MENU
カテゴリー

アメリカ最大規模のヘンプ繊維・セルロース加工施設がついに稼働か!?と思いきや。。。

目次

ヘンプ農家達と協業し作付け面積を拡大

テキサス州に拠点を置く繊維加工会社「Panda Biotech」が、数年の遅れの末、工場の設置を完了させ、ヘンプの加工を開始すると発表しました。

同社のCEOであるブレイク・カーター氏は、HempTodayに対し、ウィチタフォールズにある施設での建設と機器の設置が最終段階にあると語りました。

「最大のチャンスは、産業用ヘンプの作付面積を増やす機会を待ち望んでいた当地域のヘンプ農家に対して、同社が大量契約を結ぶことです」。

「私たちは現在、ヘンプ繊維の調達に積極的に取り組んでおり、パンダ社のために栽培する地元農家と契約していきます」。と、カーターCEOは述べました。

2019年からの度重なる計画頓挫・延長・資金調達

同社は、2019年に「アメリカ合衆国で最大の産業用ヘンプ繊維およびセルロース加工施設」として計画を発表した後、プロジェクトは何度もスケジュール通りに進まなかったことがあります。

2020年末には、20211月の目標稼働日に間に合わないと最初の遅延を発表しました。

そして20228月、同社はその年の10月という後続の目標日にも間に合わないことを明らかにしました。

最近の救済要請では、同社はウィチタフォールズ市に対して、2020年に市の経済開発公社(EDC)と結んだ280万ドル(約4億円)の奨励金協定の下で50人の従業員を雇用するという約束について延期を求めています。

同社は、1億ドル(約144億円)以上の予算がかかる工場建設のために、経済開発および市の機関からローン、債券発行、税控除といった支援を受けてきました。

ビッグマウスであらゆる行政(支援)も巻き込む

冷静に見ると、同社は2020年から、かなり疑わしい動向に見なされてきました。

まず、このヘンプ繊維加工のスタートアップはテキサス州に拠点を置いており、暑さと長い日照時間が強力なヘンプ作物の栽培の障壁になっています。

カーター氏によると、同社は今年、「発芽力と活力の点でこれまでで最高の種子バッチを達成した」と述べています。

同社は提案最初から大げさな表現を使っていました。「我々は、産業用目的でヘンプの茎を加工することが、アメリカ合衆国で次の数十億ドル(数千億円)規模のビジネスになると結論付けています」と、スコット・エヴァンス執行副社長は初期のプレスリリースで熱心に語っていました。

カーター氏はHempTodayに対し、同社が「トレーサブルでクリーンな、テキスタイルグレードのヘンプ繊維の生産」のために「加工および精製装置の流れをカスタム構成した」と語りました。

現在設置されている装置の処理能力は、1時間にヘンプ10トン。と、カーター氏は述べています。

120億円を調達し進めたが頓挫

同社は2020年に、テキサス州シャローウォーターに「Panda High Plains Hemp Gin」という工場を建設すると初めて発表しましたが、後にウィチタフォールズの場所に変更しました。

同社はそこで、旧デルファイ自動車工場を580万ドル(約8.4億円)で購入し、さらに1億ドル(約144億円)を投資する計画だと述べました。

「約40haの敷地に位置するPanda High Plains Hemp Ginは、46,000㎡の最先端施設で、アメリカ産ヘンプの茎を機械的にコットン化した繊維とヘンプハードを加工する世界最大の施設になる予定です。この施設では、実証済みでテスト済みの技術が使用されます」と同社のウェブサイトに記載されています。

2020年、同社はテキサス州ミッションの経済公社から、ウィチタフォールズから約933km南に位置する別の自治体から、旧デルファイ工場の購入と設備のために8,500万ドル(約120億円)の税免除債券を受け取り、この取引は、ウィチタフォールズへの40年間で最大の民間資本投資として売り出されました。

当時、同社は工場が直接100人、間接的に最大700人の雇用を生み出すと述べていました。が、、、

20216月に債券販売の期限が迫る中、同社はデルファイ施設の購入と設備のために計画されていた8,500万ドル(約120億円)の税免除債券発行の申請を、説明なしに撤回しました。

同社は市から280万ドル(約4億円)の助成金パッケージの一部である100万ドル(1.4億円)の融資についても、2度、延長や猶予など柔軟に対応と計画の見直しを承認されています。

報告によると、この1.4億円の融資は月額7万ドル(約1,000万円)で返済されており、既に旧デルファイビルに設置されているとされる機器が担保として提供されています。

