルカロイド(Alkaloid)は、窒素原子(N)を含み、塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称。カンナビノイドは、C(炭素)、H(水素)、O(酸素)から構成されるため、アルカロイドとは全く異なります。

 

ここでは、生命体外にある植物性・半合成・合成といった「外因性カンナビノイド」を紹介していますが、生命体内でつくられる「内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド)」も存在しています。

 

世界中で大麻草/カンナビノイドの規制緩和が進むにつれて、研究開発が進み、新しい化合物、新しい概念、新しい用語が次々と生まれてきます。当面は、随時、用語集のアップデートをしていく必要があるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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