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810億円の損失、370事業所の閉鎖、4,200人の雇用喪失、CBD事業者を一掃する「新法」に立ち向かうメリーランド州

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CBD市場を一掃する恐れのある法律を訴訟

メリーランド州のヘンプ関係者たちは、7月に施行された法律の下でCBD製品への市場アクセスが大幅に制限されることに対し、州の関係者を相手取って訴訟を起こしています。

ティンクチャー、グミ、トピカル(補足:皮膚に直接塗布する製品など)などのCBDベースの製品は、パッケージあたり2.5ミリグラム以上のTHCを含む場合、メリーランド州での販売が禁止されています。

CBD事業者たちは、これによって市場に出回っている製品のほとんどが取り扱いを停止しなければならなくなると指摘しています。

また、新しい規則は、ヘンプ由来のCBDから作られるTHCの人気のある合成形態であるデルタ-8 THC(補足:THCの一種で、特定の化学構造を持つもの)の販売も特に禁止しています。

州法の一変で翌日から販売が不可能になる恐怖

ブーンズボロに拠点を置くヘンプ事業者グループが起こした訴訟によれば、「原告の小売業者が販売するほぼすべての製品は、ヘンプ由来であり、従来の法律では違法なマリファナとはみなされず、したがって従来は許可なく流通させることが合法であったが、新しい基準を満たすことはできない」。とあります。

州当局は、この新法は規制されていない潜在的に危険な製品から消費者を守ることを目的としていると述べています。FDAは、CBDとデルタ8THCの両方が人間や動物の食用として未承認であるとして、大麻誘導体の食品への販売を禁じています。また、米国麻薬取締局(DEA)は、デルタ8 THCを規制薬物法(CSA)のスケジュールI薬物に分類しています。

この訴訟は、ウェス・ムーア州知事、メリーランド州大麻管理局、メリーランド州アルコール・タバコ・大麻委員会を相手取り、724日にワシントン郡の巡回裁判所に提出されました。

この訴訟は、ヘンプとマリファナの両方を対象とする大麻法を制定した上下両院の法案516号に関するものです。

嗜好用大麻事業者の「独占が始まるのか」

原告は、CBD製品におけるTHC濃度の上限を設定し、大麻のライセンス制度を制限することで、ライセンスを持つマリファナ事業者に事実上の独占を作り出したと主張しています。

「私のクライアントは、これらの製品を何年も合法的に販売してきましたが、突然、ライセンスなしで製品を販売することはできないと言われ、しかしそのライセンスを取得する障壁はほぼ乗り越えられないものです」と、ヘンプのステークホルダーを代表している弁護士のネビン・ヤング氏は、訴訟を提出した後、Fox News 7に語りました。

関係者たちは、現行のライセンス取得プロセスは、厳格なTHCの制限の下で彼らのCBD製品を販売するために必要なマリファナのライセンスの取得を多くのヘンプ事業者から遮断していると述べています。

州の要件によれば、申請者は少なくとも65%の所有権とコントロールを持ち、そのうちの1人が他の厳格な要件を満たす必要があります。

原告側は、このライセンス取得プロセスは、メリーランド州の独占禁止法および平等保護法に違反していると主張しています。

これは、特定のカテゴリーの人々が最初のライセンスの申請を提出する資格を持つことになることによるものだとヤング氏は述べています。

新法の一般規定では、メリーランド州大麻委員会は州内の大麻産業を規制する責任を負い、大麻および麻製品の生産、検査、表示に関する基準を設定する権限を持ちます。

過去関連記事:8/11 「CBDは嗜好用大麻です」ワシントン州の新法がCBD市場を激変させる可能性、嗜好用大麻産業が主導権を奪還した未来

810億円の損失、370事業所の閉鎖、4,200人の雇用喪失

ヘンプ業界の試算によると、新法によりCBDの売上が56,000万ドル(約810億円)以上失われる一方、370の事業所が閉鎖され、さらに60の事業所が州外に移転する可能性があるため、4,200人もの雇用が脅かされることになります。

