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アジアの合法大麻市場の予測はバラ色で、現在ほとんど何もない状態から、2024年までに85億ドル(9,193億円)に膨れ上がると予想されています。
この潜在的市場を取り巻く主要な問題の1つは、どの国がサプライヤーとして早期にリードを確立するかということですが、どうやらタイが先陣を切る見込みです。
アジアで最初に医療大麻を合法化
同国の法律では、大麻所持で最長15年の懲役ならびに高額な罰金を科すことができ、これまで非常に厳罰をもって対応していますが、同時にタイは、アジアで医療大麻を合法化した最初の国でもあり、現在同国は、特産の強力な品種を携えて、アジア地域の大麻のメッカになることを目指しています。
しかし、その実現には、嗜好用大麻の合法化に向けて、速やかな行動が必要です。近隣諸国は、医療大麻の合法化の訴えを受けており、この市場に参入する可能性があるからです。
昨年同国は、プラユット・チャン・オチャ首相の承認を得て、医療大麻を合法化しました。
大麻産業リサーチ会社プロヒビジョン・パートナーズによると、この内閣の主要メンバーが、5年以内に6億6100万ドル(約660億円)の成長が見込まれるタイの大麻市場の完全合法化を推進しているといいます。
プラユット首相の与党連合結成に手を貸した、「タイ誇り党」の党首アヌティン・チャーンウィーラクーン氏は、大麻合法化という公約を実現するために、この連立を利用するとみられています。
そして、7月10日、新設内閣においてアヌティン氏が副首相兼公衆衛生大臣に就任した時点で、このような動きの見通しは、さらに高まっています。
6月21日発表の党の声明で、同氏は「医療大麻の認可を受けた人でも大麻に簡単にアクセスすることが困難な、現在の規制を撤廃しようと考えている」と述べました。
アヌティン氏が、この2つの重要な役職を兼任している事が、大麻を合法化するための規制上の変更を容易にすると考えられますが、嗜好用大麻が合法になっても、タイの厳しい薬物密輸防止法は、変わらないと予想されています。
ラオス他、アジアその他国も追随
契約農家がヴィンザンのためにヘンプを育てるラオスの田園。写真:VINZAN
大麻について考え方を改めているのは、なにもタイだけではありません。マレーシアとラオスは医療大麻の合法化を検討しており、フィリピンの下院は医療大麻法案を可決しています。
「タイが大麻の分野でアジアのリーダーになるためには、中国や日本の合法化を待つ必要はないだろう」と前出の大麻産業リサーチ会社プロヒビジョン・パートナーズのAlexandra Curley氏は言います。
中国と日本では大麻が違法であるにもかかわらず、今後5年間でアジア大麻産業の最大のセグメントとなる可能性があると専門家は見ており、市場はそれぞれ40億ドル(約4,300億円)、21億ドルと(約2,200億円)予想されています。
10年で北米を上回ることが予想されるアジア市場
韓国とオーストラリアはすでに医療大麻の輸出入を許可しており、アジア域内の法律が変われば、それはタイが医療大麻を求める患者向けに医療ツーリズムを展開したり、大麻の製品を輸出したりする可能性があることを意味しています。
「アジア市場の規模は、今後5~10年間で北米市場に迫り、おそらくそれを上回るだろう」と、カナダの農業貿易会社、ヴィンザン・インターナショナルの最高経営責任者(CEO)ブライアン・アームストロング氏は語ります。
同社は、低コスト市場で契約農家から大麻を回収し、加工・輸出しています。ヴィンザン・インターナショナル社は、ラオスで大麻事業を立ち上げ、タイへの進出を目指しています。
一方、タイ政府は、外国人による産業独占に対する懸念を表明し、海外投資家の業務承認を制限する措置を講じました。
国有製薬企業 Government Pharmaceutical Organization のソポン・メクトン会長:
以下、twitterより抜粋
われわれは大麻産業のリーダーになりたいのです。私たちのブランドは非常に強く、300年以上続く伝統的なタイ医学の知識も持っているのです。
と述べています。
タイの連合政府のトップメンバーは、アジアで増加する大麻需要のシェアを国家が獲得することを可能にするべく、嗜好用大麻を合法化することを望んでいます。
このように、今となっては世界が知るところとなった大麻の医学的有用性と経済効果に対して、国益と捉えて正面から取り組んでいく姿勢を見せているタイ政府の方針は、評価に値すると同時に、見習うべきものとなっています。