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意外と知らない、ビタミンCとカンナビノイドの歴史(前編)

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人間は体内でビタミンCを自己生成することができない

誰もがビタミンCについて聞いたことがあります。私たちはビタミンCをまったく摂取しないと、「壊血病」にかかり、約3ヶ月で死に至ります。「壊血病」は、新鮮な野菜や果物を食べずに海で何ヶ月も過ごした船乗りの人々によって発見されました。何百万という船乗りが帆船時代に壊血病で亡くなったと推定されています。


この病に対して、多くの治療法が提案されてきましたが、船乗り達はたくさんの果物と野菜、特にレモン(長期間保存することができる)を船に積んでおくことにしました。 1932年に研究者らは多くの果物や植物に含まれる特定の化学物質を単離することに成功しました。

これがビタミンCです。

私たちの体にとって必要ですが自己生成はできません。(ビタミンAとビタミンBはすでに発見されていたので、発明されたので、「ビタミンC」と名付けられました。)

なぜ人間はビタミンCを自ら作ることができないのでしょうか?

研究者たちは、後になって、多くの動物がビタミンCを自己生成していることに気付いたとき、とても驚きました。

人間と数種類の動物だけがビタミンCを自己生成することができません。ビタミンCは非常に単純で小さな分子であり、4つの連続した化学反応で構成されています。各化学反応は、異なるタンパク質が触媒となります。このタンパク質は、異なる遺伝子、つまりはタンパク質を作るための情報を表すDNAの配列によって作られます。

研究の結果、人間はビタミンC生成に必要な遺伝子4つのうち、3つしか持たないことが発見されました。私たちが一日に必要とするビタミンCの摂取量はごくわずかです。(一日あたり100ミリグラム未満。)なので、非常に偏った食事をしない限り、私たちは壊血病を予防するのに十分なビタミンCを取っています。

しかし、研究者たちは、動物が傷や病気のような外的ストレスを受けているとき、ビタミンC生成用のタンパク質をつくる4つの遺伝子が活性化することを発見しました。興味深いことに、人間が病気であるか、または重度のストレス下にあるとき、私たちの体は本来持っている3つの遺伝子をより多く活性化されますが、欠如した4番目の遺伝子は活性化されません。したがって病気になった際には、1日数グラムでもビタミンCを摂取するのがよいのです。

それでは、次に「なぜ人間は4番目の遺伝子を持たないのか?」です。生物学者はかなり確信に近い答えにたどり着いています。誰もが知っているように、自然は淘汰を経て進みます。動物や植物の各世代は両親とは異なった形質をもって生き残ろうとします。形や大きさ、強さ、習慣などの理由で生き残ることに成功した個体は多くの子孫を残しますが、失敗した動物や植物は絶滅します。

歴史上のある時点、おそらく10万年前に、その4つの遺伝子のうちの1つを失った人間の祖先が誕生しました。そして、彼らが住んでいる環境で、十分にビタミンCを摂取するライフスタイルを確立していたので、自分でビタミンCを作ることができなくても問題はありませんでした。何らかの理由で彼らは生き残ることに成功し、彼らの子供たちもまたビタミンCを生成できずとも生き残り、より多くの子孫を残しました。 今後、DNA研究が続くにつれて、この淘汰の歴史についてより多くの詳細が分かることでしょう。

一方、人間にはカンナビノイドをつくることができる

さて、ここでヘンプと人間の関係について考えてみましょう。約10年前、研究者たちは体内で多くの異なる機能を調節するのをサポートする重要なホルモン体系を発見しました。彼らはそれを「エンド・カンナビノイド」と名付けました(内因性カンナビノイドともいいます)。これに含まれるホルモンは、ヘンプ(科学的なラテン語名はカンナビスである)にみられる特異的物質と化学的に関連しているからです。

私たちの体の中の細胞は、さまざまな「受容体」で覆われています。これは、特定の化学物質のグループの1つがそれらに付着すると細胞を刺激するタンパク質です。カンナビノイドに反応する「CB-1」および「CB-2」受容体は、特に私たちの頭脳において最も多く分布しており、研究者は、これまでにこれらの受容体と相互作用する30以上、化学的に関連性のあるホルモンが血中に存在していることを発見しました。

一方で、ヘンプの植物性カンナビノイドもこれらのCB1およびCB2受容体を活性化します。これまでにヘンプにおいて100を超える異なる植物性カンナビノイドが発見されています。

(※後編に続きます。)

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AUTHORこの記事をかいた人

パトリック コリンズのアバター パトリック コリンズ 麻布大学 名誉教授

麻布大学・名誉教授。

1952年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で理学と経済学を学んだ後、インペリアル・カレッジの経営学部にて修士号、博士号を取得。日本の麻に興味を持ち、麻が地方を創生し、しかも地球環境にとっても優れたビジネスであるという立場で研究を続けている。

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