最後の立法セッション中に新しい法律を排除しようとする試みは失敗しました。

メリーランド州は、隣州のバージニア州とともにヘンプ産業を厳しく制限する法律を制定しました。

過去参考記事:4/28 バージニア州ヘンプ関係者が見ていた「フルスペクトラム割合を10対1」にしたかった熱い願いが玉砕

ニューヨーク州とテネシー州も、ヘンプ由来製品に含まれるTHCの量を制限したり、そのような製品を販売するために特定の営業許可を必要とする法律を制定しています。

HTJ
集部あとがき。メリーランド州は今年7月から嗜好用大麻も合法化になり、医療用大麻は2014年から合法化されております。州自体も厳格な保守州というわけではありません。嗜好用大麻の合法化があってのこのCBD規制となると、ここも先日のワシントン州での嗜好用大麻事業者のロビー活動の勝利と近しい状況が伺えます。そのワシントン州の記事やバージニア州では先日厳しい規制が発表されましたが、それらの過去記事へのリンクもお時間がお許しでしたら、記事内にリンクがございますので、ご確認くださいませ。注目すべき点は、当サイトでも頻繁に言及しておりますが「デルタ8の登場」によって、ファームビルのあらゆる仕組みのアラが炙り出されCBDバブルが崩壊しました。一方、嗜好用大麻事業者側からすれば、全く厳しい制限がない合法ヘンプの枠内、つまり、ヘンプと同様の流通網で「合成嗜好用大麻」をばら撒かれてしまっては商売あがったりです。という実態です。嗜好用大麻事業者側はあらゆる規制、制限、ライセンスを取得して、製品に嗜好用課税をされて、尚且つ、ディスペンサリーでのみの販売をしているにもかかわらず、合成嗜好用大麻は、その辺のコンビニで買えるレベルです。そりゃ、怒りますね。日本の場合は市場規模と規制の属性が違いますが、アメリカでデルタ8がここまで市場拡大していくということを誰もが予測できてなかったように、日本のCBD市場でも合成嗜好用大麻製品がここまで拡大していくとは、想定してなかったように思えます。アメリカでも「CBD製品が売れなくなったからデルタ8製品を売る」。という事業者が多々存在するように、日本の場合もアメリカとは市場規模が違いますが、類似ケースもございます。しかし、ここはかなり注目すべき点と言いますか、CBD製品販売だけをしていた事業者の売上が落ちて(顧客が移動して)、合成嗜好用大麻の売上が伸びるという現象です。これは何を証明していったのかと言いますと「(潜在的にも)元々必要とされていたのはそちらだったのでは?」という点が、非常に重要なポイントか捉えてます。ファームビル2023では、CBDの規制が決まるとか決まらないとかありますが、これまでの記事をご覧になられていた方でしたらお察しの通り、おそらく、アメリカのCBD食品・化粧品化はグレーのままのように思えます。でわ、日本のカンナビノイド市場はどうなるのか!?ということですが、こちらもいっときは、「成分いたちごっこ」が繰り返されると思います。なので、最も注意すべき点は、アメリカでも大きく騒がれていますが、合成嗜好用大麻による健康被害です。「成分いたちごっこ」の先には誰にも想像できないようなことが必ず待ち受けてますので、それが身体にもたらされるものなのか、精神にもたらされるものなのか、はたまた行政の未来の規制に影響を及ぼすのか、それは、まだ誰にも分かりません。とにかく、「その原料」は、ほんとうに安全なのか。という点が重要です。いずれにしても事業者側は事業をストップすることはできませんので、今後も益々と輸出元の「トレーサビリティの深さ」、そして、「丁寧で博識なユーザー対応」が肝になってくるかと思います。と、いう事は、利用者側のカンナビノイドに対する知識も浅くては危険でしょう。合わせてカンナビノイドの啓蒙・教育活動も重要となります。アメリカFDAの狙いは、このような「ぐちゃぐちゃ」を5年間経験しつつ、バブル崩壊を経て、その側面で事業者に警告できうるエビデンスを揃えてました。そして、多くの物を言わずに「医薬品化のみの承認を貫くのみ」という確たる方向を、今後のファームビル2023にハメこんでいくようにしか思えません。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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