知られざる、しかし世界的に見ても独特な「日本の大麻文化」が、国内外で再評価の機運
日本においては「違法な薬物」というイメージが定着している大麻。
しかし近年、北米を中心に大麻「グリーンラッシュ」という言葉が誕生するほどの大きなムーブメントとなっています。一方、大麻はかつて、日本人の衣食住を支えてきた、身近な「農作物」だったことは、あまり知られていません。
この、多くの日本人が忘れかけられている「日本の大麻文化」に、国内外で注目が集まり始めています。
「農作物としての大麻」とは?
10,000 年以上前からほんの 70 年ほど前まで、日本人にとって大麻は衣食住に欠かせない存在であり、その繊維を衣服や縄、釣糸、漁網に、種を食料に、茎を建材に、根や葉を薬用にと様々な用途で用いてきました。
また、大麻は日本人の精神性と言える神道や仏教とも深く結びついた存在であり、その名残は多くの場所で見つかります。日本の大麻は向精神作用をもたらす成分 THC の含有量が低い、繊維型の品種であり、喫煙に用いたという記録は全く見つかっていませんが、その関わり方は世界的に見ても、非常に独特なものと言えます。
厚生労働省の記録によると 1954 年時点、日本には 37,000 人以上の大麻栽培者がいたという記録が残っていますが、2022 年現在、大麻を栽培している農家(大麻取扱者免許が必要)は 30 数件まで減少しており、長く続いた歴史は途絶える寸前と言えます。
大麻取締法の改正が進む
2021 年より、厚生労働省は大麻取締法の改正を検討し始めました。2022 年 5 月現在、まだ結論は出ていませんが、医師が扱うカンナビノイド医薬品の解禁など世界の潮流を意識したものがある一方で、これまで大麻の所持や栽培を罰していたのに加えて、使用罪を追加する方向で検討していると報道されています。
一方、日本の伝統的な農作物について、厚生労働省は「日本の麻文化を守る」とすでに明言。規制緩和の方向で検討が進んでいます。去る 4 月 27 日には自民党の有志議員による「産業や伝統文化等への麻の活用に関する勉強会」が開催され、最高顧問に就いた安倍元首相は「大麻というだけで相当偏見を持たれている。農業、産業(振興)の観点からもしっかり考えていく必要がある」と強調しています。
*厚生労働省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuhin_436610_00005.html
*現代ビジネス「日本の大麻政策がここへきて激変中…来年の春から始まるこれだけの変化」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84987
*時事通信「大麻活用へ勉強会 安倍元首相ら」
スペイン・バルセロナで「Cannabis Japonica」展が開催
海外でも関連イベントが開催されています。2022 年 5 月から 23 年 2 月まで、スペイン・バルセロナにある Hash Marihuana & Hemp Museum は、日本の大麻文化をテーマにした企画展「Cannabis Japonica」を開催中です。
この企画に関して、私たち大麻博物館も様々な情報や展示品を提供すると共に、日本人と大麻の歴史的な関わりについて書いた kindle 版の書籍「TAIMA – What we call cannabis ~Ancient soul, textile, food, medicine, pattern of JAPAN」を発行しました。
尚、この企画展は 2023 年、アムステルダムにある系列施設で開催されることも決定しています。
*Hash Marihuana & Hemp Museum「Cannabis Japonica」
https://hashmuseum.com/en/whats-on/cannabis-japonica/
*大麻博物館「TAIMA – What we call cannabis」
https://www.amazon.com/dp/B0B14CS8H9/
本件の詳しいお問い合わせはこちらまで
大麻博物館 http://taimahak.jp