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コラム「CBD革命・良いニュースと悪いニュース」by Patric Collins

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Patric Collins
ご承知のように、日本の厚生労働省は、「産業用ヘンプは危険なもので、日本の農家では安全に栽培できない」という情報を出していますが、一方でヘンプ製品の輸入は比較的自由です。

 

この現実は、日本の農家さんと農村経済に極めて大きな損害を与えていると思います。ヘンプシード(麻の実)、ヘンプオイル、そして現在ではヘンプ由来のCBD含有製品の輸入が急増しています。

 

これらの製品は、危険ではなく(多くの国で使用されている安全基準であるTHCを全く含まない為)、幅広い健康問題に非常に役に立ちます。

関連記事:コラム「CBD革命2・カンナビノイドの可能性」by Patric Collins

目次

ブレア博士から学んだこと

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10月に旭川で開催されたASACON2019では、多くの事を学びました。(※:ASACON2019は、一般社団法人北海道ヘンプ協会が主催し、2019年10月11日から13日に北海道旭川市で開催された国際ヘンプビジネス会議のことです。)

講演者の一人、米国で医師として働いているフィリップ・ブレア博士の講演の中でのCBDに対する学びに意外性があり、より一層理解が深まりました。

 

彼は、28年にわたる軍医としての勤務の間、大麻については、兵士に人気のあった違法な娯楽用の麻薬としか知りませんでした。

 

しかし、多くの兵士や退役軍人が苦しんでいる問題、特にPTSD、鬱病、不安などに対して、ヘンプの医療上の利点を発見した彼は、5年以上にわたって患者や他の医師にそれを推奨しており、CBDを高く評価しています。

 

何よりも、CBDには目立った副作用はありません。これは、医師の処方箋がなくても使用できることを証明するのに非常に重要なことです。このような理由から、ブレア博士は、CBDの使い方を、直接会うことなく、電話でアドバイスすることができると言っています。

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ブレア博士は講演で、CBD製品に対して1つの非常に重要な条件があることを強調しました。それは、製品がパッケージに記載されている内容通りであるかどうかに注意する必要があるという事です。

 

現状CBDは、資格のある医師だけがその使用を認可できるという「医薬品」と呼ぶことはできません。栄養補助食品の分類です。

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つまり、CBDの量は記載されている量とは異なり、THCを含む望ましくない汚染物質が含まれている可能性もあります。購入されたい方は、パッケージの表記に注意する必要があります。最も安いものを購入するだけではなく、購入する前に会社の資格や評判を確認してください。

 

日本臨床カンナビノイド学会の新垣実博士が、法律上も事実上も確認したように、CBDは「食べ物」なのです。今回、ASACONに参加することができなかった新垣博士は、重要な声明を含むメッセージを発信されていました。

 

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大麻取締法に従って、CBDやヘンプの非精神活性成分は食品として利用できる。

 

このメッセージは、ヘンプの植物中のCBDおよび他のカンナビノイドは副作用がないため、いかなる方法でも国際的な麻薬として統制する必要がないという世界保健機関(WHO)による公式発表と一致してます。

世界も日本もCBDブーム

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驚くべきことに、この法の明確な解釈(CBDは食品であるという解釈)によって、日本は世界に急速に広まりつつある「CBDブーム」の中で主導的な地位を占めています。CBDを含む商品は、すでに数百種類もあり、楽天などのウェブサイトで販売されています。

 

この「CBD革命」の成長には驚きます。2012年にドイツで開催されたEIHA(ヨーロッパ産業用ヘンプ協会)の国際会議では、世界中のヘンプ専門家が一堂に会しましたが、CBDについての言及はありませんでした。

 

その2年後、2014年のEIHAの国際会議では、CBDについて2つか3つのプレゼンテーションがありました。その際、参加者全員に、ドイツのヘンプCBDオイルの小瓶が配られました。

 

しかし、わずか5年後の今日、CBD製品は誰もが知る存在となりました。

 

CBD産業は、最も収益性が高く、将来の成長が最も期待できる分野です。CBDの需要がすでにTHCの需要を上回っていると示唆した人さえも欧米ではたくさんおります。

 

日本でも日本臨床カンナビノイド学会が設立され、すでに何百人もの日本人医師が、アルツハイマー病、認知症、うつ病、引きこもり、不安、不眠症、食欲不振、頭痛、難治性疼痛、ストレスを含む広範囲の問題のためにCBDを試すよう患者に助言しています。

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CBDはさまざまな病気に役立ち、副作用もありません。何度も繰り返して言われている医師の伝統的なルールは、「まず、危害を加えないこと」です。ですから、どんな病気でもまず試してみてはいかがでしょうか。

 

CBDは基本的に「神経保護物質」であることが証明されているので、これは特に神経系に関係する問題に当てはまるでしょう。

CBDから始まる医学の新時代へ

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この突然の世界的に大規模なムーブメントは、何千年も前から知られているCBDの幅広い健康上の恩恵によるものです。

