デサンティス知事の署名でフロリダ州のCBD市場に深刻な打撃
フロリダ州で成立される法案により、州の約2,800億円規模のCBD市場の大部分が消滅する可能性があります。
この法案は、合成嗜好用大麻製品を禁止し、CBDに厳しい制限を課すもので、フロリダ州議会の両院で可決されました。法案(HB 1613)は、デルタ-8 THC、デルタ-10 THC、HHC、THCA、THCP、THCVを含む摂取可能または吸入可能な製品を具体的に禁止します。
これらの化合物はすべて、ヘンプ由来のCBDを合成プロセスにかけて高濃度の物質を生成することで使用者に「ハイ」をもたらすものです。
上院は全会一致の39対0で法案を可決し、下院は64対48で可決しました。この法律は、ロン・デサンティス知事が署名すれば、10月1日に施行される予定です。知事が署名することが予想されています。
カリフォルニア州の5,270億円に続く売上規模が
データ提供者のStatistaによると、2024年のフロリダ州のCBD小売売上高は約2,800億円規模に達すると予測されており、カリフォルニア州の約5,270億円規模に次いで全国第2位、ニューヨーク州の約2,395億円規模を上回るとされています。
しかし、小売売上高には、合成嗜好用大麻製品の製造業者へのCBDのバルク販売は含まれていません。これらの製品は過去数年間で急速に普及しました。
この法案は、特に子供をターゲットにしたマーケティングによって「ハイ」を引き起こす化合物の過剰摂取のリスクを排除することを目的としています。
2024年の立法会期の前の委員会会議では、健康当局から子供がこれらの製品を摂取し、病院に搬送された事例について報告がありました。
法案の規定は、子供をターゲットにした合成嗜好用大麻製品のマーケティングを取り締まるために、次のように定義しています。
「人間、アニメキャラクター、動物、玩具、その他の子供を特に対象とする特徴を表示した形状または容器で製造された製品。既存のキャンディーまたはスナック製品に合理的に似ている形状または容器で製造された製品。」
合成製品とは言え必要とする人がいると主張
この法案は、合成嗜好用大麻製品の禁止に加えて、産業用ヘンプに微量ながら自然に含まれるデルタ-9 THCの量を、CBD製品の場合、1回分あたり5ミリグラム、パッケージあたり50ミリグラムに制限します。
これらの最大値は、以前の草案法案で設定されていた1回分あたり2ミリグラム、パッケージあたり10ミリグラムから引き上げられましたが、ヘンプ生産者は、この制限がフルスペクトラムCBDのビジネスを破壊する可能性があると述べています。
この法律に対する批判者は、ヘンプベースの合成嗜好用大麻製品の制限とフルスペクトラムCBD製品の事実上の禁止が、州内の約500のヘンプフラワー栽培者と約10,000の小売業者を壊滅させる可能性があると述べています。
彼らは、この制限が合成製品生産者を犯罪者にし、それらの合成嗜好用大麻製品で治療している患者を困らせると主張しています。
「このような法案が可決されると、消費者は未規制の市場から製品を購入せざるを得なくなる可能性があります。フロリダ州議会は、いくつかの有益なヘンプおよびCBD製品を排除し、フロリダ州のヘンプ産業を終わらせようとしています」と、同法案で禁止される合成化合物の多くを製造しているArvida LabsのCEO、JJ Coombs氏はFlorida Phoenixに語りました。
医療用大麻側からの阻止か!?
一部の反対者は、この新しい法律がフロリダ州の医療用大麻業界によって推進されたと主張しています。
彼らは、合成嗜好用大麻製品が競争相手と見なされていると述べています。しかし、法案の提案者である下院議員トミー・グレゴリーは、その主張を否定し、この措置は2018年の農業法案の規則を強化することを目的としていると述べました。
下院での投票前の議論では、グレゴリー議員は、法案に反対する有権者から何千通ものメールを受け取ったという議員の懸念を一蹴しました。
米国全土の州が、合成嗜好用大麻製品を取り締まろうとしており、一部の州ではそれらを完全に禁止し、他の州では厳しい規制を課しています。
多くの生産者や販売者が、製品の安全性に関する警告を米国食品医薬品局(FDA)から受けています。
FDAは、消費者からの重大な有害事象の報告を受けており、少なくとも1人の子供の死亡がデルタ-8 THCの摂取に起因するとしています。デルタ-8 THCは、ヘンプ由来の合成化合物の中で最も人気のあるものです。
編集部あとがき
CBD製品が全排除。というよりはフルスペクトラムに含まれるTHCの数値制限によって、有益なフルスペクトラム製品が違法になる。という状況です。この制限を設けることになった原因も合成嗜好用大麻製品の流行です。
合成事業者側の主張としても、医療大麻事業者側の陰謀であったり、ロビー活動であったりと、そのあたりへの不公平性を突いています。このシーンも合成嗜好用大麻製品に巻き付いたあるあるなテーマです。
合成側V.S.嗜好側のバトルも州によっては繰り広げられます。
ただ、よく考えずともわかるように、合成事業者になるための参入障壁はとても低く、尚且つ、ファームビルという連邦の法律の中で合法で事業が進められ、課税もかわして、無作為に製品展開できます。
そして、死亡者、事故者を頻発させている。という背景が事実として存在します。
さて、今回の記事のポイントは以下のとおりです。
1.厳格な規制の導入:
フロリダ州で新たに成立する法案(HB 1613)は、合成嗜好用大麻製品製品を禁止し、CBD製品にも厳しい制限を課すもので、州のCBD市場に壊滅的な影響を及ぼす可能性があります。
2.市場への影響:
法案が施行されれば、フロリダ州の約10,000のヘンプおよびCBD製品販売業者と約300のヘンプ栽培者が深刻な打撃を受けることが予想されます。
3.法案の目的:
この法案は、特に子供をターゲットにした合成嗜好用大麻製品のリスクを減少させることを目的としており、これにより消費者の安全を確保しようとしています。
4.批判と支持の声:
批判者は、この規制が合法的なヘンプ製品の製造者および販売者を不公平に標的にしていると主張し、違法市場の拡大を助長する可能性があると懸念しています。一方、支持者は公衆の健康と安全を守るために必要な措置としています。
最後に毎度書いてますが、合成製品が悪とは個人的には思っていません。この精神に作用する成分にはニーズがある。ということをまずは受け止める必要があり、ただ、排除する。ということではなく、その上で、それらの製品をどの規則に内包していくかがキーポイントかと思っています。
つまり、嗜好用大麻を非犯罪化、あるいは合法の中に内包していくことがベストと考えます。