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イタリア政府、ヘンプ花を麻薬扱い? 農業団体が“合法の線引き”を求め反撃

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合法化の明確化を要求、ヨーロッパとの断絶を懸念

イタリア主要農業団体のひとつ Confagricoltura(イタリア農業総連合) が、政府に対し産業用ヘンプの合法性を明確にするよう求めた。これは、全国的なヘンプ花禁止措置に対する新たな反発の一環となる。

Confagricolturaは、すべての生産分野と地域を代表する農業企業ネットワークを持つ組織で、内務省に対して正式に「真正解釈法案(Act of Authentic Interpretation)」を提出した。

「迅速な明確化が必要です。さもなければ、起業家の努力を損ない、ヨーロッパとの断絶を招くリスクがあります。」Confagricoltura会長 ニコロ・パンチェーラ・ディ・ゾッポラ・ガンバラ氏

彼はまた、ヘンプ花産業が3万人の雇用を支え、年間1億5千万ユーロの税収を生み出していると推定している。

不透明な現状

Confagricolturaの主張は、政府の「治安法(Security Decree)第18条」に焦点を当てている。この条項は、THC含有量に関わらず、ヘンプ花やCBD・CBG・CBNなどのカンナビノイドをすべて麻薬として分類。その結果、非精神作用型の産業用ヘンプと嗜好用大麻の法的区別が曖昧になり、栽培・販売・加工・所持が事実上禁止されている。

同連合は、この規制が公共安全のために設けられたにもかかわらず、実際には農業・製造・エネルギー・グリーン建材など3,000以上の企業に混乱と法的リスクをもたらしていると警鐘を鳴らしている。

法的明確化を求める「真正解釈法」

イタリア法において「真正解釈法(Act of Authentic Interpretation)」とは、既存法の改正ではなく「その法がどのように適用されるべきか」を明確にする法的措置であり、議会・規制当局・司法機関を拘束する効力を持つ。

Confagricolturaはこの仕組みを利用し、政府に対して「産業用ヘンプ活動は合法であり、麻薬法の適用外である」と正式に確認するよう求めている。あわせて、統一的な監視・検査基準を設け、事業者が安心して事業を行える法的安定性を確立することを訴えた。

広がる反対の声

この動きは、イタリア農業連盟(Cia)傘下の地方農業評議会による共同声明に続くものだ。同評議会は政府の禁止令を「イデオロギー的」と批判し、地域の自治や経済発展を脅かすと警告している。

地方政府関係者、生産者、支援団体は、ローマやブリュッセル(欧州委員会)に対して法的異議申立てとロビー活動を展開中。欧州委員会もすでにイタリア政府に正式な説明を求めている。

一方、今年4月の裁判では、政府のCBD経口製品禁止措置が支持され、すべてのカンナビス由来サプリメントを医薬品として分類する判決が下された。裁判所はEUや国内の科学的証拠を退け、「予防原則」を理由に健康リスクを強調。

この決定が、産業用ヘンプ全体への規制強化に拍車をかけている。

編集部あとがき

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1.Confagricolturaが政府に正式要請

全国の農業団体を代表するConfagricolturaが、ヘンプ産業の合法化を明確にする「真正解釈法」の発動を要請。

2.治安法第18条が混乱を拡大

THC含有量に関係なくヘンプ花を麻薬扱いとする条項が、合法産業を不当に制限し、3,000社以上に影響。

3.地方自治体・EUレベルでも反発拡大

地方農政当局や欧州委員会が相次いで批判。イタリアの規制はEU基準から乖離しており、国際的波紋を呼んでいる。

4.CBD製品裁判が示した流れ

CBD経口製品を医薬品とみなした判決が、産業用ヘンプへの逆風を強化。規制と経済発展のバランスが問われている。

 

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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