 

しかし、エンド・カンナビノイド・システム(ECS)の発見によって、大麻草の大きなメリットについて科学的に基礎的なことが解明されたのは、つい最近のことです。

 

つまり、科学と工学の進歩によって、THCのリスクなしに、CBDの恩恵を受けることができるようになりました。これによって、ヘンプ製品の使用によるリスクがなくなり、文字通り医学の新時代が開かれました

 

現在では、多くの医薬品が時代遅れになっています。高価で、不快な副作用があり、安全に使用するには専門家のアドバイスが必要です。

 

10年以上にわたって、日本で大麻の再興に取り組んできた私たちは「健康」、「環境」、「経済」、「農業」、「文化」 など様々な理由から、この植物が非常に有益であると確信しました。

 

しかし、当時はCBDについては全く知らなかったですし、私たちはそんな言葉を聞いたことがありませんでした。そして、ヘンプは、さらに皆さんを驚かせたのです。

製薬会社のロビー活動に注意

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さて、悪いニュースはといえば、外資系大手製薬会社のロビイストたちが、厚労省を通じて日本政府にロビー活動をしてくる可能性が大いにあるということを、理解しなければなりません。

 

最近まで日本はアメリカに非常に従順で、条件をすべて満たす利益のある医薬品の巨大な市場となっていました。

 

しかし今後、THCのリスクを負うことなくCBDの治癒力の恩恵を患者さんが得ることができるようになると、多くの製薬会社において、既存の医薬品の売上が急激に減少することが予想されます。

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したがって、既存の製薬会社にとっての最後の望みは、ニュージーランド、オーストラリア、EU、その他の国で行われているように、各国政府にCBDを規制させようとすることです。

 

今日の日本での、食品として自由に流通されている状況は、規制をしたい製薬会社にとって、好ましい状況ではありません

 

毎日、日本でも何百人もの新たな患者がCBDの恩恵を受けており、これはまもなく1日に何千人という数になっていきます。

 

つまり医師たちは、たくさんの論文が発表され、否定できない科学的証拠を毎日、目にするようになってきます。

 

WHOが正しいのは明白な事実です。

 

政府の唯一の役割は、CBD含有製品の純度と用量を保証することだと考えてます。例えば、それは、水質基準を示して保証するような単純な技術的問題の保証であり、CBDの利用についての規制の必要はないはずです。

 

さて、大規模でグローバルな製薬会社は、地球上で最も犯罪の多い組織であることを忘れてはなりません。

 

例えば、最近、米国企業Purdue pharmaceuticals社、Johnson&Johnson社は、膨大な利益の中から500億ドル(5兆円以上)を、オピオイド系薬剤による中毒で死亡した何十万人もの米国人の家族を補償すると申し出ています。

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(※つまり、こうした犠牲者たちを自分達が殺したという自覚があるという事です)

 

したがって、これらの企業は、賄賂や脅迫などの通常の手段を使って、できる限り懸命に戦うと思います。例えば、最近までオーストラリアでのCBDの販売は日本と同じくらい自由でした。

 

但し、CBDとTHCを含む医薬品エピディオレックスの試験で、それがてんかんに有用であることが示されたことから、大手外資系製薬会社のロビイストは、CBDに規制することに成功しました。

 

オーストラリアのCBDは、THCと同様、医薬品としても使用されていた為、CBDの一般市場、消費者への普及が大幅に遅れ、製薬会社の利益には良い影響を与えるようになりなした。

 

日本でも、難治性のてんかん患者に対するエピディオレックスの臨床試験を認める方針が示されてます。日本政府に対して、現在のCBDの利用を制限しないことに期待したいです。

 

有望な兆候は、毎年使用される医薬品の膨大な総費用を政府が理解していることです。これは、国民の超高齢化により、納税者の負担が増大し続けているという事です。

 

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CBD使用を現在のように自由なままにしておけば、最終的には政府の負担は1兆円以上減る可能性があります

 

そして、CBDが効果的で安全であるという科学的証拠が日々増えていることを受け入れるだけで、政府は、「THCのようにCBDを規制しよう」 という製薬会社からの議論に抵抗することができます。

 

幸いにも、CBDの利用を規制したい連中には科学的証拠がありません。それは製薬会社の声だけなのです。

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編集部注*文中にCBDの医療効果や副作用に関する記述がありますが、あくまで筆者個人の考えを反映するものであり、HTJは、これを保障するものではありません。

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AUTHORこの記事をかいた人

パトリック コリンズのアバター パトリック コリンズ 麻布大学 名誉教授

麻布大学・名誉教授。

1952年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で理学と経済学を学んだ後、インペリアル・カレッジの経営学部にて修士号、博士号を取得。日本の麻に興味を持ち、麻が地方を創生し、しかも地球環境にとっても優れたビジネスであるという立場で研究を続けている。

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