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なぜ、日本の医療従事者は、国際標準の大麻/カンナビノイド医学を学ぶ必要があるのか?(前編)

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MM411https://medicalmarijuana411.com/)は、2009年から米国の医療従事者向けの生涯教育として、カンナビノイド医学教育プログラムを提供してきました。

 

MM411は、アメリカ医師会(AMA)認定の生涯学習教育(CME)コースをベースに、日本臨床カンナビノイド学会とのパートナーシップによって、日本語版にローカライズした講座を2010月に開講しました。

 

ここでは、特に我が国の国家資格を有する医療従事者(医師、歯科医、獣医、薬剤師、看護師など)が「カンナビノイド医学」を新規に学ぶ必要性について概説します。

用語注釈:

カンナビノイド:大麻草に含まれる100種類以上の特異的な生理活性物質の総称のこと。

カンナビノイド医学:医療用大麻(ハーブ)&カンナビノイド医薬品(製薬)の両方を含む学問領域のこと。

 

目次

なぜ医療従事者がカンナビノイド医学を学ぶべきか

1.カンナビノイド医学分野の爆発的な研究の進展 113本以上の論文産出

 

学術文献の検索サイトPubMedによると、1950年から2019年までの70年間で大きな伸びを示しています。以下のグラフは、カンナビス(大麻)、カンナビノイド、そしてエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)に関する、その年に発表された論文の数の推移を表したものです。2019年には年5000件以上の論文が発表されているテーマであるにも関わらず、日本の大学医学部や薬学部のごく一部の研究室を除いて、ほとんどカンナビノイド医学分野に触れる機会がありません。

 

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2.世界的な合法化の進展、先進国(G10諸国)で日本だけが、、、

 

1961年麻薬単一条約の制定以降、大麻/カンナビノイドは、ほとんどの国で違法な状態が続いましたが、コンパッショネートユース(未承認薬の人道的使用)の観点から、1996年の米国カリフォルニア州の医療用大麻の合法化が行われ、その後、多くの先進国で合法化が進みました。しかし、合法化した国であっても、標準治療の補完代替医療という位置づけであるため、カンナビノイド医学を学ぶ機会に乏しい。ましてや我が国は、非合法なテーマを積極的に学ぶ機会は全くない状況下にあります。

 

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3.薬理学の教科書にカンナビノイドがない

 

カンナビノイドの科学(築地書館、2015年)によると、日本全国の医学・薬学系の大学で採用されている主な薬理学教科書には、乱用薬物「大麻」の記載はあっても、「カンナビノイド」を取り扱っているのは、8冊中1冊しかありませんでした。

 

文部科学省が定めた薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、「現代社会と薬学との接点:麻薬、大麻、覚せい剤などを乱用することによる健康への影響を概説できる」「管理薬:大麻取締法およびあへん法を概説できる」の2点だけであり、カンナビノイドを学ぶ機会は一切ありません。

 

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4.国際基準認定の医学部には補完代替医療の接点が必須

 

2023年以降,国際基準で認定された医学部以外の出身者には米国で医師になる申請資格を与えない」。

 

一般的にはあまり知られていませんが、2010年に米国の外国人医師卒後教育委員会(ECFMG)による通告、いわゆる“2023年問題は、日本の医学教育界に衝撃を与えました。日本医学教育評価機構(JACME)は、世界医学教育連盟(WFME)の国際基準に従った医学教育の質の確保が求められています。

 

その中で、医学教育の質向上のため確実に実施すべき項目として「補完医療との接点を持つこと」注釈に「[補完医療]には、非正統的、伝統的、代替医療を含む。」と明記されています。

 

カンナビノイド医学は、国際的規制により非正統的であり、古代中国医学、タイ伝統医学やインド伝統医学の実績により伝統的であり、PDQ®最新がん情報に「大麻(カンナビス)とカンナビノイド(PDQ®)」が代替医療として既に英語版及び日本語版として紹介されています。

 

また、カンナビノイド受容体やエンド・カンナビノイドシステム(ECS)の発見により、多種多様な補完代替医療の中でも、現代西洋医療との接点が多いテーマであり、多くの医療従事者にとって学びやすい特徴をもちます。

 

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5.日本国内でのカンナビノイド医療の適用疾患は潜在的に日本人の3分の1以上

 

米国等の合法化した国・地域の法律に明記されたカンナビノイド医療の適用疾患リストに基づいて日本の患者数を数え上げると、4531万人となり、日本人の3分の1以上が対象患者となります。この適用疾患の範囲の広さが多くの国で合法化が進む理由にもなっています。

 

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後編に続く

 

<リンク先>

 

MM411 https://medicalmarijuana411.com/ 

MM411は、グローバルマーケットにおけるカンナビノイド医学教育に精通した主要パートナーと協力し合い、カンナビノイド医学教育に取り組む団体を通し、世界各国へカンナビノイド医学生涯教育の認定プログラムを提供するよう努め、現在、アメリカをはじめ、カナダ、フランス、イスラエル、ブラジル、南アフリカで展開しています。

 

日本語版コース  https://medicalmarijuana411.jp/    20201020日開講

 

日本臨床カンナビノイド学会 http://cannabis.kenkyuukai.jp/   

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AUTHORこの記事をかいた人

2015年9月に設立された、カンナビノイドの臨床研究を目的とした学会。編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。
同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。

2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。

2019年7月時点で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員12名、 賛助個人会員23名、合計102名を有する。

http://cannabis.kenkyuukai.jp/

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