ヘンプ農学基礎コースが9月16日にスタート
MM411は、2009年から米国の医療従事者向けの生涯教育として、カンナビノイド医学教育プログラムを提供してきた実績があります。
欧州やカナダでは、1990年代に環境と健康志向の高まりから、ヘンプ栽培の規制緩和が進み、大麻草という「古くて新しい農作物」が注目されています。米国においても、2014年の産業用大麻研究法、2018年末の農業改善法により、ヘンプ栽培が全米で合法化しました。
この「ヘンプ農学基礎コース」では、農業関係者だけでなく、製造者や販売者、一般消費者、行政関係者などのすべてのヘンプに興味&関心のある人を対象としています。世界的に注目されている「ヘンプ」を新規に学ぶべき理由について基礎コースの序章から抜粋して概説します。
最近では、下記のように過剰規制の緩和が行われ、改正大麻法が検討されています。
「麻酔い」はない 厚労省が『大麻栽培でまちおこし!?』ホームページを削除 栽培農家の反発受けて 2021年6月17日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/111091
大麻栽培農家への過度な規制を緩和へ 厚労省が都道府県に9月通達
2021年8月26日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/126891
THC基準の規制で――日本でもグリーンラッシュの予感(特集/CBD)
2021年8月10日 健康産業新聞
https://www.kenko-media.com/health_idst/archives/15491
産業用大麻(ヘンプ)、医療用大麻、嗜好用大麻とは何か?
大麻草は、国際的に用途に応じて産業用、医療用、嗜好用の3つの分野で利用されています。THC(テトラヒドロカンナビノール)は、大麻草に含まれる向精神作用のある化学物質として知られています。本コースでは、産業用大麻を「ヘンプ」で統一して表記しています。
図1:大麻草の3分野
ヘンプは、欧米諸国で栽培が規制緩和されている
1961年麻薬単一条約により、大麻植物が国際的な薬物規制を受けましたが、同条約第28条2で、繊維及び種子の産業上及び園芸上の目的での栽培や利用は規制対象外として定められました。また、ヘンプは、マリファナ成分のTHC(テトラヒドロカンナビノール)が一定基準未満の品種の大麻植物のことであり、そのTHC濃度基準は、各国の規制により異なっています。
図2:ヘンプの法規制
ヘンプからは、25000種類の衣食住を担う様々な商品ができる
ヘンプは、すべての植物部位が使われます。何も無駄になりません。茎、根、葉、花、種子は、繊維、紙、ロープ、断熱材、繊維板、バイオプラスチック、堆肥、動物の敷料、燃料、塗料、飼料、食品、栄養補助食品、化粧品、医薬品など、様々な商品に変換して使用することができます。一説によると、25000種類もの商品ができると言われています。
図3 ヘンプからできる様々な商品
ヘンプ由来CBDは、最も伸びている市場である
ヘンプは、向精神作用のあるTHCが少なく、向精神作用のないCBD(カンナビジオール)が豊富に含まれている品種です。CBDは、抗てんかん、抗不安、神経保護、血管弛緩、抗虚血、抗ガン、制吐、抗菌、抗糖尿、抗炎症といった薬効が報告されている機能性成分です。また、世界保健機関(WHO)により、麻薬指定の対象外で、安全性が高いことが報告されています。
図4 成長するCBD市場 New Frontier Date2019
ヘンプとSDGs「働きがいも経済成長も」
2015年9月、国連全加盟国の全会一致により、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。その中で、人間、地球、繁栄のための行動計画として掲げた目標が、「持続可能な開発目標(SDGs)」の17の目標と169のターゲットである。SDGsは、「誰一人取り残さない(no one left behind)」社会の実現を目指しています。ヘンプ農学基礎コースは、SDGsにおける「8.働きがいも経済成長も」の目標を実現させ、下記の8.4のターゲットに関係しています。
ヘンプは、水や農薬において、少ない資源投入で栽培でき、1ヘクタール当り13.4トンのCO2回収ができ、熱帯雨林の1ヘクタール分に相当します。
ターゲット 8.4
2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
図5 持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標
ヘンプは、サーキュラー・バイオエコノミーを担う
「サーキュラー・バイオエコノミー」とは、生命科学とデータサイエンスの融合・協奏がもたらす技術革新によって、天然資源枯渇、気候変動、少子高齢化、食料安全保障など、人類が直面する地球規模の諸問題を解決し、持続的な発展を可能にする概念です。ゲノム育種、センサー制御、無線技術、人工知能(AI)、ブロックチェーンなどの農業情報技術がヘンプに応用されることで、資源効率の良い栽培・加工・販売が期待できます。
図6 北米(カナダと米国)で新興市場に上場したカンナビス産業344社の業種別内訳
合法化の次:ASTM D37 Cannabis で進む国際標準化
世界最大級の国際規格制定機関 ASTM が、2017年にASTM D37 Cannabis 委員会を設置しました。12か国を代表する300名以上のメンバーで構成され、大麻草とその製品に関連する技術委員会があります。合法化が進む国も、合法化が遅れている国も、ASTMの国際規格を導入することで、
①安全性、品質、信頼性を確保
②新興業界のサポート(標準はインフラとなる)
③世界中の法律・規制への参照
を実現する基準を設ける事ができるようになります。
本講座は、この ASTM 「D37.07 産業用ヘンプ」をテーマとしています。また、本講座を提供するMM411は、D37.06 人材育成、評価、資格認定のアドバイザーとして参画しています。早ければ来年度にD37.06が国際標準規格化されると、MM411の教育プログラムは、ASTM準拠にバージョンアップを予定しています。
図7 ASTM D37 Cannabisに属する技術委員会
ヘンプ農学基礎コースの内容
第1章から第10章までのトピックで基礎的なことを学ぶことができます。
各章の最後には10問の小テストがあり、70%以上の正解がないと次の章に進むことができません。
すべてを修了することができたならば、ヘンプ農学基礎コース修了証を発行します。
第1章 ヘンプの基礎知識:工芸作物、定義、麻の種類
第2章 ヘンプの歴史
第3章 ヘンプの品種と栽培法
第4章 ヘンプ繊維の利用:衣服・ロープ、紙、断熱材、不織布、自動車内装材
第5章 ヘンプ種子の利用:食品、栄養補助食品、化粧品、飼料、塗料
第6章 ヘンプ花と葉の利用:CBD製品、化粧品、精油、香料、緑肥
第7章 ヘンプ・オガラ、根の利用:建材、敷料、麻炭、バイオ素材、土壌改良、エネルギー
第8章 持続可能な目標(SDGs)とバイオエコノミー
第9章 ヘンプの経済性と市場性
第10章 ヘンプの規制と今後の課題
北海道ヘンプ協会の会員なら割引受講が可能
ヘンプ農学基礎コースは、日本で唯一のEIHA (ヨーロッパ産業用ヘンプ協会)の国際パートナー団体である一般社団法人北海道ヘンプ協会(HIHA)の協力により作成しています。
北海道ヘンプ協会の会員であれば、割引価格が提供されます。受講後に北海道ヘンプ協会会員となった場合は、入会金及び年会費から会員割引価格分を割引するサービスもあります。さらに、2020年12月にすでに開講済みの大麻民俗学基礎コースも割引対象となっています。
図8 MM411が提供する講座
ヘンプに関心・興味のある方はぜひ、栽培から利用までを体系的に学べるヘンプ農学基礎コースを受講してはいかがでしょうか。
MM411 https://medicalmarijuana411.jp/
北海道ヘンプ協会 https://www.hokkaido-hemp.net/