時系列でまとめ、パンダ社の困難な道のり

201912 – Panda Biotechは、テキサス州に「アメリカ合衆国で最大の産業用ヘンプの繊維およびセルロース加工施設」を建設すると発表。

20207テキサス州シャローウォーターでの工場設置計画を中止し、ウィチタフォールズの場所へ変更。Pandaはシャローウォーターの建物が検査に合格しなかったと述べる。

20207ウィチタフォールズ市議会がパンダ社との合意を承認し、ウィチタフォールズ経済開発公社がヘンプ加工事業のために280万ドル(約4億円)を投入することを承認。

20209 – Pandaは、ウィチタフォールズで旧デルファイ自動車工場を購入し、合計1ドル(約140億円)の投資で2021年初頭に稼働予定であると発表。

20209ウィチタ郡委員会が、同社に70%の税控除を承認。

202012 – パンダ社はウィチタフォールズ施設に機器を移動していることを発表。

20211 – 2021年初頭に工場が稼働するとの元の発表に続き、脱穀施設の稼働開始が遅れることが発表される。

20213同社は旧デルファイ自動車工場の購入を最終化したと発表。

20216 – パンダ社は、ウィチタフォールズ工場の購入と設備のために計画された1億ドル(約140億円)の州債券発行の申請を撤回。

20228 – パンダ社は同社の工場の開業が202210月から遅れることを発表し、これが2度目の遅れとなる。

202212ウィチタフォールズの経済開発公社が、20207月に市から受けた280万ドル(約4億円)の融資に関する猶予、延長、計画見直しを承認。

20233サザンユートインディアン部族成長基金との持分パートナーシップ契約を発表。

20238 – パンダ社はウィチタフォールズ経済開発公社に対し、50人の従業員を雇用するという約束に関する3年間の延長を申請。

まとめ

テキサス州に拠点を置く繊維加工会社Panda Biotech社の、予定されたヘンプ工場建設プロジェクトの遅延とその背景に焦点を当てています。

Panda Biotech2019年に「アメリカ合衆国で最大のヘンプ加工施設」として発表したプロジェクトが、複数の延期と課題に直面していることを指摘しています。

この状況は、新しい産業や技術の導入における困難や障害を示しており、特にヘンプ業界における大規模なビジネスベンチャーの複雑さとリスクを浮き彫りにしています。

記事は、ウィチタフォールズ市の経済開発公社との金融支援や税控除など、地方自治体からの支援を受けながらも、会社が予定通りにプロジェクトを進行させることができなかったことを強調しています。

編集部あとがき

HTJ
集部あとがき。超懐疑的になるのも無理もない話です。HT本部としてはパンダ社の動向を、言ってしまえば「行政との癒着もありなのではなかろうか」と、これから形になりうるテキサス州ヘンプ繊維アメリカ最大施設の未来を案じています。と、言いますのも、2019年からのカーター氏の提案に合わせ、行政の資金的な支援、税制免除債権の発行、と、発行された債権の撤回の承認、優良工場跡の買収、そして、返済の猶予、計画の見直しなどの金銭的な優遇などが、遅れながら進んでいると言われながらも、パンダ社に対する「行政側の許容」が強く目立っているからです。本文中にもあるように、テキサス州での繊維向けのヘンプ栽培は、気候的に不利な面が多いことから、このような懐疑的な目線になるという面も分かります。なにせ4年間(コロナ禍とは言え)、事業活動の動きがほぼ見えてませんので。そんな中で稼働を告知している状況ではありますが、具体的に何をどうするか。という点まで見えてこないところも、今後の不安を募らせます。このようにヘンプ産業は新興産業でありながら、1つの事業に縛られないコングロマリットな事業展開が可能で、それは、世界でもっとも換金率が高い植物の産業化となります。つまり、(実態がブレていても)あらゆる事業で大きな売上、収益、雇用を生み出す。というビジョンを提案しやすい。という点があげられます。グリーンラッシュの当初、あらゆる投資家が「それ」に食いつきました。日本のヘンプ産業において、行政からの具体的な資金調達(助成金プログラムなど)などは、これから数年先になりそうですが、このように実態がともなわずとも産業化されていく未来予想図に対して、ヘンプ産業はお金を集めやすいというメリットにもデメリットにもとれる産業になりえますので注意が必要です。但し、日本のように、そもそも世論形成が未成熟の場合ですと、そのような支援もままなりませんので、引き続き、多くの方による、ヘンプの啓蒙活動が重要でございます

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URL Copied!
  • URL Copied!

AUTHORこの記事をかいた人

HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

目次
閉じる