ラテンアメリカを代表するヘンプ業界団体は、ブラジルとアルゼンチンで成立間近の新法案が「産業用ヘンプと医療用大麻の生産における世界の勢力図に根本的な変化をもたらす可能性がある」と発表しました。
ラテンアメリカ産業用ヘンプ協会のLorenzo Rolim da Silva会長は、この新しい大麻法が制定されれば、両国が国際市場でその可能性を最大限に発揮させることができると述べています。
「両国の施策は非常に強固で現代的であり、EUや北米の現行規制にも沿ったものになるでしょう」とRolim da Silva氏は述べています。
ブラジルでは、今年度末までに投票が行われる予定で、来年度中に制度が導入される可能性があります。
アルゼンチンの法案は、農業、財務、国家安全保障の各委員会で既に承認されており、今後、上院での可決を経て、2022年度に発効となる見込みです。
ヘンプを主流化する
アルゼンチンとブラジルでは、産業用ヘンプは大豆やトウモロコシなどの一般的な作物と同じように扱われ、監督は各国の農務省が行い、麻薬取締局は関与しないことになっています。
両国ともに、農業が経済的に重要な役割を果たしており、今回の新法案の制定により、世界有数の農業大国でありながら、ヘンプの栽培にも適した条件を合わせ持つこの2つの国で、ヘンプ栽培が農業の主流となります。
現在、急速に成長している国内の消費者市場は、その殆どが輸入品でまかなわれていますが、この新法案によって、カンナビノイド由来の医薬品が入手し易くなり、又、現地生産することで、良質な国産の製品を提供することができ、安価な輸入品に取って代わることができると、da Silva氏は述べています。
ブラジルでのヘンプの大きな可能性
ブラジルは、中国、インド、米国に次ぐ世界第4位の農業大国であり、ヘンプにおいても大規模な栽培が可能で、穀物としてや繊維としてなど、ヘンプ栽培によって様々なチャンスを広げていく事が可能です。
ブラジルの2億1200万人の消費者の間では、食品としてのヘンプは余り認知されておらず、しかしこれはマーケティング活動によって変えていくことが可能であり、また、ヘンプは現在ブラジルの農家から輸出されている他の多くの作物と同じ様に主要な輸出品にすることができます。
また、ブラジルは世界のセルロースや製紙業界の主導的な的存在で、主に輸出市場において持続可能な原材料への需要が高まっていることから、ヘンプの需要は拡大が見込まれています。
世界の医薬品市場の中でも第4位に位置するブラジルでは、この新法案の成立により医療用大麻の可能性が飛躍的に高まり、今後3年間で47億ドルの売上高になると予測されています。
アルゼンチンでのヘンプへの取り組み
政府の試算によると、アルゼンチンのヘンプおよび医療用大麻産業は、年間1万人の新規雇用と5億ドルの国内売上、5,000万ドルの輸出を生み出す可能性があるいいます。
アルゼンチンの法案では、ヘンプの全部位を活用するというアプローチを提唱しており、経済発展に加えて、健康や環境にも良い影響を与える作物として活用することを目指しています。
またヘンプは、縮小しつつあるタバコの代替品としての役割を果たし、技術や製品開発の革新にもつながると政府は提案しています。
バリューチェーンの確立と投資の増加
アルゼンチンは、農産業における世界的なリーダーとしての地位や、科学的な専門知識、研究施設、サプライヤーの幅広いネットワークなどが揃っていることから、医療用大麻の大国となる可能性を持っています。
アルゼンチン政府は、この新法案によって、アルゼンチンの消費者が医療用大麻をより多く入手できるようになり、また、アルゼンチンの各州に新たなバリューチェーンが確立され、経済発展を促進することができるとしています。
アルゼンチンの大麻市場は4,500万人とも言われており、この新法の制定により、大麻分野への投資が活発化することは間違いないと関係者は述べています。
引用元;https://hemptoday.net/new-laws-in-brazil-argentina-could-signal-radical-shift-in-global-markets/