ヘンプ農業の禁止が延長
カリフォルニア州のある郡の当局者は、産業用ヘンプの栽培禁止を年末まで延長する決定を下しました。この決定は、強い匂いに関する住民からの苦情、財政的損失、そして郡の農業委員に対する死の脅迫が背景にあるとされています。スッター郡の監督委員会は火曜日、4対1の投票で禁止延長を決定し、ダン・フローレス委員長だけが反対票を投じました。
「農業委員に対する死の脅迫！？を受けた際、農業委員に警備が必要だったのです」と述べたのは、禁止延長に賛成票を投じたマイク・ジーゲンマイヤー監督です。「私にとって、このヘンプは非常に恐ろしいものです。」
当初はモラトリアムの延長に反対していたカルム・ベインズ監督も、農業委員のリサ・ハーバートに対する脅迫の詳細を知った後に立場を変更しました。ハーバートは、監督委員会に宛てた手紙の中で、脅迫が「この問題の重要性を浮き彫りにしている」と述べています。
禁止の延長は決まったものの、スッター郡でヘンプ農業を完全に永久禁止するものではありません。郡の行政官であるスティーブ・スミスは、今年中にこの問題が再検討される可能性があると確認しています。
強い匂い問題
スッター郡での産業用ヘンプに関する問題は2019年に始まりましたが、住民や学校からの強い臭いに関する継続的な苦情により、当局は再びこの作物の規制状況を見直すことになりました。
スッター郡で栽培されているヘンプの大半はCBDを目的としており、その花が咲く植物は繊維や食品用ヘンプよりも強い匂いを放ちます。これは、嗜好用大麻やヘンプ特有の匂いを生み出すテルペンという芳香化合物のためです。
郡内の学校の4人の教育長が、悪臭問題と「地域社会への悪影響」を理由に禁止を支持する手紙を委員会に提出しました。「私たちの学校、地域社会、そして郡にヘンプを望んでいません」と、スッター・ユニオン高等学区の教育長ジェッドセン・ヌネスは述べています。
財政面でも、郡のヘンププログラムは大きな負担となっており、設立以来、41万5,000ドルを超える損失が発生しています。特に損失は2020年度と2021年度に集中しており、昨年度も赤字が続きました。このコストは郡の納税者が負担していると、禁止延長を支持する元郡監督官マット・コナントは述べています。
栽培業者の反発
地元のヘンプ栽培業者たちは、今回の決定に対し強い不満を表明し、産業が経済成長と雇用創出に大きな可能性を持つと主張しました。彼らは、重要な契約の喪失やヘンプ栽培に関連する数十人の従業員の生計が危機にさらされることへの懸念を示しました。また、一部の栽培業者は法的要件を順守していると弁明し、この産業が郡の経済発展に寄与する可能性があると訴えました。
一方で、スッター郡地方検事のジェニファー・デュプレは、公衆の安全に対するさらなる懸念を強調しました。ヘンプは嗜好用大麻と間違えられやすく、その結果、盗難事件が発生し、暴力や死に至ることもあると述べています。
監督官のジェフ・スティーブンスは、「非常に小規模な産業であり、それに伴う問題を考えると、価値があるとは思えません。この問題全体が消えてほしいのです」と述べました。
編集部あとがき
今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。
1.安全と規制のバランスが課題
スッター郡のヘンプ栽培は、悪臭や犯罪のリスク、公共の安全に関する懸念が拡大し、地域社会の反発を受けていることが報告されています。こうした問題への対応が、今後の規制や産業の発展の鍵を握ると示されています。
2.経済的な負担と潜在的な利益のジレンマ
郡のヘンププログラムは財政的赤字を抱えており、税負担の増加を招いています。一方で、栽培業者は経済的な利益と雇用創出の可能性を強調し、規制緩和を求めています。
3.コミュニティの反発と支持の乖離
学校関係者や住民からの強い反対がある一方で、地元の栽培業者は、法令遵守と産業の成長を訴えています。この分裂した意見が政策決定を難しくしていると報告されています。
4.産業の持続的発展には包括的な解決策が必要
郡としては、ヘンプ栽培が抱える課題をクリアするためには、産業の特性を理解し、適切な規制と社会的理解を基盤とした包括的な戦略が必要だと示唆されています。
