生産能力を新たなファイバー加工ラインで強化
スウェーデンの建材メーカー、エコリューション(Ekolution)は、マルメにある工場に最新鋭のバストファイバー加工ラインを設置しました。
このラインはオーストリアの技術グループANDRITZによって設計されたもので、環境に優しいヘンプファイバーや不織布フェルトを製造するエコリューションの生産能力を拡大します。供給された技術には、ヘンプのデコルティケーション(繊維と芯の分離)および精製のための設備に加え、フェルト生産ラインも含まれています。
最近稼働を開始したANDRITZのラインは、優しく加工することで不純物のないヘンプファイバーを生成するよう設計されており、コンパクトな機器構成と低エネルギーでの稼働が特徴ですと同社は説明しています。
高品質なファイバー
デコルティケーションおよび精製設備は、1時間あたり最大5トンの原料から高品質なファイバーを生産します。その一部は、不織布フェルトを1時間あたり最大1.5トン生産するラインに供給され、さまざまな用途に利用されます。
エコリューションのCEOであるレミ・ローレン氏は、今回の加工設備が原材料の効率的な活用と資源消費の削減により、同社のサステナビリティ目標を達成していると述べました。
2013年に設立されたエコリューションは、自社のプランテーションで栽培したヘンプを原料に、バイオベースの建築ソリューションや材料を生産しています。同社のヘンプファイバー断熱材は、環境製品宣言(EDP)を取得し、カーボンネガティブであることが証明された最初の製品となりました。
幅広い用途
エコリューションのヘンプパネルおよび不織布製品は、ストックホルムに建設されたハイテク物流センターの建築に使用されました。このプロジェクトは、ヘンプファイバー断熱材を使用した世界最大規模の建築プロジェクトであると国際ヘンプ建材協会が報告しています。
建設業界に加え、エコリューションのヘンプ製品は、自動車、繊維、家具、音響、包装、パルプ(紙)など、自然繊維の需要があるさまざまな分野で活用できます。
設備供給会社のANDRITZは、幅広い業界および最終市場向けに、革新的なプラント、機器、システム、サービス、およびデジタルソリューションを提供しています。
編集部あとがき
今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。
1. 持続可能な建材としてのヘンプの可能性
エコリューションは、カーボンネガティブで環境に優しいヘンプファイバー製品の生産を通じて、持続可能な建築材料の開発に注力しています。この取り組みは、環境負荷を削減する革新的なプロセスを導入し、資源効率の向上を目指しています。
2. 最先端の技術と生産能力の強化
オーストリアのANDRITZが提供する高度な機器により、エコリューションの生産能力が大幅に向上しました。特に1時間あたり5トンの原料処理と1.5トンの不織布生産が可能であり、今後の事業拡大に大きな寄与をしています。
3. 多分野への応用拡大
エコリューションのヘンプ製品は、建設業界のみならず、自動車、家具、繊維、音響、パッケージングなど、幅広い産業での応用が可能であると示されています。これは、ヘンプが多機能素材としてさらなる可能性を秘めていることを意味します。
4. 環境宣言による信頼性の強化
同社の製品には環境製品宣言(EPD)が付与されており、カーボンネガティブであることが科学的に証明されています。これは、消費者や業界関係者にとって信頼性の高い選択肢となることを示しており、持続可能な材料の需要に応える大きなステップです。