低迷するヘンプ産業の活性化を目指す
カナダのヘンプ関係者は、協力的な「徴収(チェックオフ)」プログラムを通じて低迷するヘンプ産業を復活させるべく、新たな団体を結成しました。
カナダ産業用ヘンプ振興研究機関(Canadian Industrial Hemp Promotion Research Agency、以下CIHPRA)は、ヘンプに対する公共の認識を高め、消費者の認知度を向上させ、研究資金を確保して産業を進化させることを目的として設立されました。
「このプログラムがもたらすのは、市場開発を目的とした資金の動員です」と、カナダヘンプ貿易連盟(CHTA)の理事長であるクラレンス・シュワルク氏がManitoba Co-operator(MC)に語りました。この新機関は、CHTAと密接に連携して活動すると予想されています。
未来を切り拓く計画
CIHPRAは、関係者を共通の目標の下に結集させることで、現在厳しい状況にあるカナダのヘンプ産業に対して新しい計画を提供することを目指しています。
カナダのライセンスを受けたヘンプ栽培地は2023年にさらに縮小し、11,861ヘクタール(29,309エーカー)となりました。これは、2022年の13,589ヘクタール(33,579エーカー)からの減少であり、カナダ政府の大麻規制機関であるHealth Canadaがこの作物を追跡し始めた2018年以降で最も低い水準です。なお、カナダのヘンプ栽培面積は、2017年のピーク時に44,600ヘクタール(110,209エーカー)に達していましたが、その4分の1にまで減少しています。
新しい機関の設立には、カナダ全土のヘンプ生産者、輸入業者、輸出業者が関与しました。
生産者を対象とした調査では、回答者の90%がチェックオフ制度に賛成していることが分かりました。しかし、プライバシー上の課題により、全生産者のうち60%しか連絡を取ることができなかったと、マニトバの農家でCIHPRAの初代理事長を務めるドン・デュアー氏が述べています。
チェックオフ資金調達プログラムとは
CIHPRAのチェックオフ資金調達メカニズムは、カナダの豚肉や牛肉産業で既に運用されている制度と似ています。この制度では、加工業者がカナダ国内のすべての産業用ヘンプ販売収益の0.5%に相当する料金を徴収します。この資金は、市場開発キャンペーン、新しい用途に関する研究、貿易の効率化を図る業界標準の策定などに使用されます。
カナダのヘンプ市場の価値は推定1億7,500万ドルから2億ドルとされており、0.5%のチェックオフによりCIHPRAは87万5,000ドルから100万ドルの資金を調達できる見込みです。
CIHPRAの設立には広範な準備作業が必要でした。特に、カナダではヘンプがニッチな存在であることがこの課題を複雑にしました。デュアー氏は、同機関設立の議論は10年前に始まったと述べ、「このプロジェクトは全国的な取り組みが必要だと認識していました」と語っています。
(情報提供:Manitoba Co-operator)
編集部あとがき
今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。
1. カナダのヘンプ産業復興への連携強化
CIHPRAの設立は、縮小傾向にあるカナダのヘンプ産業を再活性化するための重要なステップです。全国的なチェックオフ制度を通じて、研究や市場開発への資金を調達し、業界の基盤を強化しようとしています。
2. 減少するヘンプ栽培面積への対応
2017年のピーク時から大幅に減少したヘンプ栽培面積を回復させることが課題です。特に、栽培農家からの支持を得て、持続可能な成長モデルを構築する必要があります。
3. チェックオフ制度による持続可能な資金調達
0.5%のチェックオフ制度により、毎年約87万5,000ドルから100万ドルの資金が調達可能となり、市場開発、新しい用途の研究、業界基準の策定などに使用されます。この仕組みは、他の産業(豚肉・牛肉)でも成功していることから信頼性があります。
4. 全国規模の取り組みとしての必要性
CIHPRAは地域的な取り組みではなく、カナダ全土での協力を必要としています。10年以上の準備期間を経て実現したこのプロジェクトは、ヘンプ産業を再構築するための重要なプラットフォームとなります。