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妊婦が摂取したCBDは胎盤を通過して胎児の脳へ蓄積される。その先どうなるかはマウスの研究結果(認知能力低下)しか今のところは無い

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妊婦が摂取したCBD、胎盤を通過して胎児の脳へ

コロラドの研究者たちは、妊娠中の女性がCBDを摂取すると、それが胎盤を通過し、胎児の脳に蓄積することを発見しました。

これは、胎児に対するリスクをもたらす可能性があります。この発見は、コロラド大学医学部のチームによるもので、この広く利用可能な化合物の潜在的な危険性に関する保健当局からの警告を裏付けるものとなります。

「この研究は、妊娠中にCBDを摂取することが子供の脳の発達に何らかの影響を及ぼす可能性があることを、臨床医や妊婦に知ってもらうための重要なものです」と、大学のアンシュッツ・メディカル・キャンパスの准教授であるエミリー・ベイツ氏は述べています。

「妊娠中の診察時にCBDの摂取について尋ね、妊娠中の潜在的なリスクについて公衆を教育する必要があります。」

この論文は、ベルリンに拠点を置くシュプリンガー・ネイチャーの科学雑誌、Molecular Psychiatryに掲載されました。

Molecular Psychiatry(別のサイトへのリンクです):https://www.nature.com/articles/

補足、Molecular Psychiatryとは:Springer Natureによって出版される精神医学と神経科学に関する国際的な査読付き科学雑誌です。この雑誌は、遺伝学、分子生物学、および神経科学の手法を用いた精神障害の研究に焦点を当てており、その分野での高い影響力を持つと一般的に認識されています。「Molecular Psychiatry」の影響係数(ある雑誌の論文がどれだけ頻繁に引用されるかを示す指標)は非常に高く、神経科学および精神医学の分野の中でトップクラスの雑誌の一つとみなされています。日本の文脈でいうと、権威と信憑性が高い科学雑誌に相当しますが、例えば「Nature」や「Science」のような超一流の国際的な雑誌と同じ出版グループであるSpringer Natureが出版している点も、その信頼性を裏付ける要因の一つと言えます。

どこでも手に入る状況で「つわり」にも効果があるから尚更注意が必要

CBDが最近、連邦法で合法化され、スーパーやガソリンスタンドで入手できるようになったため、今が以前よりもさらに重要です」とベイツ氏は述べています。

「毎年、数千人の人々が妊娠中の吐き気に悩まされています。吐き気はカンナビジオール(CBD)で和らげることができます」と、論文では述べています。

「しかし、胎児がCBDを摂取した際の胚の発達や出生後の結果にどのような影響があるかはまだわかっていません。」

このチームは、妊娠中に大量のCBDを経口摂取すると、雌のマウスの問題解決能力が損なわれ、学習に重要な脳の一部である前頭前野の活動が減少することを発見しました。

マウス研究結果では、認知能力の低下、痛みの感度の増加

「胎児へのCBDの曝露は、CBDに曝露された雌の子孫の問題解決行動を減少させることを我々は示しています」と、研究論文の要約には書かれています。

認知能力の低下は雌のマウスにのみ見られた一方で、痛みの感度の増加は雄のマウスにのみ確認されたと、研究が示しています。

ベイツ氏は、CBDの効果が性別に特有である理由を理解するために、さらなる研究が必要だと述べています。

研究者たちは、次のステップとして、妊娠の異なる三期間中のCBDの摂取のタイミングや量が、障害の頻度や重症度にどのような影響を与えるかを判断することになると述べています。

論文によれば、CBDの摂取の敏感な期間、CBDTHCのような他のカンナビノイドとの相互作用、化合物の投与方法に基づく異なる効果を判断するために、さらなる研究が必要です。

FDAの懸念を裏付けるエビデンスとなるのか?

アメリカの食品医薬品局(FDA)は、CBDが妊娠中の女性や胎児、幼児、高齢者、肝臓や男性の生殖システムに潜在的に有害な影響を及ぼす可能性について、繰り返し懸念を示してきました。

3月に公開された既存の臨床研究に基づく論文で、FDACBDの長期的な摂取に関してさらなる研究が必要であると結論づけました。

既存の臨床研究に基づく論文(別のサイトへのリンクです):https://www.sciencedirect.com/science/

FDAは現在、CBDを薬として認識しており、技術的にはそれを食品に使用することや、食事のサプリメントとして市販することを禁じています。

FDA1月に、CBD製品に関しては食品やサプリメントとして規制するための十分な情報がないと述べ、CBDに関連する問題を解決するために立法者に介入を促しています。

FDA 側とヘンプ関係者側の訴えも合わせて読むと双方の理解が深まります

7/12にアップした過去記事もあわせてご参考ください。FDAの研究は医療がベースとなっているので、CBD摂取量は健常者が摂取する量の100倍ほど(500mg〜3,000mg/day)となっており、ヘンプ関係者からすると、「FDAが高濃度の医薬品グレードのCBD製剤に基づく研究に依存し、一方で、2020年以降の最新の研究を無視していると」非難しています。

7/12 続_CBDは医薬品の道として歩んでいくのか、動かないFDAを詰めるアメリカヘンプ団体

HTJ
集部あとがき。注目すべき点は、CBD(カンナビジオール)の摂取が妊婦や胎児に及ぼす潜在的なリスクに関するものです。コロラドの研究者がCBDが妊娠中の女性の胎盤を通過し、胎児の脳に蓄積することを発見したと報告しています。この発見は、CBDの利用に関するFDAからの警告を裏付ける形となりました。2018年からヘンプがアメリカの連邦法で合法となり、一般のスーパーやガソリンスタンドでもCBD製品が購入できるようになりましたが、厳密にいうと医薬品として認可されているCBD以外はまだ違法(FD&C法に反する、つまり食品CBDに対して敏感です)です。そのため、FDAからは、妊婦や胎児への影響のリスクが増大する可能性があると度々指摘がなされています。さらに今回は、マウスを用いた研究も新たに加えれ、摂取したCBDが特に雌の子供の「認知能力に悪影響」を及ぼすことや、雄のマウスの「痛みの感度が増加」することが確認されました。但し記事内にも過去記事「続_CBDは医薬品の道として歩んでいくのか、動かないFDAを詰めるアメリカヘンプ団体」という記事をリンクしていますが、そちらを読んで頂くと、 FDA側はのCBDに対しては医療グレード並みの量を摂取した場合の人体へのリスクを提唱していることに対して、ヘンプ関係者は一般の健常者の摂取に当てはまらないと、対抗が続いていることがわかってきます。これらのやり取りは現状平行線のまま今年は5年ぶりのファームビル(農業法)が改正されますが、CBD製品が今後どのように決着がつくのかは、まだ見えてきてません。CBDは医薬品のみ。という道に進むにしても既存CBD業者の多くを市場から排除するような形になるので、それは今からですと、時間的にはなかなか考えられませんが、今回の記事のように、FDAの懸念が埋まっていく(方針が固まっていく)ようなエビデンスは今後もどんどん出てくることが予想されます

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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